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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
嫌悪の魔神

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205/289

緊急依頼

 スマホの着信音で起こされたのは、翌朝の日曜日の事。


 時計に目をやると午前六時。


 誰だよ、日曜日の朝っぱらから……て、芙蓉さん!?


『もしもし、優樹君。お休み中のところをごめんなさい』

「いえいえ、いいですよ。何かあったのですか?」


 そりゃあまあ、何もなかったらこんな時間に電話なんかかけてこないよな……まさか! 寒太が見つかったのか?


『実は、緊急で君に指名依頼が出たのよ』


 なんだ、違うのか。


「指名依頼? 僕なんかに?」


 除霊ができる樒なら、緊急依頼というのも分かるけど……


「ひょっとして樒に緊急依頼があって、僕は見張り役ということですか?」

『いいえ、今回は君だけよ』

「僕だけ? 除霊ができない僕なんかに?」

『ああ! ショタコンの人じゃないから心配しないで。君のよく知っている人よ。というかお得意さまね。緊急で霊と話がしたいそうなの。その人、霊は見えるけど声は聞こえないので』


 お得意さまという事は、僕によく仕事を依頼する人だよね。


 その中で、霊が見えるけど声は聞こえない人と言ったら……あの人かな?


『優樹君。何をそんなイヤそうな顔しているの? だめよ、お得意さまにそんな顔を見せちゃ』

「だってえ……」

『だっても、あさってもありません。お仕事なのだから、そんなイヤそうな顔しちゃだめ。スマイルスマイル』


 そうは言っても……ん? 芙蓉さんは、何で僕の顔が分かったのだ?


「芙蓉さん。これテレビ電話じゃないですよね?」

『え? そうだけど』

「なんで僕がイヤそうな顔したって分かるのですか?」

『え? 気がついていないの?』

「え? 何が?」


 ん? そういえば、頭上から霊の気配が……


 気配の方へ視線を向けると、そこに身長三十センチほどの巫女さんが宙に浮いている。


 これって、芙蓉さんの式神!


「芙蓉さん。プライバシーの侵害です」

『ごめんね。覗き見するつもりじゃ無かったのだけど、君なら私の式神の気配なんて、すぐに分かると思っていたから』

「そうですか。ところで今回の依頼人って、魔入さんですかあ?」

 

 あの人の仕事するのヤダなあ……


『違う! 違う! 魔入さんだって、霊の声ぐらい聞こえるわよ。まあ、あまり弱い霊は無理みたいだけど』

「それじゃあ誰です?」

『六星和子さんよ。知っているでしょ?』


 なあんだ、超研の部長さんか。


 もしかして、霊子ちゃんに何かあったのかな?


「分かりました。六星さんは、学校で待っているのですか?」

『学校? 違うわ。六星さんは自宅にいるから、そっちへ来て欲しいそうよ』


 自宅? 霊子ちゃんは地縛霊だから、学校から離れられないはずだが……


 でも、地縛霊でも、まれに離れる事があると聞いたことあるな。


 霊子ちゃんが部室を離れて、部長の家まで付いてきちゃったのかな?


「分かりました。ただちに部長さんの家に向かいます。ただ、部長さんには芙蓉さんから釘を刺しておいてもらえませんか」

『釘?』

「入部届を突き出したら、僕はそのまま回れ右して帰ると」

『あはは! まさか、そんなお約束な事はしないでしょ』

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