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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
嫌悪の魔神

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203/289

寒太逃亡

「どこ? どこへ消えたの?」


 突然目の前から消えたタンハーを探して、婦警さんは周囲をキョロキョロと見回した。


 まあ、見回しても無駄だけどね。


 ちなみにタンハーは婦警さんの背後で、あっかんべーをしているけど、霊体化しているので普通の人には見えない。


「婦警さん。その子供はバケモノなので、普通の人には捕まえる事はできません」

「え? そうなの?」


 バケモノ呼ばわりされたのが気に入らなかったのか、タンハーは僕を睨みつけてくる。


「こらあ! またわらわをバケモノと言ったな! こんな可愛い幼女の、どこがバケモノじゃ!」


 だってバケモノじゃん。


「ちなみに奴は婦警さんの背後にいるけど、僕達を解放してくれるなら捕まえられますがどうします?」

 

 ちなみに僕と樒はまだ、屈強な警官数名に囲まれたままの状態。


「え? できるの?」


 婦警さんは交番長と思われる警官の元に駆け寄る。


「この二人を自由にして下さい」

「しかし……」

「もう、誘拐の疑いも晴れたのだし……」

「そうだな」


 警官達の囲みが解かれると、樒はタンハーに向けて右腕をまっすぐ伸ばした。


「ひええ! こんな可愛い幼女に九字を切る気か! この人でなし」

「いや、人間じゃない奴に「人でなし」とか言われたくないのだけど……」


 タンハーはちょこまかと逃げ回って、樒の九字を逃れようとする。


「お巡りさん。これはエアガンですから」


 そう言ってから、僕は懐から退魔銃を抜いた。


 足止めのつもりで、タンハーの行く手に数発撃ったが……


「ぎゃん!」


 あ! 直撃しちゃったよ。 ちょっと可哀想……ん?


 タンハーの身体が突然発光する。


「痛いぞよ! 痛いぞよ!」


 痛がって路面を転げ回るタンハーには、はっきりとした影があった。


 影があるという事は、実体化しているのか?


「あんた。こんなところにいたのね」


 婦警さんに再び捕まえられたということは、やはり実体化している。


 退魔銃に、こんな効果もあったとは……


「わらわを捕まえたって無駄じゃぞ。すぐに霊体化して……あれ? あれ? 霊体化できない」


 霊体化もできないのか?


「退魔銃でも、これができたのね」

「樒。それどういう事?」

「私、いろいろ調べたのよ。霊体化する魔神を捕まえる方法。霊体化している魔神に、九字を切れば霊体化は強制解除されるって」

「そうなの? そのまま霊体化はできなくなるの?」

 

 樒は首を横にふる。


「さすがにそれは無理だけど、二時間ぐらいは効果が持続するそうよ」


 そう言ってから樒は、タンハーを捕まえている婦警さんの前に歩み出た。


「お巡りさん。そいつは二時間ぐらいしたら能力が回復して逃げちゃうから、その前に拷問でもなんでもして悪事を白状させちゃって」

「いや、拷問はできないのだけど……でも、ご協力感謝いたします」


 ミクちゃんが交番に駆け込んできたのは、その時だった。 


「優樹君! 樒ちゃん! 大変だよ!」


 なんか、ただ事ではない雰囲気だが……


「寒太君が、逃げちゃったよ!」


 え? 

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