少女死神
振り向くと、そこに居たのは黒いワンピースを着た中学生ぐらいの女の子。
しかし、人間ではない。
大きな鎌を持っているから死神か?
おじいさんも女の子に気が付いて声をかける。
「おお! 待ちかねたぞ。わしの転生先は、どこになったのじゃ?」
転生先を聞くって事はやはり死神か。
「遅くなってすみません。急に業務が増えてしまったもので……転生先は、今回も人間という事になりました。ただ、日本ではありません」
「そうか。日本人では無くなるのか。残念だな」
「それでは、魂の緒を切断します。えい!」
少女が鎌をふるうと、おじいさんの頭から延びていた紐のような物が切れる。
「ねえ死神さん。聞いていい?」
樒が少女死神に声をかけた。
「なんでしょう?」
樒は寒太を指さす。
「この子の魂の緒は切れないの?」
「ん?」
少女死神は、寒太をマジマジと見つめた。
ていうか、樒はいきなり何を言い出すんだ?
魂の緒を切られたら、寒太は死んじゃうのだろう。
寒太の方も少女死神に見つめられて、居心地が悪そう……いや違う。
この悪ガキ、少女死神のスカートを覗こうとしている。
どこまでエロいガキだ……
僕は退魔銃を抜くと、寒太の頭を掠めるように撃つ。
「うわわ! 熱ちち! なにすんだよ! いきなり!」
「失礼! 蚊が止まっていたもので」
「蚊なんて今の季節に……」
「女の子に悪さをする蚊は、オールシーズンいるんだよ」
「う!」
寒太は、僕の言った意味が分かったのか押し黙る。
一方、少女死神はそんな騒ぎを気にする様子もなく寒太をじろじろと見回していたが、ようやく顔を上げた。
「この子は生き霊ですね。魂の緒を切ろうと思えば切れますが、生き霊のそれを切ることは、厳重に禁止されていますので」
「切れる事は切れるんだ?」
「はい。でも、生き霊の魂の緒を切ったら、不適正事案となってしまい、閻魔様から怒られちゃいます」
「じゃあ、閻魔様の許可があれば切れるのね?」
「はい。でも、よほど特別な事情が無い限り、許可は出ませんけど……」
「大丈夫よ。こいつには、よほど特別な事情があるから」
「え?」
少女死神は、改めて寒太を見つめる。
「ああ! この子、昨日悪霊に身体を盗られた子ですね。確か本来なら死ぬはずだったと聞いています。申請さえすれば、許可は出ると思いますよ」
「教えてくれてありがとう、死神さん。お仕事の邪魔してごめんね」
「いえいえ。この子と一緒にいるという事は、あなたたちですね。先輩のお仕事を手伝っている霊能者さんは」
先輩? そうか! この少女死神は、ロックさんの後輩なのか。
「そうなのよ。ロックさんの依頼で、この子の身体を捜しているの」
「そういう事でしたら、何も遠慮はいりません。何かありましたらお声をかけてください。それでは私はこれで」
少女死神は、おじいさんを連れて消えていく。




