寒太が二人いる?
シーちゃんが消えた後、水神様に事情を話した。
「事情は分かったニョロ。それで君達は、その悪ガキの身体を探しているニョロか?」
僕達は一斉に頷いた。
それはいいのだが、なぜ水神様は寒太を悪ガキ呼ばわりするのだろうか?
ひょっとして……
「寒太」
「ん? なに?」
「水神様は、おまえを悪ガキ呼ばわりしているけど、おまえここでも何か悪さをしていたのか?」
「いや……こんなところに、来た事ないけどな」
水神様は、ジッと寒太を見つめた。
「おお! いかん! 人違いニョロ。昔、そいつによく似たガキが、僕の祠に悪さをしたニョロ。よく見たら、別人ニョロ」
寒太によく似たガキ?
「昔って、どのぐらい前ですか?」
「二十年ほど前ニョロ」
そりゃあ別人だな。
生きていたら、とっくに大人になっているはずだし……
しかしこの水神様、人間の法律に詳しいみたいだけど、寒太を二十年も前に会った子供と間違えるなんて案外そそっかしいな。
「ちなみに、その悪ガキはどんな事をしたのですか? やはり、祠に向かって、アッカンベーしたり『ばーか』って言ったり、石を投げ込んだり、供えてあった供物を摘み食いしたりしたのでしょうか?」
「な……なぜ、それを知っているニョロ?」
「いえ……こいつが」
僕は寒太を指さして言った。
「お稲荷様の祠に、そういう事をしていたので……」
「なんだ、やっぱり悪ガキだったニョロ。姿は似ているが、性格も似ているニョロ」
「いや、似ていると言っても二十年前の人間と間違えるのは……」
「ん? 二十年前の人間?」
どうしたのだろう? 水神様は、不思議そうな顔をして考え込んでしまったぞ。
「あの、水神様」
そこへミクちゃんが話しかける。
「お稲荷様は、寒太君にバチを当てたのですが、水神様はその子にバチを当てなかったのですか?」
「もちろん、バチを当ててやったニョロ」
まあ、当然だな。
「軽めのバチを当ててやるつもりだったのだが、まさかあんな事になるとは思わなかったニョロ」
あんな事?
「当時ここは、暗渠などはなく川が流れていたニョロ。僕はあのガキを水の中に引きずり込み、すぐに蘇生できる程度に溺れさせてやったニョロ」
溺れさせた!? それって、軽めのバチとは言えないのでは? 下手したら死んでいるし……
「近くに人が多くいたし、誰かが助けてくれると思っていたニョロ。まさか、その中にあんな奴がいたとは思わなかったニョロ」
どんな奴がいたのだ?
なんて思っているところへ、一人の少年が駆けつけてきた。
「何が思わなかったニョロだよ! このクソヘビ!」
え?
この少年は寒太?
寒太が二人いる?




