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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
事故物件2

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タンハーのスマホ

 家に帰り着いた時には、僕の体調はすっかり回復していた。


 ブースターって凄いな。


「ただいま」


 リビングに入ると、樒が来ていて母さんと話をしていた。


「お帰り……」


 僕の方を振り向いた母さんの顔がひきつっていた。


 そうか。現場で倒れた事を樒から聞いたのだな。


 心配かけてごめんね。……ん?


 母さん、なんでスマホを僕に向けて写真を撮るの?


 あれ? 樒まで僕にスマホを向けて……


「優樹。あんた」「その格好で帰ってきたの?」


 え? その格好? ……!


「あああああ!」


 不覚! 女装したままだった。


「可愛い! 私、本当は娘がほしかったのよね」

「息子で悪かったね」

「あら? 悪くないわよ。男の子のままでも、優樹は可愛いから。でも、女の子の格好をさせるともっと可愛いわ」

「分かったから、もう写真撮らないでよ」

「良いじゃない。減るもんじゃないし」

「僕の心がすり減る」


 スマホから電話の呼び出し音が鳴ったのは、僕が自室へ逃げ込んだ時。


 電話の相手は、魔入さん。


『社さん。今、私はあの家の前にいるのだけど』

「はあ? 何やっているんです! 危険だから、すぐに離れて下さい」

『それが、ディレクターがパワーストーンを回収できなかったのなら、弁償しろと言われて』

「お金と命とどっちが大切ですか!」

『どっちも大切よ。だから、退魔弾の代金は負担するから、私がパワーストーンを回収する間、護衛してほしいのよ』

「そんな事、樒に頼んで下さい」

『頼んだけど、断られたから君に頼んでいるんじゃない』

「樒が無理なら、僕なんか余計無理です」

『お願い。無料(ただ)とは言わないから』

「お金を積まれても行きません」

『君。さっき、キスシーンを放送しないでと言っていたわね』

「ええ、言いましたけど、どうせ放送するのでしょ」

『護衛してくれたら、あの映像はカットするわ』

「本当でしょうね?」

『本当よ。正直言って私としても、あのシーンは入れたくないのよね。君のファンが減るから……』


 いや、それは減らしたいのだけど……でも、先生にキスシーンを見られたくないし……


『そうそう。家の中まで入らなくてもいいわ』

「家に入らないで、どうやってパワーストーンを回収するんですか?」

『ドローンを使うわ』

「ドローン? しかし、ドローンのような無線機器も、霊の妨害を受けやすいのですよ」

『大丈夫。私の使っているドローンは、霊障対策を施してある特別製よ』


 そんなのあったんだ。


「そうですか。しかし、あのパワーストーンって、そこまでして回収しなきゃ行けないほど高価な物なのですか?」


 見たところブラックオニキスの様だけど、あれはそんな高価な石ではないはず。


『石そのものは高価ではないけど、高名な霊能者の念が込められているのよ』


 まあ、そうだとすると安くはないな。


『それとね。スマホを持ってきてほしいの』

「スマホ? スマホを無くしたのですか?」

『違うわよ。この前、私のお爺ちゃんに使ってもらった幽霊でも使えるスマホ』


 タンハーのスマホか。しかし、あれは……


「あれは樒が持っているので……」

『だから、君から頼んでみて』

「それは良いですけど、何に使うのですか?」

『ドローンで運んで、幽霊に渡してからインタビューを』


 物好きな……しかし、そんな事をしたら貴重なスマホを紛失しそうだし、樒がOKするとは思えないな。


「まあ、いいですけど……樒がダメだと言ったら諦めて下さい」


 だが、電話を切ってから、リビングに戻ると


「良いわよ」


 僕から事情を聞いた樒は、あっさりとスマホを差し出した。


「良いの?」

「ただしレンタル料はいただくわよ。これは不正請求じゃないからね。魔入さんにはちゃんとその事を伝えてね」

「分かった」


 僕は樒からスマホを受け取ると、再びあの物件に向かった。


 

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