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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
事故物件

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125/289

それを言われると弱い

 この様子だと、千尋さんってバラエティ番組に出ている人のようだ。


 僕は樒の耳元で囁いた。


「この人って、誰なの?」

「オカルト芸人の六道魔入(ろくどうまいり)。『六道魔入の怪奇レポート』の司会とかやっている人よ」

「それって、バラエティ番組なの?」

「オカルトバラエティ番組と言うそうよ。最近は事故物件に住んで、そこに起きている心霊現象をレポートするなんて事をやっているわ」


 それじゃあ、この部屋に入ったのも取材だったのか。


「他にも、いろんなバラエティ番組に出ているけど、名前ぐらい聞いた事ないの?」


 僕は首を横にふった。


「初めて聞いた」


 ていうか、芸人の名前なんて知らんわ。


 興味ないし……


 でも……本人の前で悪いこと言っちゃったな……


「あのお……千尋さん……」

「なあに、社さん。低俗な番組に出演している低俗な女に何か用かしら?」


 うう……怒っている。ここは……


「ごめんなさい!」


 謝るしかない。


 思い切り土下座した。


「別に謝らなくてもいいわよ。どうせ私の出演する番組なんて、教育上よろしくない低俗番組ばかりだし……」


 うう……許してくれそうにない。どうしよう?


「でも、悪いと思うなら、私の頼みを聞いてくれるかな?」

「はい! なんでも、聞きます!」


 は! 思わず言ってしまったけど、何をさせられるんだろう?


「ちょっと、待ったあ!」


 突然、樒が僕と千尋さんの間に割り込む。


「六道魔入さん。優樹の罪悪感につけ込んで、不当な要求をする気じゃないでしょうね?」

「不当な要求とは?」

「そりゃあ、お金とか、お金とか、お金とか……」


 金しか思いつかんのか!


「大丈夫よ。むしろ願いを聞いてくれたら、こっちが謝礼金を出してあげたいぐらいだから……」

「え!? そうなんすか?」


 一瞬、樒の目に$¥マークが浮かんだ。


「でも、霊能者協会では、規定の料金以外は受け取れない事になっていたわね。残念だけど……」

「うう……ものすごく残念」

「私の頼みは、さっきも言ったけど、霊を呼び出して欲しいのよ」


 つまり、心霊番組に出すために霊を呼び出せと……


 でも、霊を見せ物にするなんて……


「霊を呼び出す事はできます。ただし、僕が呼び出せるのは、過去に僕が関わったことのある霊だけですよ」

「良いわよ。霊ならなんだって」

「でも、霊は物じゃないのですよ」

「分かっているわよ。バリオン物質じゃないという事ぐらい」

「そういう意味じゃありません。霊は、元々生きていた人間だったのですよ。それを見せ物にするなんて、ひどくないですか?」

「あらあ? じゃあ、人が一生懸命作っているテレビ番組を、低俗呼ばわりするのはひどくないの?」

「う……」


 それ言われると弱い。


 結局僕は、霊を呼び出すことに同意した。

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