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           (ハノークカレンダー)

           挿絵(By みてみん)


※ピンク色の祝祭日は世界共通。

※オレンジ色の祝祭日は特定国家のみ。

※画像は何度かクリックすると拡大できます。


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◆ハノーク暦

 22日×22ヶ月=484日を1年とする暦。ハノーク大帝国の時代、星座の運行をもとに創られた暦で、現在では世界共通の暦として各国で使用されている。月名やだいたいの季節については上図のとおり。


【主な祝祭日】

◎六聖日

 新年最初の6日間のこと。具体的には賢神の月の賢神の日~愛神の日(1月1日~1月6日)の6日間を指す。この6日間は新らしい年の始まりをエマニュエルの創世に見立てて祝うのが通例となっており、おおよそどの国でも祭が続く。

 詳細については以下のとおり。


鳥来祭ちょうらいさい

 賢神の月・賢神の日(1月1日)、エマニュエルの元日。見渡す限り何もない〝無〟であった世界に、神鳥ネスがやってきて天樹の種を撒いたこと(=世界の始まり)を祝う日。主に新たな一年の多幸を祈る新年祭や大礼拝が執り行われる。

 庶民の間には『鳥追い』と呼ばれる行事があり、この日、人々は老いも若きもこぞって囲いの中に放たれた鵞鳥ガチョウを追いかける。これは世界的な娯楽競技『聖戦リヴォルト』の試合中、鵞鳥を神鳥ネスに見立てて追いかけるルールから派生したもの。鳥来祭の日に放たれる鵞鳥もまた神鳥ネスの代わりであり、人々はこれを捕らえてその日の晩餐で料理して食べる。鵞鳥ネスの肉を食べるという儀式(※1)には、不老長寿や子孫繁栄の願いが込められており、『鳥追い』の儀式はないものの鵞鳥の肉を食べる風習だけが残っている地域も存在する。


祝矢しゅくしの日

 賢神の日・美神の日(1月2日)。《流れ矢》がきたりてネスの翼に突き立ち、その涙から《始まりの二柱》が生まれたことを意味する日。《流れ矢》はこの《始まりの二柱》と共に原初の魔物《魔王ガロイ》をも生み出したことから、各地で魔物の模型を射て弓術の腕を競う流鏑馬やぶさめや弓術大会といった行事が開催される。

 ここから派生して魔物の模型を射るのではなく、『狩りめ』と称し新年最初の狩猟に繰り出す地域もある。なお、エレツエル神領国には剣闘奴隷と本物の魔物を日常的に競わせる娯楽『魔討技ナフタリ』があり、常時対戦用の魔物が確保されている。これを利用して毎年祝矢の日には腕に覚えのある弓使いたちが魔討技場ナフタリウムに放たれた魔物を弓だけで狩り、その数を競う催しがあり、この大会で優勝した者は聖主エシュアに謁見する栄誉に浴することができる。


神誕祭しんたんさい

 賢神の日・豊神の日(1月3日)。《始まりの二柱》である《白きもの》と《黒きもの》が交わって《母なるイマ》が生まれ、さらに《母なるイマ》から二十二大神が生まれ落ちたことを祝う日。この日は家族や親戚が一同に会し、歌い踊って神々の誕生と現世での血縁を祝福する。

 また、教会では聖職者たちによる創世記の朗読や演劇が披露され、大きな都市では同じく創世記になぞらえた移動劇フロートが大通りを練り歩く。この移動劇の演者として選ばれることは役者にとって最大の栄誉とされ、あらゆる劇団から花形の男優・女優が出演するイベントとして庶民の注目を集めている。


④嘆きの日

 賢神の日・天神の日(1月4日)。《母なるイマ》が天界から身を投げ、星となったことを嘆き悲しむ日。各地の教会で慰霊祭が執り行われる日であり、人々はこの日に死者を悼む。嘆きの日に合わせて墓参りをする者も多く、墓前で新年の誓いを立てるのが通例。これは《母なるイマ》を失った二十二大神が《イマの星》の下、父神である《始まりの二柱》と戦端を開くことを誓った神話に由来している。


祓魔ふつまの日

 賢神の日・永神の日(1月5日)。二十二大神が神界戦争を経て、邪神に墜ちた《始まりの二柱》を打ち破ったことを祝賀する日。

 悪しきものを祓い一年を無事に過ごすため、各教会が主催する祓禊式ふっけいしきや寒中禊などが執り行われる。市井では公衆浴場が無料開放されることも。さらに「穢れを遠ざける」という意味で、普段は聖職者のみが遵守する四禁よんきん(※2)を庶民が守ったり、1日絶食をする地域もある。

 この日に行われる祭としては、乾燥保存した花びらを互いに浴びせ合い、穢れを清めるというアマゾーヌ女帝国の『花清め』が有名。また都市部では神界戦争を模した馬上競技『聖戦リヴォルト』の大きな大会が開かれることもある。


⑥黎明祭

 賢神の月・愛神の日(1月6日)。神界戦争の終わりに降った《嘆きの雨》が6日目に止み、世界が再び朝を迎えたことを祝賀する日。この日は1日明かりが絶えることなく、夜も明々と灯火が焚かれるため非常に幻想的な景色が楽しめる。

 この日に合わせて行われるトラモント黄皇国の天燈祭てんとうさい(願いを描いた薄紙で小さな熱気球を作り、一斉に天へと飛ばす黄都ソルレカランテの祭)や、モアナ=フェヌア海王国の灯籠流し(こちらも願いを乗せた灯籠を一斉に海に浮かべるというもの)はエマニュエルでも特に有名。願いを込めるイベントが多いのは、《嘆きの雨》により滅亡の危機に瀕した二十二大神が《イマの星》に祈り、見事暗雲を晴らした神話に由来している。


花冠祭かかんさい

 美神の月・美神の日(2月2日)。美の神ヤッフェの眷族ペラヒーム(花の神)にあやかり、1日も早い春の到来を願う日。この日、人々は綿雪草わたゆきそうやステオラの花といった冬の花を集めて花冠を作り、それを共に春を迎えたい相手へ送り合う。花冠を身につけた人々はペラヒームの加護を受けた花の精霊となり、歌い踊って賑やかな春の訪れを演じる。すると歌声や笑い声に誘われた春の神ミズラフが、もう春がやってきたのだと思い込み、一足早く花の神ペラヒームに会いに来るという。

 またこの日、アマゾーヌ女帝国の華都ペラヒームでは、華帝と華族(女帝国の皇族)によるパレードが行われる。華帝とその一族は神輿の上から人々に花冠を投げ渡し、それを見事受け止めることのできた者は美と幸福に恵まれると信じられている。


播種はしゅの日

 豊神の月・豊神の日(3月3日)。豊穣の神アサーに祈りを捧げながら、農家が春蒔き麦の種を蒔く畑開きの日。

 当年の豊穣を願い、前年収穫された麦から製造された麦酒エールを神前に捧げ、人々も浴びるように酒を飲む。禁酒を課されている聖職者も唯一飲酒を許される日。麦の収穫が少ない地域では米や芋、葡萄、動物の乳などから造られた酒で代用する。

 また、この日は古くなった小麦粉で菓子を焼く地域も多く、作った菓子もまた竈の神ベートなどに捧げられる。同じ小麦粉が原料でも、どんな菓子を作るかは国や地域によって様々。トラモント黄皇国ではコロコロした一口サイズのクッキーにジャムを挟んだ『バーチ・ディ・ダーマ』、ルエダ・デラ・ラソ列侯国では食べると口の中で溶けるように崩れる焼き菓子『ポルボロン』、アマゾーヌ女帝国ではアーモンドの風味が特徴のバターケーキ『フリアン』などが代表的。

 またこの時期、まだ種蒔きに適さない寒冷地では、麦に代わって冬蒔きの野菜の種を蒔く。群立諸国連合の一部の国では家の中でフィアの実の種を蒔き、冬を追い払う儀式を行うこともある。


天祈祭てんきさい

 天神の月・天神の日(4月4日)。天空神シャマイムに1年の晴好を祈る日。嵐や大吹雪などの天変地異がないよう、シャマイムの機嫌を取るために国や地域によって様々な〝笑い〟の催しが行われる。

 たとえばトラモント黄皇国では、黄茄子ランペ投げ合戦が有名。黄都ソルレカランテでは毎年冬明けに収穫される黄茄子を人々が投げ合い、黄茄子まみれになって大笑いする黄茄子祭が開催される(これは市民の祭であり、王侯貴族は帝立劇場で喜劇を鑑賞するのが一般的)。

 またアビエス連合国では、マグナーモ宗主国の白都アルビオンで行われる落書き祭アタラメント・イスマが有名。この日、人々は互いの顔や体、果ては白亜の家々にまで落書きをして笑い合う。落書きに使われる墨は雨が降れば勝手に洗い流される優れもの。

 他にも箒花ほうきばなを使ったくすぐり祭や、変顔大会、飲み比べ大会などこの日の催し物は実に様々。シャマイムがつられて笑うと晴天になると信じられており、朝から晩まで人々の笑いが絶えない1日となる。


◎水竜祭

 永神の月・永神の日(5月5日)。春の訪れを祝賀する日。春の神ミズラフは天空を泳ぐ水竜の姿をしていると言われ、この日、人々は水竜を模して作った張り子を担いで町や村を練り歩く。

 竜舞りゅうまいと呼ばれるこの催しは水竜祭の一番の目玉。エレツエル神領国の聖都エルヘンでは、毎年水竜の張り子だけでなく、冬の神ツァフォンの象徴である地竜の張り子も登場し、神殿前広場で厳かに『交代の儀』が執り行われる。この儀式において地竜は水竜の訪れと共に去り、季節が冬から春に移ろったことを舞で表現する。エレツエル神領国の竜舞は、秩序の神トーラの神璽みしるし(※3)《尾を噛む蛇フーグ・ナハシュ》のように、水竜が己の尻尾を噛んでぐるぐると回るのが特徴的。

 また群立諸国連合ではこの日、冬の神ツァフォンの眷族であるミミズやモグラの肉を食べ、厳しい冬を克服したことを祝い合う。

 海洋国家であるモアナ=フェヌア海王国では、水竜の張り子に貝殻を貼り合わせ、鱗を表現。舞の最中に水竜の体から落ちた貝殻を見つけて拾うと、その年は幸福に恵まれると信じられている。


◎感謝祭(春)

 愛神の月・愛神の日(6月6日)。愛する人との出会いに感謝し、共に過ごす日。日本のバレンタインデーに似た祝日で、恋人や友人に贈り物をするのがならわし。春の感謝祭は血のつながりがない相手に感謝を伝える風潮が強く、家族や親族と共に過ごすのは主に秋の感謝祭。春の感謝祭の贈り物には、愛神エハヴの神璽《白水花リベカ》の模様が入った小物や装飾品が人気。エマニュエルではこの日に結婚式を挙げる夫婦がとても多い。


休矢きゅうしの日

 泰神の月・泰神の日(7月7日)。平和の神シャロームの名の下に、一切の争い事を断つ日。喧嘩や仲違いをしている相手がいれば歩み寄り、誰もが和解を試みる。この日、教会では聖職者たちが無償で揉め事の調停役になってくれるため、係争中の相手と共に教会へ足を運ぶ者も少なくない。また、戦時中であっても休止の日は絶対に休戦することが暗黙の了解となっており、戦闘は一切行われない。

 場合によっては敵対する勢力の指導者同士が集まって、会談・会食をするケースもある。そのため休矢の日は停戦や講和が最も実現しやすい祭日である。


◎犬追いの日

 理神の月・理神の日(8月8日)。理性の神イノシュの加護に感謝する日。イノシュは魔王ガロイの策略により、妬みや憎しみといった感情に支配された人々に理性を与え、感情を律する術をもたらした。このことに感謝し、人々は犬追いの日に本能や煩悩の象徴たる獣を追い立てる。

 ただし『犬追いの日』という名前ではあるものの、追い立てる対象は狼であったり狐であったり兎であったりと国や地域によって様々。人々はこれを射止めたり、囲いから追い払ったりすることによって己の煩悩を解消する行為に見立てる。

 また、この日はイノシュの神璽《戴冠する獣ゼヴ・メレフ》にちなみ、王冠のような形のヘタと共に実る果実『クラウンベリー』を食べる風習もある。《戴冠する獣》の王冠は本能(獣)を支配する理性を象徴しているため、それにあやかってクラウンベリーをヘタごと食べることで、煩悩を追い払えると信じられている。


◎告解の日

 真神の月・真神の日(9月9日)。嘘や秘密を告白する日。この日人々は教会へ行き、神前で真実を告白する。やましいことがある者はそうすることで神の赦しを得られると信じられている。

 また、真実の神エメットに感謝する日でもあるため、この日は1日嘘をついてはいけない。告解の日に嘘をついた者には不幸が降りかかるという。

 このため真実の愛の証明として、告解の日にプロポーズしたり結婚式を上げたりする者も多い。同じ理由で契約や協定が結ばれることも多く、告解の日に交わした誓いを破る者にもまた天罰が下るという。


◎車輪祭

 運神の月・運神の日(10月10日)。運命神エシェルの神璽《聖印ガルガリン》にあやかり、あちこちで馬車や戦車によるレースが開催される。

 元々《聖印》は幸運と不幸が互い違いに訪れることを車輪の回転に見立てた神璽。車輪がたくさん回れば回るほど、幸福もたくさん訪れる。ゆえに人々は乗り物の車輪を回すことで、その年1年の多幸を祈る。

 国や地域によっては馬車ではなく荷車や人力車を引いてゴールまで走る競技や、大きな車輪そのものを倒れないように回してタイムや走行距離を競う催しもある。さらに水車や風車ふうしゃを《聖印》に見立てた祭もあり、アマゾーヌ女帝国ではこの日、色とりどりの風車かざぐるまが花と共に町を彩る。水車祭や風車祭は車輪祭に比べて、農作物の豊穣を願う意味合いが強い。


◎善の日

 義神の月・義神の日(11月11日)。正義の神ツェデクの加護を授かるために善行を積む日。「カインド・デイ」とも呼ばれ、この日に他者を助ける等の善なる行いをすると、良い報いが返ってくるという。

 修道院がある町では1日限定で修道士体験が催され、普段修道士たちが行っている羊の毛刈りや糸紡ぎ、染色、農作業、保存食作り、菓子作り等の作業が体験できる。参加者によって作られた食料や日用品は後日孤児院や貧救院に届けられ、身寄りのない人々の生活の糧となる。1日の作業の終わりには修道院の食事や菓子などの土産が参加者に振る舞われ、「良い行いをすると良い報いが返ってくる」という教えを聖職者たちが体現する日となっている。


◎学問の日

 識神の月・識神の日(12月12日)。全智の神コルにあやかって学問が奨励される日。教会では聖典の講義や貴重な書物の読み聞かせ、手習い教室等が無償で開かれ、誰でも学びに親しむことができる。また、エレツエル神領国の聖学殿やトラモント黄皇国のオリアナ学院、アビエス連合国のエルビナ大学などもこの日は無料開放され、有名学者たちの講義を自由に受けることができる。

 さらにマグナーモ宗主国の識神図書館では、寄贈された蔵書の中から予備があるものを学問の日限定で無料配布。高価な書物をタダでもらえるというだけでも大盤振る舞いなのだが、中には既に絶版となった稀少な書物が紛れていることもあり、この日のためにわざわざ海を渡って識神図書館を訪ねる者もいるという。


◎命神祭

 命神の月・命神の日(13月13日)。六聖日のひとつである『嘆きの日』同様、死者を悼み魂の再生を祈る日。エマニュエルでは死した者も天に召されたのち、再び地上へ降りてきて生まれ変わると信じられていることから〝円〟や〝輪〟は魂の循環を意味する。このため命神祭の日にはどこの国でも花輪を作り、故人の輪廻転生を願って墓に備える風習がある。

 また死したのちきちんと輪廻の輪に加われるよう願い、この日は〝ガルガル〟と呼ばれる菓子を食べる。ガルガルとはいわゆるドーナツで、輪っかの形をしていることから命神祭の日に好んで食べられる。

 さらにこの日、生まれてから1年未満の嬰児えいじは漏れなく教会へ参詣し、生まれて初めての聖浄式せいじょうしき(※4)を受ける。本来聖浄式は4歳と8歳のときに受けるものだが、エマニュエルでは新生児の生存率が全体的に低いことから、命神祭の日に行われる聖浄式には健康と長寿を願う意味合いがある。なおこの日、嬰児がいる家には親族や友人知人が贈り物するのが通例。皆で新しい命の誕生を祝う日となっている。


◎浄化の日

 聖神の月・聖神の日(14月14日)。至聖神カドシュの加護を願い、悪しきものを祓う日。邪悪を遠ざけるというカドシュの神璽《聖なる鐘ムシュマ》にあやかり、この日、大きな都市では夜明けと共に教会という教会の鐘が打ち鳴らされる。聖神の刻(14時)になると聖神系教会の聖堂で聖火式が始まり、人々は手作りの松明を持参して列を作る。

 聖火式では神木しんぼく(※5)を薪にした篝火や、聖油の灯明などが用意され、人々はその聖火を己の松明に移して持ち帰る。一度貰い火した松明は翌朝まで消してはならず、家の軒先に掲げたり、燭台や暖炉に移したりして大切に守られる。

 この儀式は本来、燃やすと魔物を遠ざける効果のある神木の松明を使って行われていたが、神木が非常に高価なことや、昔に比べて稀少価値が上がったことから、時代と共に〝聖火から貰い火するだけで良い〟という風習に移り変わっていった。聖火を絶やさず、翌朝まで守ることができた家からは穢れが祓われ、神々の加護が約束されるという。


◎ロマハ祭

 時神の月・時神の日(15月15日)。伝説上、ハノーク大帝国最初の皇帝と言われるロマハ・ヨクメアムの偉業を讃える日。ロマハは時の神マハルに選ばれた神子であると同時に、非常に優れた槍の使い手だったと言われる。この伝承にあやかって、ロマハ祭では〝槍〟にまつわる行事が広く行われることが多い。

 たとえば競技に馬上槍ランスが使われる聖戦リヴォルトの大きな大会が開かれたり、槍の使い手ばかりを集めた武術大会が開かれたり。また、大きな都市では雑技団が壮麗な槍舞を披露したり、民間でも馬に乗って槍の腕を競う馬上槍大会が開かれたりする。

 なお槍とは関係ないが、聖戦と同じく《生命の樹セフィロト》(※6)をフィールドとして使う遊戯であることから、国や地域によっては『陣取り駒カバラ』の大会が開かれることもある。聖戦や陣取り駒の詳細については「文化・文明」の項目を参照。


潤礼じゅんれいの日

 蒼神の月・蒼神の日(16月16日)。大水神マハルと、かの神の眷族たる水の神々の祝福を受ける日。

 人々はこの日、川や海、泉、湖といった水辺に赴き、思いきり水浴びをしたり水掛け合戦をしたりする。たとえば川の神ベラカは、せせらぎにより身の穢れを清めてくれる神と信じられているため、人々は川で禊をすることで心身を清める。

 また、泉の神ラフィは渇きや傷病を癒やす神。このため病を患っていたり体を痛めたりしている者は泉に入ってラフィの加護を願う。また雨の少ない年には雨の神タリアを祀って雨乞いの儀式が行われ、海沿いの町では海の神ヤムに日頃の恵みを感謝する催しが開催されることが多い。


光歌祭こうかさい

 光神の月・光神の日(17月17日)。希望の神であり音楽の神でもあるオールにあやかって、この日は朝から晩まで華やかな音楽祭・合唱祭が開かれる。演奏される曲目は聖歌が多いが、近年は流行り歌や即興での演奏・合唱も増加傾向。

 複数の国家からなるアビエス連合国ではこの日、各加盟国を代表する楽団が他国の楽団と交換される。これは異国の音楽を楽しむための計らいで、光神オールの教えの一つ、「智恵があれば言葉があり、言葉があれば歌があり、歌があれば壁はない」に則ったもの。連合国では博愛の神エハヴの神子にして建国者たるユニウスの教示に従い、人類共存の遂行と博愛精神が尊ばれているため、この日は音楽を通じて各国の交流を深める狙いがある。


◎感謝祭(秋)

 縁神の月・縁神の日(18月18日)。縁結びの神であるエフェスの導きに感謝する日。家族や親類縁者が一堂に会し、1日を共に過ごす。家族や親族として生まれた縁に感謝を表すための祭日。血のように赤い葡萄酒で乾杯をするのが習わし。

 また、この時期にもなると年末が近づくため、家族揃って年越しの準備を始める日でもある。年末年始の計画を立てるのには打ってつけ。家によっては大晦日(竈神祭そうしんさい)に向けて、この日に軽く竈や暖炉の掃除をしてしまうところもある。


◎収穫祭

 金神の月・金神の日(19月19日)。1年の実りとそれをもたらしてくれた太陽神シェメッシュに感謝を捧げる日。

 この日はその年に収穫された作物を使った料理や酒があちこちで振る舞われる。食べたいものを食べられるだけ、腹いっぱいになるまで飲み食いする日。

 逆に凶作で作物に恵まれなかった年には、わずかな食糧をやりくりして作った料理や酒を神に奉納し、翌年の豊作を祈る。農家では冬入り前のすべての収穫をこの日に終え、地域によってはライ麦などの耐寒性が強い穀物の播種を行う。


◎許しの日

 戒神の月・戒神の日(20月20日)。償いと戒めの神であるナーサーの教えに則り、道を過てる者がいればこれを諫め、罪を償おうとする者がいれば許しを与える日。国によっては罪人に恩赦が与えられ、戦時中ならば捕虜が解放される場合もある。教会でも告解が盛んに行われ、この日、神に告白した罪は償いを誓うことで許されると信じられている。

 また、町の広場や教会の敷地にはこの日の前日から、ひいらぎ石榴ざくろなつめといった樹木の枝(あるいは苗木)が用意される。ちょうど日本の七夕で笹の葉に願いの短冊を下げるように、人々は樹木の枝に償いたい罪を記した短冊や手紙をぶら下げる。柊は葉に、石榴や棗は枝に鋭い棘があるため、短冊をかけようとすると手を負傷することがある。その痛みを〝償い〟に見立て、懺悔の短冊を吊るすことで、人々は己の罪を許されようとする。

 こうしてたくさんの罪の告白を吊るした『罪の木』は、夜になると燃やされ、罪の浄化を意味する儀式となる。またこの日、個人間で罪の告白を行った者は、償いの意思の証として相手に銀貨を手渡す風習がある。これはナーサーの眷族であるシャーレム(贖罪の神)が、己の罪を償いたいと願ったひとりの男に銀貨を集めるよう告げた神話に基づく。シャーレムは男が集めた銀貨で贖罪の弓をつくり、これを男に与えたことから、銀貨を受け取った相手は告白者を心から許せたとき、銀貨を返すのが習わしとなっている。


厄払やくばらいの日

 境神の月・境神の日(21月21日)。新年に向けてあらゆる厄を払い落とす日。境界の神パトゥアは表の世界(神界・人界)と裏の世界(魔界)を分かつ神である。このことから人々はこの日、自分の暮らす家(または集落や共同体)を〝表〟、外を〝裏〟と見なして、家の中の厄を外へと追い払う。

 そのための手段は国や地域によって様々。多くの国では日本の節分のように、魔物役の人や獣にウィンベリーと呼ばれる木の実の種を投げつけて、家や集落からこれを追い払う。またアマゾーヌ女帝国では鴉百合からすゆりなどの黒い花(女帝国では縁起が悪いとされる)の花びらを家の床に撒き、それを箒で掃き出すことで悪いものも一緒に外へ出す。そののち、一ヵ所に集めた花びらは炎で焼き清めるのが習わし。


竈神祭そうしんさい

 翼神の月・翼神の日(22月22日)。エマニュエルの大晦日。この日、人々は日の出と共に起き出して家中のかまどという竈、暖炉という暖炉、煙突という煙突から煤を払う。竈神祭は家の守り神であるベート(竈の神)に感謝を捧げる日であり、どの家も日没までに家中の大掃除をすることになる。

 この大掃除で体や衣類に付着した汚れは、その年に負った悪業や穢れに見立てられる。よって大掃除を終えたあと、汚れた衣類は暖炉の火で焼き清め、体についた汚れも隅々まで洗い流すことで、人々は1年の厄を落とす。この儀式のためにわざわざ全身煤まみれになり、たくさん穢れを落とそうとする者もいる。

 すべての儀式が終わったあとは家族全員で暖炉の前に集まり、ベートに供物を捧げて翌年の変わらぬ加護と多幸を祈る。この儀式を日没までにきちんと終わらせないとその家はベートに見放され、あっという間に没落してしまうという。


金翼祭きんよくさい

 天神の月・金神の日(4月19日)。トラモント黄皇国の祝日。

 黄皇国の前身であるフェニーチェ炎王国の建国記念日で、炎王国の始祖イグナシオ(タリアクリ)が背中に翼の刺青を持つ太陽神の神子であったことから、火の鳥(不死鳥)を祀る祭日となっている。

 大きな町では、大道芸人の火吹き芸や火の輪くぐりなど火にまつわる催しが多数行われ、毎年火事や怪我人が絶えない。また、黄都ソルレカランテの聖戦場マウソリウムでは火の神術使いによる『不死鳥炎舞ふしちょうえんぶ』が行われ、王侯貴族も庶民も共に鑑賞できる。

 不死鳥炎舞は火の神術によって巨大な火の鳥を生み出し、舞いを披露するイベントで、演者に選ばれるのは非常に優れた神術使いのみ。黄皇国の歴史上、この炎舞の演者は常に貴族出身。市井の神術使いが選ばれた前例はまだ一度もない。


花祭はなまつり

 永神の月・美神の日(5月2日)。アマゾーヌ女帝国の祝日。現華帝アンペラトリス・ド・ラプソリュ・サンドリアーヌの生誕を祝賀する日。花祭は日本でいうところの天皇誕生日で、華帝が代替わりする度に祝日の日取りも変動する。

 この日、女帝国の華都ペラヒームでは、近隣の町や村から生花を集めて作られた『フルール・フローツ』(無数の花で飾られた山車)が集まり大通りを練り歩く。フローツはペラヒームの丘を登り、宮殿の前まで行って折り返してくるが、毎年華帝はバルコニーからこのフローツを鑑賞。パレード終了後、その年もっとも美しかったフローツには『アムール・デ・アンペラトリス』と呼ばれる賞が与えられ、製作者たちに勲章と金一封が下賜される。

 さらに宮廷舞踏団による公開演舞が見られたり、『ラ・ヴレ・ヴーティ』と呼ばれるミスコンが開かれたり、日没後には花火大会が開かれたりと美や花にまつわるイベントが盛り沢山。アマゾーヌ女帝国で最も華やかな祭と言われている。


◎万国祭

 愛神の月・永神の日(6月5日)。アビエス連合国の祝日。連合国の前身であるシャマイム天帝国の建国記念日。この日、連合国の盟主であるマグナーモ宗主国ではマグナ・パレスが一般開放され、宮殿に集められた連合加盟国の伝統工芸品や歴史的展示物、絵画等を自由に鑑賞することができる。いわゆる万博のようなもの。

 さらに街では各国から集まった伝統芸能集団の出し物が見られたり、諸国の郷土料理や土産物が買える露店が並んだり、連合国最強の聖戦騎士団リヴォルトナイツを決める聖戦リヴォルトの大会『愛神杯』が開かれたりと、すさまじい賑やかさを見せる。なお万国祭の開催は毎年3日間。祭りの間、真っ白な街並みが続く宗主国の白都アルビオンは諸国の国旗で彩られ、非常にカラフルな景色が楽しめる。


◎降神祭

 運神の月・永神の日(10月5日)。エレツエル神領国の建国記念日。この日、神領国の町や村では子供たちが天使の仮装をして家々を回る。天使たちは訪れた家で神々の加護と《新世界エデン》の到来を祈る言葉を口にする。彼らを迎え入れた家の人々は、加護を授けられた礼に用意しておいた菓子を天使へと捧げる。これは1日も早い神々の復活を祈る儀式であり、すべての大神刻グランド・エンブレムを集めて《神々の目覚め(エル・シャハル)》を実現せんとする神領国の悲願を象徴している(なお《新世界》や《神々の目覚め》については「神々・宗教・神刻」の項で詳しく解説する)。

 さらにこの日、神領国の聖都エルヘンでは年に1度の、聖主エシュアによる演説会が開かれる。トーラの神子であるエシュアの御言葉を聞くために、遥か遠方からも聴衆が詰め寄せるほど。

 また、魔討技場ナフタリウムでは人気沸騰中の剣闘奴隷と規格外の魔物を戦わせる魔討技ナフタリの記念大会が開かれ、この大会で勝ち残った者は奴隷身分からの解放が約束される。ただし普段の魔討技とは比べ物にならない強さの魔物が用意されるため、実際に生き残ることができる剣闘奴隷はごくわずか。この大会はエシュアも毎年観戦するため、剣闘奴隷が全滅した場合はエシュアが神の力でもって魔物を滅する。人々にとっては神の奇跡を間近で見ることのできる数少ない機会。


◎パルモーンの日

 命神の月・豊神の日(13月3日)。パルヴァネフ豊王国の祝日。パルモーンとは豊王国の古い言葉で「蝶」を意味し、毎年春になると蝶に似た花をつけるパルモーンの木の実を使った料理や菓子が振る舞われる。

 この日、人々は食したパルモーンの実の種を取っておき、1日の終わり、夕飯のあとに歳の数だけ種を食べる。これは豊王国において蝶は豊穣と再生を司るシンボルであり、蝶に似た花をつけるパルモーンの実の種を食べることで、健康や長寿、多幸を願う意味がある。

 またこの日、豊王国の豊都スールマーズの宮殿には、各地から自慢の蝶を携えた蝶飼人ヌシャファリン(蝶のブリーダー)が集まり、蝶の品評会が開かれる。豊王と元老たちによる審査の末、最も美しい蝶を育てた蝶飼人には褒章として『ナームダール』(「栄光の人」の意味)の称号が与えられ、何でも一つだけ、豊王に願いを叶えてもらえるという栄誉に浴することができる。

 この品評会ののち、スールマーズに集められた蝶たちは一斉に籠から街へ放たれる。人々はこの日のために家の花壇や窓にたくさんの花を用意する。放たれた蝶が家の花にとまったら、その年は幸運に恵まれると信じられているためである。ちなみに命神の月・豊神の日は、豊王国の建国者にして豊神の神子であったイフサーン=マフムド=ハミデフが、かつて荒野だったスールマーズの地を緑豊かなオアシスに変えた日だと言われている。


◎情熱の日

 縁神の月・愛神の日(18月6日)。ルエダ・デラ・ラソ列侯国の祝日。列侯国では「チュカ・ハグ」(古いルエダ語で「チュカの祭日」の意)とも呼ばれる。

 ハノーク大帝国が栄える前、北西大陸南西部に暮らしていたオルカンデラ族は、情熱の神チュカに愛された一族だった。彼らを祖先に持つルエダ人の間には『チュカの舞(アパショナード)』と呼ばれる伝統的な舞踏が残っている。

 アパショナードはチュカが槍の神キドヌに求愛したときに踊った舞踏と言われ、この日、未婚の若者たちは真っ赤な伝統衣装『パシオン』をまとって踊り狂う。パシオンは誰かに求愛する(または求愛を受ける)用意があることの意思表示であり、意中の相手がいる者はその相手をアパショナードに誘う。誘われた者は相手の求愛を受ける場合、アパショナードを踊り返し、断る場合は相手の踊りに背を向ける。これもまた槍の神キドヌがチュカの求愛を二度断り、三度目に華麗な槍舞を返したという神話が由来となっている。

 なお既にパートナーがいる者たちも、あちこちで列侯国の民族衣装を着て踊り狂い、パートナーとの愛を確かめ合う。アパショナードは薔薇の花を咥えて踊るのが伝統で、求愛が成立した場合、男女は互いの薔薇を渡して喜びと感謝の気持ちを伝える習わしがある。


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天道暦てんどうれき

 トラモント黄皇国南部にあるいにしえの郷・ルミジャフタで太古から使われている暦。太陽の運行を元にした暦で、220日を1年とし、30年を1周期とする(これはエマニュエルにおける皆既日蝕の周期である)。

 この暦は郷の巫女ナワリと代々の族長によって管理され、『暦盤れきばん』(※7)と呼ばれるカレンダーによって現在の年や日付を知ることができる。天道暦における1ヶ月は55日。1年は4ヶ月しかなく、それぞれ『暁の月(春)』『日盛ひざかりの月(夏)』『黄昏の月(秋)』『宵の月(冬)』と呼称される。

 なお現在のルミジャフタでは外界に合わせてハノーク暦が使用されているが、太古から続く祭事は今なお天道暦に則って行われる。天道暦によると通暦1480年現在は「世界の始まりから109番目の時代」。109番目の時代は通暦1486年に幕を閉じ、1487年から110番目の時代が始まるとされている。


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竜人暦ドラゴニアンれき

 死の谷で暮らす竜人ドラゴニアン族が使う暦。月の運行を元につくられた暦で、1年=16ヶ月(1ヶ月=30日。ただし4ヶ月に一度、31日の閏月がある)からなる。竜人は文字の文明を持たないため、暦は複数の部族を束ねる大長老(祠守り(※8)であるドラウグ族の長老)によって管理されている。

 なお死の谷は岩石砂漠のため、四季の変動はほとんどないが、一応竜人にも「季節」の概念はあり、季節によって世界を監督する守護精霊(※9)が変わると考えられている。竜人暦の簡易カレンダーと季節・守護精霊の早見表は下図のとおり。


挿絵(By みてみん)

(※1)

 神鳥ネスは生命の源である天樹エッツァードの種を撒いた鳥。ゆえにエマニュエルでは「ネス=生命の起源」と考えられており、この神話が子孫繁栄の願いにつながっている。

 またネスの涙には、いかなる傷や病をも癒やす力がそなわっているとか。この伝説にあやかって、人々は鵞鳥ネスの肉を食らうことを不老長寿、無病息災の願掛けとしている(エマニュエルには鳥来祭に限らず、婚礼の儀式や快気祝いなど、様々な祝いの席で鵞鳥を食べる風習がある)。


(※2)

 四禁よんきんとは、肉食・飲酒・殺生・淫行を禁じる信仰上の戒律。神々は血や穢れを嫌うと言われており、エマニュエルの聖職者(特に修道士)は少しでも神に近づくためにこの戒律を遵守することを求められる。ただし教会によって四禁だったり三禁だったり、場合によってはこの戒律自体なかったりするので、楽をしたい場合は会則の緩い修道会に入ること。ただし会則が緩いということはあまり敬虔な教会ではないということなので、真面目に信仰に帰依したい者にはお勧めしない。


(※3)

 神璽みしるしとは、二十二大神を象徴する紋章のこと。ひとつの神につきひとつの神璽が存在し、この紋章は世界共通。神の魂そのものと言われる大神刻グランド・エンブレムも、それぞれの神の神璽の姿をしている。教会の紋章に組み込まれていたり、お守りに刻印されていたりと、エマニュエルの民にとって最も身近な紋章。


(※4)

 聖浄式せいじょうしきとは、日本の七五三のようなもの。エマニュエルでは4と8が忌み数とされ、数え年4歳、8歳になる年に教会へ行って聖浄式を受ける。

 儀式の内容は神前で聖油を焚き、神々に変わらぬ加護を祈ったのち全身に聖水を振りかけられるというもの。これにより穢れを清め、災いや不幸を遠ざけると共に、子供の健やかな成長を願う。

 この聖浄式には対象者の家族や親族、友人知人が参列し、儀式のあとは身内だけの祝賀会を開くのが一般的。なお4と8が揃う48歳と84歳は最強の厄年と言われており、この年齢に達する年には大人も聖浄式を受ける場合が多い(ただしエマニュエルの平均寿命は50代なので、この年齢まで生きる人間の方が珍しい)。


(※5)

 神木しんぼくとは、白樺のような白い幹を持ち、春に青い実をつける樹木のこと。白や青は神々を象徴する色であり、さらに燃やすと麝香じゃこうに似た香りと青い炎を発することから「神木」と呼ばれる。

 神木の発する香りや炎には魔物を遠ざける効果もあり、古来より20アレー(1メートル)の枝1本で1金貨シールというかなりの高値で取引されてきた。しかし相次ぐ伐採により急速に数を減らし、現在はごく一部の地域にしか自生していない。

 この神木の実の種から抽出された油は「聖油」と呼ばれ、非常に稀少。この油も燃やすと青い炎を発し、魔物を遠ざけるが、薪を燃やしたときと違って香りはしない。


(※6)

生命の樹セフィロト

挿絵(By みてみん)

 10個のセフィラと22本の径からなる図形。生命の源である天樹エッツァードの図柄から派生したものと考えられているため《生命の樹》と呼ばれる。

 古代ハノーク文明の遺跡にはこの《生命の樹》のレリーフが残されていることが多い。これはハノーク大帝国において天樹信仰が非常に活発だったことを物語っており、《生命の樹》を使った遊戯である聖戦リヴォルト陣取り駒カバラもそこから発祥したと考えられている。


(※7)

 暦盤れきばんとは、年・月・日を表す3つの歯車を合わせた石盤のこと。30年周期で歯車が1周する仕組みになっている。暦盤は巫女ナワリと代々の族長がそれぞれ所持しており、1ヶ月に一度、巫女と族長の間で2つの暦盤の日付が揃っていることを確認する「暦合こよみあわせ」が行われる。


(暦盤イメージ図)

挿絵(By みてみん)


(※8)

 祠守りとは、7つある竜人ドラゴニアン族の部族のうち、大長老を長とするドラウグ族を指す言葉。ドラウグ族が暮らす巣穴の奥には、竜人誕生の地と言われる太古の遺跡(竜祖の祠)が存在し、それを守る一族であるがゆえにこう呼ばれる。この竜祖の祠には通常、七人の長老とその側近しか立ち入ることが許されず、竜人族の聖域として崇められている。


(※9)

 精霊とは、竜人族が信仰の対象としている超常的存在のこと。人間にとって精霊と言えば神と人を結ぶ存在(神術を行使する際に、術者の祈りを神に届けてくれるもの)のことを指すが、竜人にとっての精霊とは神そのものであり、彼らはエマニュエルで唯一二十二大神を信仰しない種族である。

 竜人の信仰については「種族・民族・国家」の項で詳しく解説するが、ここで言う守護精霊とは、火・水・風・土を司る四大精霊のこと。竜人たちは世界を監督する精霊が入れ替わることで季節の変動が起こると信じており、季節ごとに世界の頂点に立つ存在を「守護精霊」と呼称している。

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