表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
嫌悪の魔神

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

186/289

柴田さんの事情

 ランドセルの中でスマホの着信音が鳴ったのは、学校が終わって家に帰る途中、同じ方向に帰っていた友達と別れた時でした。


 スマホの画面には『すみかちゃん』と出ています。


「もしもし。すみかちゃん。どうしたの? 授業にもホームルームにも出ないで……」

 

 スマホからは、嗚咽(おえつ)が聞こえてくるだけで返事がありません。


「すみかちゃん。泣いているの? 何があったの?」

絵里香(えりか)ちゃん。あたし……人を……殺しちゃったよ』

「ええ!?」


 すみかちゃんの話では、昼休みに寒太君に男子トイレに連れ込まれたとの事。


 そして寒太君は『おまえは、給食費を払わないで給食をタダ食いしている。タダ食いした分、俺に裸を見せろ!』と言って、すみかちゃんを脱がそうとしたのです。

 

 やっとの事で、すみかちゃんはトイレから逃げ出したのですが、寒太君はしつこく追いかけてきて学校の外まで逃げたのです。


 ところが警報音が鳴り響く踏切を通ったときに、追いかけてきた寒太君の足が線路に挟まってしまいました。


 すみかちゃんが振り向くと、遮断機が降りた踏切で寒太君は立ち往生しているのです。


 すみかちゃんは、助けようか迷いました。


 でも、助けたって寒太君がいじめをやめてくれるとは思えません。


 悩んだ末に、すみかちゃんは寒太君を見捨てて逃げたのです。


 すみかちゃんは、泣きながらそんな事を話しました。


 一通り話を聞いてから、あたしはスマホに向かって……


「そんなの、すみかちゃんが悪いんじゃない。寒太君の自業自得……」


 そこまで言い掛けたとき、あたしは目の前の光景を見て言葉が止まりました。


「すみかちゃん。寒太君……本当に死んだの?」

『うん。たぶん』

「たぶん? 死ぬところを、見た分けじゃないのね?」

『見てない。その前に踏み切りを離れたから』

「生きているよ」

『え? 生きている? 誰が?』

「寒太君。今、目の前にいる」


 そう。電話をかけているあたしの目の前で、交差点から寒太君が現れたのです。


 高校生ぐらいのお姉さんに手を引かれて……


『ええ!? うそ!』


 見間違えかもしれないと思って、寒太君に気づかれないように近づきました。


 間違えなく寒太君でした。怪我をしている様子もありません。


 ただ、足には学校で使っている上履きを履いていました。


「近くまで行って見たけど、間違えなく寒太君だよ。高校生ぐらいのお姉さんと、一緒に歩いている」

『でも、どうして?』

「たぶん、すみかちゃんが踏み切りを離れた後で、誰かに助けられたんじゃないかな?」

『そっか……助かっちゃったんだ』

「すみかちゃん、明日は学校休んだ方がいいよ」

『うん。そうする』


 だけど翌日、寒太君も学校を休んだのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ