悪霊とタンハーの関係?
魔入さんは、天窓の真下に降り立った。
ジャリ!
ガラスの破片を踏みつける音が響く。
魔入さんの足を見ると、履いているのは厚底ローファー。
これなら怪我をする心配はないね。
なんて、人の心配をしている場合じゃない!
多数の蔦が僕に向かってくる。
退魔銃を数発撃つが、たちまちのうちに僕の四肢は蔦に絡め取られて空中に持ち上げられてしまった。
「はははは! 惨めじゃのう。社優樹。まるで蜘蛛の巣に捕まった虫けらぞよ」
この幼女! 動けるようになったら、覚えていろ。
「ん?」
タンハーは、周囲をキョロキョロと見回した。
「ネズミ女は、どこへ消えたぞよ?」
いつの間にか、ネズ子の姿はなくなっていた。
たぶん、ネズミ化して気配を消し、どこかに潜んでいるのだろう。
「まあいいぞよ。どうせ、一人だけで逃げたのだろう。さて、スマホを返してもらうぞよ」
タンハーは、宙吊りになっている僕に向かって手を伸ばすが……
「ん? こら! 菖蒲! 手が届かないぞよ! こやつを床に降ろすぞよ!」
「は。申し訳ありません。タンハー様」
そのまま僕は、フローリングの上に大の字に横たえられる。
「ふふふ。捕まえたぞよ」
タンハーは僕の胸のあたりに跨がり、両手を僕の顔に近づけてきた。
「ふふふ。さっきは、ようもやってくれたぞよ。おかえしぞよ」
何をする気だ? うわ!
タンハーは、僕の口に指を突っ込み左右に引っ張ってきた。
「ひゃめろー! (やめろ!)」
「きゃははは! 面白い顔ぞよ」
この幼女……
「ほれほれ。学級文庫と言ってみろ」
「ふぁれがふーか! (誰が言うか!)」
そういえば、小学生の時、樒にこれをやられたな。
「あのお、タンハー様」
タンハーの背後で、悪霊が疲れたような声をかける。
「ん? なんじゃ菖蒲」
「スマホを、取り返すのではなかったのですか?」
「分かっているぞよ。その前に、ちょっと遊んだだけぞよ」
「その坊やで遊ぶなら、私にもやらせて下さい。さっきから、やりたくてウズウズしているのですから」
「おまえは、エッチい遊びをするからダメじゃ」
「いいじゃないですか」
いったい、こいつらどういう関係なんだ?
まあ、タンハーはこういう姿(幼女)に見えても魔神なのだから、悪霊を使役するぐらいの事はできるのかもしれないが……
悪霊はさっき『私は別に操られてなどいない。タンハー様の指示には従っているけどね』と言っていた。
タンハーには、二人の姉がいる。
悪霊は二人の姉のどちらかが操っていて、今はタンハーの指示に従うように言われているのだろうか?
この部屋に、サンスクリット語の魔道書があったことと何か関係があるのか?
ネズ子は、この本の近くで過去に魔神か何かが召還されていると言っていた。
北条菖蒲は、あの魔道書を使ってタンハー姉妹を召還したのでは?




