降霊術
優樹が霊界から霊を呼び出すには、特殊な降霊術を使います。
その降霊方法は極秘事項のためお見せする事はできませんが、今回も霊の呼び出しに成功しました。
え? 手抜き描写? 違います。降霊術はとても危険なのでお見せできないのです。
「わしを呼んだか?」
そこに現れたのは、九十近いお爺さん。
もう死んでいるけどね。
「お久しぶりです。霊界には、無事に逝けたようですね」
爺さんは僕の姿をしげしげと見つめた。
「おお! あの時の霊能少年か。仮死状態のわしを、安楽死させるように息子を説得してくれたのじゃな。礼を言うぞ」
「仕事ですから」
「ん?」
爺さんの視線が樒の方に向いた。
「な!? なぜこの女がここにいるんじゃ!」
あ! そういえば、このお爺さん、樒にヒドいことをされたと言っていたな。
「大丈夫です。彼女も、反省していますから……」
「本当かあ? それで、わしを霊界から呼び出して、何用じゃ?」
「はい。この方に呼び出すように頼まれまして……」
千尋さんを指さした。
「ん? 誰じゃ? この女性は?」
千尋さんは慌てて帽子とメガネ、マスクを外した。
「お爺ちゃん!?」
「おお! チイちゃんではないか」
チイちゃん? そうか! 千尋さんって、家族からそう呼ばれているんだ。
千尋さんは僕を睨みつけてきた。
「社さん! なんでお爺ちゃんを呼び出すのよ?」
「霊ならなんでもいいって、言ったじゃないですか」
「だけど……」
「呼び出す前に、僕は危険が伴うかもしれないと忠告しましたよ」
「いや……こういう危険とは……」
そう。僕は霊障があって危険と言ったのではない。
お爺さんに説教される危険があるという意味で言ったのだ。
「でも……勝手にお爺ちゃんをテレビに出したりしたら、叔父さんに怒られちゃうじゃないの」
他人の霊ならいいのか。
「他の霊を呼び出して……」
「ええ! 僕もう疲れちゃったから、他の霊なんて呼び出せないしぃ……」
嘘です。まだ、余力はあります。
千尋さんは救いを求めるような視線を、樒に向けた。
「それじゃあ、あなたが……」
「ごめん。私はいろんな術が使えるけど、降霊術だけはできないの」
「そんなあ……」
さあ、あきらめてお爺さんに説教されて下さい。




