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言語

 エマニュエルには国や地域、種族によって異なる言語が存在する。この頁ではそれらのうち、作中での登場頻度が高い言語について取り上げ、解説する。

◆ハノーク語

 エマニュエルにおける公用語は現代ハノーク語と呼ばれる言語である。現在のエマニュエルでは世界の人口のおよそ9割がハノーク語を話す。

 この言語のルーツは神界戦争ののち、世界の3/4を支配したハノーク大帝国にあり、かの国が行った民族同化政策によってハノーク語が世界の共通語となった。


 ハノーク語には現代ハノーク語の他にも近世ハノーク語、中世ハノーク語、古代ハノーク語といった時代ごとの分類が存在し、現代ハノーク語と古代ハノーク語はもはやまったく別の言語と言っても過言ではない。

 なお作中において、古代ハノーク語は古英語を下敷きにした造語、中世ハノーク語は公家言葉や武家言葉、近世ハノークは近代口語(漢文の書き下し文のような文体)、現代ハノーク語は主に現代口語(及び現代英語)で表現している。


(ハノーク文字)

挿絵(By みてみん)


 現代ハノーク語は22文字のハノークアルファベットによって表される。ハノークアルファベットにはa,i,u,e,oを表す文字がなく、基本的に母音は省略して記述される。しかし世界全体を見てもエマニュエルの識字率は4割に届かず、読み書きに不慣れな人間が多いことから、平易な文章には母音記号(日本語でいうところのふりがなのようなもの)が振られることが多い。


 例として、ハノークアルファベットで「Emanuelエマニュエル」という名詞を記述すると下記のようになる。


挿絵(By みてみん)


 上記のハノーク文字の上に振られている記号が母音記号であり、直後に母音がつく文字の上に振られる。母音記号の発音は以下のとおり。


   ○ → a / - → i / ・ → u / ^ → e / v → o


 なお「Emanuel」の場合、母音が単語の頭に来ているが、このように独立した母音を表記する場合には上図※印の文字を使う。この文字は「自由文字」と呼ばれ、上部に母音記号を振ることでa,i,u,e,oの発音を独立して表す。

 なおこの22文字のハノークアルファベットは、二十二大神を象徴する22種類の神璽みしるしから誕生したと言われる。たとえば※印の文字が自由文字と呼ばれるのは、かの文字が自由の神ホフェスの神璽《白き双翼(カナフ)》から生まれたためである。


 現代のハノーク文字はいずれも表音文字だが、古代ハノーク時代には5000を超える数の文字が存在した。この膨大な数の古代ハノーク文字はいわば、エジプトのヒエログリフや中国の漢字のような表意文字で、ひとつひとつの文字に単数~複数の意味があった(たとえば「夢」という漢字に「眠っている間に見る幻」という意味と「願望、目標」という意味、二つの異なる意味が同時に存在するように)。


 しかし膨大な量の文字を読み書きできるのは、高等教育を受けることが可能だったごく一部の富裕層や聖職者に限られ、古代の識字率はエマニュエル全体で1割にも満たなかった。これにより庶民の間から「特権階級の人間たちは地位や金だけでなく知識まで独占している」という不満の声が上がり始め、事態を重く見た大神殿の神官たちが、文字をより平易で広めやすく改良するプロジェクトを立ち上げることになる。


 そうして時代を経るごとにハノーク文字の数は減り、最終的に現代の22文字へと集約された。その過程で失われた膨大な数の古代文字は、今では大半が解読不能であり、世の考古学者が懸命に研究を続けている。


 また、上図中段に表記されている記号は数字を表すものである。ハノーク数字はアラビア数字と同じく、「二十二」ならば「22」と記述する。なおハノーク数字はエマニュエル創世記の内容になぞらえて考案された。詳細は以下のとおり。


挿絵(By みてみん)


 このようにすべての数字が神話と対応していることから、エマニュエルにも縁起のよい数字・悪い数字がある。たとえば「6」は《母なるイマ》の誕生を表す数字であり、その記号は女性の子宮を意味している。そしてこの記号の形が馬の蹄鉄に似ていることから、エマニュエルの聖職者たちは蹄鉄をモチーフにしたロザリオやアミュレットを所持している(ちょうどキリスト教における十字架のように)。


 6という数字や蹄鉄は慈悲深きイマの聖なる加護を象徴するものであり、エマニュエルの民はイマの星(北極星)に祈るとき、必ず胸に数字の6を描く。また、この6という数字はエマニュエル創世記の第六節、地上を滅ぼさんとした《嘆きの雨》が降り始めてから6日後・・・に止んだ神話にも通じる。よってエマニュエルでは6が非常に縁起のよい数字とされている。


 反対に縁起が悪いとされているのは、神鳥ネスに降りかかった災いと喪失を意味する「4」や、争い・死を連想させる「8」。

 これらの数字はエマニュエルでは忌み数とされ、宿屋などでは4と8のつく部屋番が存在しなかったりする。また、エマニュエルの民が4と8のつく年齢のときに聖浄式せいじょうしきを受けるのも、この不吉な数字が厄を呼び込まないようにするためである。


 なお、度量衡を表す記号はそのままアレーアナフゲーザなどを表す形(サデーは畑に実った麦穂がモチーフ)。貨幣を表す記号は赤銅貨、青銅貨、銀貨、金貨の単位がそれぞれぺラフ宝石ペニナ羽根ノツァシールを意味していることから、それらになぞらえた形となっている(金貨シールは肉体に収まるハートを表している)。



◆ルミジャフタ語

 トラモント黄皇国南部、グアテマヤン半島にある唯一の集落ルミジャフタで話される言葉。1000年にも及ぶ歴史を持ち、エマニュエルでは非常に稀少な〝生きた古代語〟である。

 太陽神シェメッシュを崇めるルミジャフタの民は、太陽のことを「キン」と呼ぶ。このためルミジャフタにおいて「ki」という発音は聖なる音であり、太陽にまつわる言葉以外に「ki」の音が含まれる単語が存在しない(たとえばルミジャフタで暮らすキニチ族の「キニチ」とは、ルミジャフタ語で「太陽の民」を意味する言葉である)。


 それゆえルミジャフタの民はハノーク語を話す際にも「ki」の発音を避ける傾向があり、たとえば「key」は「ケイ」、「kitchen」は「クィッチン」といった具合に独特の訛りを見せる。

 またルミジャフタ語には「tiティ」と「ka」の発音を含む単語が多く、ルミジャフタの民はこの2つの音にアクセントを置いて話す。よって「community」は「コ→ミュ→ニ→ティ↑」、「worker」は「ワー→カー↑」など、ハノーク語の発音にもその傾向が表れることが多い。なお作中、ルミジャフタ語はマヤ・アステカ系の言葉をごちゃ混ぜにした造語で表現されている。



◆竜語

 死の谷で暮らす竜人ドラゴニアン族が話す言葉。濁音が多く、舌の短い人間では発音が難しい。「r」の発音がやたらと巻き舌だったり、「s」の発音が「サァー」「シィー」「スゥー」と牙の間から息を抜くような音になるのが特徴(後者については映画『ハリー・ポッター』に登場する蛇語パーセルタングの「s」の発音に非常に近い)。

 また、竜人の口内は口蓋が深いつくりになっているため、「n」の発音に力が入る。たとえば「グニドナトス」のアクセントは「グ()()トス」。

 口の構造的に「ニャ」「ニュ」「ニョ」の発音は不可能。「エマニュエル」も「エマ()エル」という発音になる。

 世界で竜語を話すのは竜人族だけであり、人間との交流もまったくないことから、彼らの言語は解析不能。なお、作中での竜語は作者による完全な造語である。



◆ゲヴァルト語

 少数民族であるゲヴァルト族が話す言語。一ヵ所に定住せず、常に各地をさすらって暮らす一族のため同族同士の結びつきが強く、ハノーク語が世界の共通語となった今も民族独自の言語が現存している。

 濁音が多く、「b」「d」「g」「k」「t」などの固い音にアクセントを置いて発音するため、ゲヴァルト語に馴染みのない人間にはかなりいかつく、堅苦しい言語に聞こえる。またハノーク語に比べて抑揚が少なく、それが言葉のアクセントや戦闘民族としての特性と相俟って、威圧的に受け取られることも少なくない。

 作中ではドイツ語で表現。ゲヴァルト族の詳細については「種族・民族・国家」の項で解説する。



◆クプナ語

 無名諸島で暮らす原住民たちが話す言葉。ルミジャフタやシャマイム天帝国と同じくハノーク大帝国の支配を免れた土地であるため、今でも独自の言語が現存している。「クプナ」とはクプナ語で「祖先の言葉」という意味。

 「p」の発音や長音を含む単語が多く、クプナ語を知らない者が聞くと間延びしていてどこかのんきな言語に聞こえる。実際、無名諸島に暮らす部族たちの話し方はのんびりしており、歌うような抑揚で親しみを覚えやすいが、実は非常に排他的で保守的な部族ばかりなので注意が必要。作中ではハワイ語で表現している。



神語しんご

 神話の時代、神々が話していたとされる天界の言葉。この言語は世界で最も強い力を持っている。ゆえに人間たちも神語を唱えることで神刻エンブレムの力を呼び覚まし、神術を行使することが可能。《神々の眠り(エル・エレヴ)》によって神々との接触が失われて以来、神語への理解もまた失われつつあるが、一部は教会や神殿などで大切に守られ、神聖な儀式などに用いられている。

 なお神語は「神聖文字」と呼ばれるハノーク文字とはまったく別の文字で表記される。神聖文字の読み方は口語以上に失われつつあるが一部のみ現存し、決められた文言を物質に刻むことで、物に力を与えることができる。

 たとえば手枷に封印の神聖文字を刻めば、その手枷は神術使いの神刻を眠らせる封刻環チャームとして機能する。現在、神聖文字の読み書きができるのはかなり高位の聖職者のみ。なお字体のイメージは『ラジエルの書』に出てくる天使文字に近い。口語の方は、作中ではヘブライ語で表現している。


(『ラジエルの書』天使文字の参考URL)

https://www47.atwiki.jp/john_dee/pages/76.html



魔族語ナーシュロヴァ

 魔族と呼ばれる知性を持つ高位の魔物が話す言語。人間にとっては竜語に次ぐ未知の言語で、未だほとんどが謎に包まれている。

 上下に上がったり下がったりするような独特の抑揚と濁音・拗音が多く、「f」「g」「h」「k」「q」「w」「x」の発音が喉に籠もったように響く特徴がある。作中ではロシア語で表現。なお、魔族語は『The Elder Scrolls V: Skyrim』に登場するドラゴンアルファベットに似た、爪で引っ掻いたような文字で表記される。ただしこちらも人間には判読不能。魔族語を理解したければ魔族の血を受け、契約を結び、魔人に堕ちる以外に方法はない。魔族や魔人についての詳しい解説は「種族・民族・国家」の項目で行う。


(『The Elder Scrolls V: Skyrim』ドラゴンアルファベット参考URL)

http://ja.elderscrolls.wikia.com/wiki/Dragon_Alphabet

※作中には他にも複数の言語が登場するが、頻度や重要性の低いものについては各国家や種族の項目で解説する。

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