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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
事故物件

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128/289

意地悪かな?

「それでチイちゃん。わしを呼び出して何用じゃ?」


 お爺さんの霊を前にして、千尋さんは見事に狼狽(うろた)えていた。


「ええっとね……その……お……お爺ちゃんに、お礼を言いたくて……」

「お礼? はて、わしは何かしたかのう?」

「ほら……お爺ちゃんの遺産を、叔父さんから分けてもらったじゃない。叔父さんにお礼を言ったら、礼ならお爺ちゃんに言うようにと言われたのよ」

「なるほど。それで降霊術を使って、わしを呼び出したのか。うむ。よい子じゃな。チイちゃんは」

「あは……あはは……」

「千尋さん。お爺さんに、頼み事があったんじゃなかったの?」


 僕がそう言った途端、千尋さんは怒りの形相で(にら)みつけてきた。


 コワ!


「優樹。あんた時々、意地悪(いじわる)になるわね」


 樒がボソっと耳元で囁く。


「そうかな? 意地悪かな?」

「意地悪よ。いつもは可愛い顔しているのに、今は悪魔みたいな表情浮かべているわよ」


 え! マジ?


 鏡を見た。


 うわ! ちょっとやばいかも……


「六道魔入さんは心霊番組をやっているけど、叔父さんからは家族の霊を(さら)し者にするのだけは止めろと釘を刺されているらしいのよ」


 そんな事情もあったのか。


「樒は、なんでそんな事を知っているの?」

「週刊誌のインタビュー記事にあったのよ」 


 一方、千尋さんは……


「ねえ。お爺ちゃん。ここって、素敵なお部屋でしょ。私の新居なのよ」


 話を()らすのに必死だった。


「ほう。いい部屋じゃ。チイちゃんにぴったりじゃ。そうか! わしの遺産を、この部屋を買うのに使ったのじゃな」

「そ……そうなのよ。それでお爺ちゃんに、お部屋を見てもらいたくて……」

「そうじゃったのか」


 千尋さんは、小さな仏壇の扉を開いた。


「ここにね。お爺ちゃんの遺影を飾っているのよ」

「おお! これは懐かしい。みんなで箱根へ行った時に撮った写真じゃないか」


 なんとか誤魔化(ごまか)せているみたいだ。


「ところで、チイちゃん。今、仕事は何をしているのじゃ? まだ、テレビの仕事を続けているのか?」

「え……ええ、まだ続けているわ」

「確か、心霊番組だったな?」

「そうよ。『六道魔入の怪奇レポート』だけど」

「それそれ。わしも生きているときは、見ていたぞ」

「そうなの。嬉しい」

「まあ、登志夫(としお)はあの番組を嫌っていたみたいだが」

「どうして、叔父さんは私の番組が嫌いなの?」

「仏様を見せ物にするなんて、罰当たりな番組だとか言っておった。あいつは、あれで信心深いやつじゃからな」


 そうだよね。僕も叔父さんとは同意見。仏様を見世物にするなんてよくないよ。


「どうじゃ。良い機会じゃから、わしもその番組に出演させてくれんか?」

「え?」


 え? ちょっと待って。説教してくれるのじゃなかったの?

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