寒太君を生き返らせないで
「あら? またあなた達……」
白石が消えた後、呆然としている僕らに声をかけてきた婦警は、柿見巡査だった。
まあ、場所が交番のすぐ近くなのだから、声をかけられて当然だね。
しかし、交番内から見えない位置でやっていたのに、なんで気がついたのだろう?
「交番の裏で、怪しげな行動をしている人がいるという通報があったのだけど……」
通報!? 僕達のやっている事って、そんなに怪しかったのかな?
いや、確かに一般人から見たら怪しいよね。
でも、今まで通報まではされなかったけどな。
「通報と言っても、電話じゃなく、直接交番にやってきて『交番の裏に怪しい人達がいるよ』と言った小学生の女の子がいたのよ」
「小学生の女の子? それって、まさかタンハー!?」
奴なら、僕らの妨害をするために虚偽通報ぐらいやりかねない。
だが、柿見巡査は苦笑を浮かべる。
「違うって。あの子だったら、私も分かるわよ」
「そうですね。ところで、タンハーはあれからどうなりました?」
すると柿見巡査は、疲れたような顔をして樒を指さす。
「彼女の言った通り、二時間後には忽然と消えてしまったわ」
だろうね。
「その間、タンハーという名前以外、何も聞き出せなかったわ」
それを聞いて樒が口を挟む。
「だから言ったじゃない。拷問して聞き出せって」
「できるわけないでしょ。あなた達の言う通り、あの子の正体が魔神だとしても、人としての戸籍がある子供にそんな事したら私は懲戒免職よ」
戸籍が無くても、子供を殴れる樒がコワいよ。
こいつ将来子供ができたら、児童虐待でもやりそうだな。
「それで、あなた達、ここで何をしていたの?」
「交番の裏にいる地縛霊から、事情を聞きたくて」
「地縛霊!?」
その時、交番から、一人の小学生高学年くらいの少女が駆け出してきた。
少女は一瞬立ち止まって僕達の方を振り向く。
「お願い」
どうしたのだろう? 少女は、悲しげな顔をしていた。
「寒太君を生き返らせないで」
え?




