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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
事故物件

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事故物件

 日曜日に樒と待ち合わせをしていたのは、現場近くの公園。


 ここならバイクが無料で駐車できるから選んだのだが、約束の十時になっても樒は現れなかった。


 時間にルーズな奴ではないはずだから、何かあったのか? と心配しているところへスマホの着信音が鳴り響く。


『優樹。遅くなってごめん』


 スマホから流れる樒の声の後ろから、子供の鳴き声が聞こえる。


 やはり、何かあったのか?


『途中で事故に遭っちゃって』

「え! 事故に遭った? 樒は大丈夫なのか!?」

『違う、違う。私が事故に遭ったのではなくて、事故を目撃しちゃったのよ』


 なあんだ。焦った。


『信号無視した車が、子供をはねたのよ』


 背後から聞こえる子供の鳴き声は、被害者のようだな。


『だけど、犯人の車は逃げちゃったのよね』


 そいつはけしからん。


『でも、大丈夫。私のバイクのドラレコに、奴のナンバーがばっちり写っているから』


 それは大手柄。


『もうすぐ警察が来るから、ドラレコのデータを渡して犯人を市川送りにしてやってからそっちに行くわ。だから、優樹だけ先に現場に行っていてね』

「それはいいけど、現場の住所は分かっているの?」

『あ! まだ聞いていなかったっけ』

「じゃあ、住所はメールで送っておくよ」

『そうして。分からなかったら電話するから』


 電話を切ってから、僕は現場に向かった。


 現場は、公園近くにあるマンションの十階にある部屋。


 依頼人の名前は御船(みふね) 千尋(ちひろ)さん。


 以前に僕が、植物状態にあるお爺さんから、ネット証券の暗証番号を聞き出す仕事を依頼した事のある人の姪御さんだ。


 一週間ほど前に、ここへ引っ越してきたのだが、隣の人に挨拶に行ったところ、この部屋は半年前に自殺者が出た事故物件だというのだ。


 しかし、事故物件って確か不動産屋に告知義務があるはずだよなあ。


 引っ越すまで分からなかったのかな?


 エレベーターを十階で降りて件の部屋のブザー押すと、出てきたのは清楚な白いワンピースに身を包んだ、艶やかな黒髪を腰まで伸ばした美女。


 年齢は二十八だと聞いていたが、もっと若く見える。


 身長は樒より低いけど、僕より遙かに高い。


 百七十ぐらいかな?


 僕は名刺を差し出した。


「初めまして。霊能者協会から派遣されました社 優樹です」

「あら! 可愛い霊能者さんね」


 名詞を受け取った彼女に、学生証と原付免許を見せる。


「こんななりですけど、僕は高校生ですので」

「知っているわよ。叔父から聞いているわ。とにかく、上がって」

「では、お邪魔します」


 部屋に上がって周囲を見回したが、霊は見あたらない。


 気配も無いぞ。


 もう成仏しているのかな?

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