表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
事故物件2

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

172/289

樒の事情1

「樒。計画通りって? どういう事?」

「それはね……」


 そして、樒は語り始めた。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

 

 一ヶ月ほど前。


 その気配を感じ取った時、私は自宅で入浴中だった。


 この気配、どうやら霊的な何かが、私の部屋に侵入したらしい。


 マンション二十階にある私の部屋には、強力な結界が張ってあるので普通の幽霊や妖怪の類は入ってこられない。


 それでも入ってこられるのは、元から部屋にいる両親の地縛霊か、あの人くらいだな。


 いや、人じゃないけど……


「あらあら、ロックさんいらっしゃい」


 母さんの様子から見て、やはり死神のロックさん。


 今度こそ、父さんと母さんを迎えに来たのだろうか?


 いや、たぶんまた状況の説明だけで終わるのだろうな。

 

 ちなみに私の両親は、五年前に事故で亡くなっていた。


 亡くなっていたが、二人の霊は霊界の都合でまだ成仏ができないらしい。


 霊界にどんな都合があるのか、人の身である私には知る由もないけど。


 ただ、数カ月おきにロックさんがやってきては『すまん。まだ霊界に空きがない』とか『転生の抽選に外れてしまった』とか、状況を説明に来てくれているので、忘れられてはいないのだなという事は理解できたのだが……


 とにかく、そんなわけで両親の霊は五年間もこの部屋に留まっている。


 こういうのは普通地縛霊というのだけど、本人達は私の守護霊だと言い張っていた。


 いや、本人達がどう思っていても、守護霊とは絶対に違う。


 守護霊とは、常に守護対象者に付いて回り黙って見守っているもの。それだというのに、この人達はこの場所から離れる事はできないので私に付いてくる事はできない。


 だけど私が部屋に帰ってくると、何かと五月蠅く口を出す。


 些細な事で、小言を言う事も……


 あんましウザいので、一度お父さんに九字を放ったら『家庭内暴力だ!』と騒がれた。


 騒ぐだけならまだいい。


 その後で母さんが『私はどこで育て方を間違えたのかしら』と泣き出すのにはまいった。


 さすがの私も、母さんに泣かれては胸が痛む。


 そもそも、私が高校生やりながら一人暮らしができるのは、霊能者協会での稼ぎだけではない。二人が生前残してくれたこのマンションと生命保険のおかげでもあるのだ。


 それを思うと気が引ける。


「すみません。今日は、お二人を迎えに来たのではないのです」


 やっぱり、今回も迎えに来たのではないらしい。


 あれ? 私、ちょっと安心している。


 そっか。


 早くこのウザい親を連れて逝って……と、思う反面、いなくなったら寂しいという気持ちが私にはあるのだろうな。


「今日は、樒ちゃんに用があって来たのです」


 私に? なんの用だろう?


 とにかく、あまりロックさんをお待たせしては申し訳ないので、私は風呂を手早く済ませると、バスローブを羽織ってリビングへ出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ