表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
事故物件2

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

151/289

さようなら。僕の恋。

 ここは、元々予定にない物件だったというのか?


「まあ、いい映像が撮れたのだから良かったわ」


 良くない!


 そのせいで僕は、蔦の化け物に襲われて、恥ずかしい映像を撮られて、悪霊に精気を吸われて死にかけたというのに……


「じゃあ、本来僕たちが入る物件は、どこだったのですか?」

「それが、この住宅街に入ってすぐのところだったのよね。ほら、私たちが住宅街に入ってすぐに幽霊が後から付いてきたでしょ」

「ええ」

「あの幽霊が、本来の取材対象だったらしいわ」


 確かにあれなら危険はないが……


「うわ!?」


 突然樒に抱き上げられた。


「なにすんだよ! 樒」

「何って、お姫様抱っこしているんだけど」

「恥ずかしいだろう!」

「あんた、しばらくは身体が動かないのでしょ。動くまでの間、私が抱っこしてあげるわよ」

「いいよ。そこまでしなくても」

「よくないわよ。九字で悪霊を追っ払ったけど、あれは一時的な処置だから。いつ戻ってくるか分からないし、早くここを離れないと危険よ」


 そう言ってから樒は、僕を抱き抱えたまま玄関へ向かって歩き出した。


 その横を魔入さんがすれ違う。


 樒は後を振り返って言った。


「魔入さん。この家は危険だからもう入らないで」

「だって、まだパワーストーンが……」

「しょうがないな。やっちゃって」


 樒は誰に言っているんだ?


「きゃあ! 何よ。これは?」


 何が起きたのだろう?  


 と思っていると、何かが僕と樒の横を通り過ぎた。


「ちょっと! 私は長い物は苦手だって言ったでしょ!」


 金色の竜が、その細長い身体を魔入さんの身体に巻き付けて飛んでいた。


 この竜、ミクちゃんの式神だったな。


「樒。ミクちゃんも来ていたの?」

「そう。式神が必要になるかもと思ってね。まあ、私の九字切りで片づいたけど。ミクちゃんには、すでにブースターを飲んで待機してもらっていたから、魔入さんを待避させるのに使わないともったいないじゃない」


 ブースターってかなり高いらしいからな。


「魔入さん」


 樒が呼びかけると、竜に巻き付かれた状態で魔入さんは振り向いた。


「今、私が優樹を抱っこしている様子は撮影していますか?」

「そりゃあ、ドローンが撮影しているけど……」

「じゃあテレビに出すときは、私の事は美少女霊能者の彼氏という設定にしておいてくれない」

「え?」


 魔入さんはしばし考え込む。


「単なる相棒じゃだめなの?」

「彼氏がいるという設定にしておいた方が、優樹にストーカーする奴が減るでしょ」

「ううん。どうかしら? でも、恋人という設定にしたいのなら、もっと恋人らしい事をしてもらわないと……」


 恋人らしい事?


「それもそうね。じゃあ優樹。今から、恋人らしい事しようか」

「ちょっと! 樒! 恋人らしい事って、何を?」

「前に一度やったでしょ。あんたのお母さんの車の中で……」

「まて! まて! まて! これってテレビに映るんだよ!」

「当たり前じゃない。テレビに映すためにやるんじゃない」

「みんなに見られちゃうよ!」

「いいじゃない、私も優樹も変装しているし」

「母さんにはばれているし、超研の先輩達にもばれているし……」


 なにより、氷室先生にばれている。


 先生にこんなシーン見られたら、僕の恋は……


「別にいいじゃない。先輩たちに見られたって」

「ああ! そうだ! 呪殺師ヒョーも番組を見ていて、僕だと気がついたんだ」

「え? そうなの?」

「そうだよ。さっきネズ子が来てそんな事言っていたんだ」

「そうか。ヒョーが見ていたのね」


 考え直してくれたか。


「それなら、尚更やらないと」


 なんでそうなる!


「ここで私と優樹の仲を見せつけて、ヒョーには優樹の事を諦めさせるのよ」

「いや、待って。そんな事をしたら樒が呪われ……わ!」


 樒が急速に顔を近づけてきた。


「わあ! 近い! 近い! 近い!」


 さようなら。僕の恋……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ