表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
嫌悪の魔神

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

224/289

地縛霊おじさん

「すみません。昨日、この子を見かけませんでしたか?」


 五十代くらいの地縛霊おじさんに僕達が声をかけたのは、交番を離れて数百メートル行った先での交差点。


 ここまで来る途中でも、何人か地縛霊に声をかけたのだが、やはりアラティから脅迫を受けていたのか話したがらない。


 この(ひと)はどうだろ?


 おじさんは、しばし寒太を見つめた。


「ああ。この子なら、昨日見たぞ」


 よかった。脅迫は受けていないようだ。


「それで、どっちへ行きました?」

「そこの横断歩道を渡って行ったよ」


 地縛霊おじさんが指さす方向に、僕達は視線を向けた。


 押しボタン式信号機がある横断歩道を渡った先に、バス停がある。


 まずいな。


 もし、そこからバスに乗られたら追跡は困難になるぞ。


「横断歩道を渡った後は、どっちへ行きました?」

「左に曲がって、そこの細い道に入って行ったぞ」


 バスには乗らないで、路地に入って行ったのか。


 これで追跡できるな。


「ありがとうございます。助かりました」

「いいって事よ。それより、お供え物を頼むな」

「供え物?」


 おじさんが指さす先の道ばたには、花束が供えられていた。


 事故現場でよくある光景だな。


「おじさんは、ここでお亡くなりに?」

「ああ」


 聞いてみると、二週間ほど前にここで暴走車に轢かれたらしい。


「じゃあ、あたしちょっと、お供え物買ってきます」


 そう言ってミクちゃんは、目前にあったコンビニへ入って行った。


「ああ、そうだ!」


 樒が思い出したかのように声を上げる。


「ねえねえ、おじさん。この子が通った後で、何か変な奴が来なかった?」

「変な奴? どんな奴じゃ?」

「人間みたいだけど、人間じゃない奴」


 おじさんはしばし考えてから答える。


「そういえば、変な女の子が二人通ったな」

「女の子が二人? それは、姉妹だった?」

「うむ。姉妹の様だった。ただ、あの女の子達は生きている人間のようなのだが、禍々しい気配を漂わせていたな」

「そう! そいつら! そいつら、おじさんに何か言ってこなかった?」

「いや、何も……ただ、女の子達はしばらく俺を見てから、小さい方の女の子が俺を指さして『どうするぞよ?』とか言っていた」


 今おじさんは『ぞよ』と言っていたな。


 では、やはり女の子の一人はタンハー!


「妹からそう言われた姉ちゃんの方は、なんかエラい疲れたような顔をして『もう疲れたから放っておこう』と言っていた」


 脅迫も疲れるようだな。


「その後『どうせ、奴らもここに来るまでに、あきらめるわよ』とか言って妹を連れて帰って行ったな」


 残念、僕達はあきらめなかったのだな。


「お待たせ」


 ミクちゃんが戻ってきたのはその時。


 おじさんにお供え物をすると、僕達は先へ進んでいった。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ