ちょうどあんな感じの女の子です
寒太に妹なんているのか? それとも……
「樒、ミクちゃん。ちょっと出て来て」
観葉植物の陰から、樒とミクちゃんが顔を出す。
「あら? この人達は?」
二人の姿を見て、降真亜羅は怪訝な顔をする。
「あなた……三組の神森さんだったわね?」
「私の事を、知っているの?」
「ええ。よく校内でお見かけするから……」
そりゃあ樒の身長は目立つからな。
「それで、社君とあなた達はどういう関係かしら?」
樒が答える前に、ミクちゃんが口を挟む。
「あたし達、優樹君と同じ組織の人間でーす!」
「組織!?」
おいおいミクちゃん……間違ってはいないが、その言い方だと僕達が何か怪しげな組織の人間みたく聞こえるじゃないか。
まあ、ミクちゃんの言い方じゃ、組織ごっこに思われなくもないが……
僕は名詞を差し出した。
「霊能者協会? それが、なんであの子を探しているの?」
「少々、一般の人には理解しにくい事情があってね。わかりやすく言うのなら、寒太は非常に質の悪い霊に取り付かれているんだ」
「それって、所謂悪霊?」
「早い話がそういう事になるね。だから、寒太を速急に保護する必要がある。警察の手には負えない件なので、僕達が動いているんだ」
「そういう事だったの」
僕は樒の方を向く。
「ところで樒。寒太に妹なんているの?」
樒は首を横にふる。
「ロックさんの話では、寒太は一人っ子よ」
やはり、それでは寒太を連れて行った女の子とはアラティの妹タンハーでは?
「降真さん。その女の子って、僕の知っている子かもしれないんだ」
「そうなの?」
彼女の手にしているスマホを見ると、すでに通話は切れているようだ。
「今から、その女の子の特徴を話すから、もう一度お母さんに電話して確認してもらえるかな?」
「いいわ。で、どんな女の子かしら?」
「ええっと……おかっぱ頭で浅黒い肌で、身長は……僕よりも低くて」
「社君。母は君の身長を知らないから、その説明では分からないと思うわ」
「そ……そうだね」
「優樹。あんた『僕よりも低くて』を言いたかっただけでしょ」
「ち……違う」
ニヤニヤ笑う樒から視線をそらす。
ん?
おお! 道路の反対側に、ちょうどタンハーにそっくりな女の子が歩いているじゃないか。
「降真さん」
僕は窓の外を指さした。
「ちょうどあんな感じの女の子です」
え?
もう一度僕は窓の外に視線を移した。
そこにいたのは、タンハーそっくりな女の子ではない。
タンハーそのものじゃないか!




