内部メモリ
まだ、手がかりがあるって?
しかし、地縛霊の協力が得られない。
監視カメラの映像は消された。
この状況で、どうやって寒太の行方を追うというのだ?
「寒太君という男の子が、交番からどっちの方向へ行ったかが分かれば追跡できるのよね?」
「そうですけど、映像は消えてしまったのでしょ? ひょっとして、消される前にお巡りさんが見ていたとか?」
柿見巡査は、首を横に振った。
「私は見ていないわ。でも……」
柿見巡査は、監視カメラを指さす。
「このカメラの映像は、交番内のパソコンに送られて、そこのメモリに記録されているの。パソコン内の映像は消されてしまったけど、カメラ本体の内部メモリはまだ確認していないわ」
「でも、そっちも消されているのでは?」
「それは、確認してみないと分からない。だけど、私はまだ消されていないと思うの」
「なぜ?」
「映像を消した犯人は、交番入り口で騒ぎを起こして、その隙に交番内に進入してデータを消したのよね?」
「ええ」
「騒動が起きているとき、監視カメラ本体は、私達の真上にあったわ。その状況では、手を出せないと思うの」
「あ! なるほど」
「まあ、本体のメモリは時間が経つと自動的に上書きされてしまうから、犯人はそれを当てにして手を出さなかったかもしれないわね」
「上書き! このカメラは、どのぐらいで上書きされちゃうのですか?」
「このカメラは三日前までのデータが残っているわ」
「三日前! じゃあ、寒太が逃げた時の映像は?」
「余裕で残っているわよ」
事実そうだった。
カメラ本体を取り外して映像を確認したら、寒太が逃げる様子は映っていたのだ。
もちろん、僕達はその映像は見せてもらえないが、柿見巡査が『これは私の独り言よ』と言って、寒太の身体が逃げた方向を教えてくれた。
「ありがとうございます」
僕達は柿見巡査に礼を言ってから、追跡を再開した。




