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霊能者のお仕事  作者: 津嶋朋靖
冥婚

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109/289

死神

 誰だか分からないが、この男が人間ではないという事だけは分かった。


 霊的な存在だ。


 霊的な存在にも関わらず、男は結界をあっさりと越えた。


 エレキギターでも持っていそうな出で立ちだが、彼が持っているのは大きな鎌。


 大きな鎌を持っていて、結界をあっさり越えたという事は……


 僕は樒の袖を引っ張ってたずねた。


「この人、樒の知り合い?」

「知り合いだけど、人ではないわ」

「じゃあ樒が昔会ったと言っていた死神?」

「そうよ。死神のロックさん」

「ロックさん?」

「私が勝手にそう呼んでいただけ。どういう経緯で会ったかは、そのうち話すわ」


 どうやら、僕が荻原君を追いかけて部屋を出た後に、この死神が現れて樒に事情を話していたらしい。だから、樒はなかなか出てこなかったのか。


 死神が、飯島露の方を振り向いた。


「よお! 露ちゃん。待たせて悪かったな。受け入れ準備ができたので迎えに来たぜ」


 しかし、パンクロッカーの様な風体は、死神というよりまるで悪魔だな。


 いや……


 僕はタンハーの方を振り向く。


 死神の姿を見て、怯えている幼女。


 可愛らしい姿をしているが、こいつが本来の悪魔なんだよな。

 

「おい! タンハー!」

「ひい!」


 死神に(にら)まれ、タンハーは小さな悲鳴を上げた。


「俺が目を離している(すき)に、いろいろと好き放題やってくれたようだな」

「いやいや、礼には及ばぬぞよ」

「礼なんか言ってねえ! しばくぞ! ゴラア!」

「ひええ! こんな可愛い幼女をいたぶるというのか!」

「今すぐ俺の目の前から消え失せろ! 今回だけはカンベンしてやる」

「それでは、お言葉に甘えて……」


 だが、帰ろうとするタンハーの襟首を樒が捕まえる。


「待ちなさいよ」

「な……なんじゃ! 大女! わらわはもう帰るのじゃ!」

「死神さんは許したけど、私は許さないわよ。たっぷりお尻を叩いてやるわ!」

「ひええ! 鬼! 悪魔!」


 悪魔はおまえだろう。


「よしな。樒ちゃん」


 今にもタンハーの尻を叩こうとしていた樒の手を、死神が掴んで止めた。


「こいつを叩くと、マズイ事になるぞ」

「マズイ事って? どういう事よ? 死神さん」

「こいつ、転生しているんだよ」

「え? 転生?」


 どういう事だろう?


「タンハーだけじゃない。ラーガとアラティも人間に転生している。マーラの奴は、時々娘たちを現世に転生させて、いろいろと悪さをやらせているんだ」


 マジか? いや、それより人間に転生しているという事は、当然戸籍もあるし殴れば暴行罪になる。


「ややこしい事をしてくれるわね」


 樒は悔しそうにタンハーを手放した。

 

 自由の身になったタンハーは、そのままトテテと走って逃げて行く。


 だが、三十メートルほど離れたところで、タンハーは立ち止まりこっちをふり向いた。


「やーい! 大女! 殴れるものなら殴ってみろ! 次は警察沙汰にしてやるぞよ」

「うっさい! とっとと消えろ!」

「ひええ!」


 そのままタンハーは、ピュー! と走り去って行った。

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