エマニュエルについて
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エマニュエルは大いなる六つの海と四つの大陸からなる。四つの大陸はかつてシャマイム天帝国の栄えた南西大陸を除いて、すべてハノーク大帝国の支配下に置かれた。このため現代では人類の9割がハノーク語を公用語とし、通貨や度量衡の単位も統一されている(ただし貨幣価値は国や時代によって異なる)。
エマニュエルの名は神々の言葉(ヘブライ語)で「神と共に」を意味する。世界は神界、人界、魔界の三層に分かれ、それぞれの界層にそれぞれの種族が息づく。特に人類の拠点たる人界には、人間の他にも竜、獣人、亜人などの様々な種族が存在し、共生している地域もあれば敵対している地域もある。本章ではそんなエマニュエルの歴史や成り立ちについて解説する。
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【三界について】
◆神界(天界)
天上にあると信じられている神々の世界。地の果てにある《白き剣峰》により地上とつながっていると言われるが、神界への入り口は門の神シャアルによって堅く守られており、人の身で神界へ至った者は歴史上存在しない。
現在神界では二十二の大いなる神と五十六の小さき神が天樹エッツァードのたもとで眠りに就いていると言われる。これを《始まりの鳥》である神鳥ネスが守っており、人類は神々の目覚めを千年ものあいだ待ち続けている。
なお、かつて神界はイーテ神族とアヴォテハ神族によって二分された。その詳細については「神々・宗教・神刻」の項目で取り上げる。
◆人界
人類の暮らす地上世界のこと。六つの海と四つの大陸からなる。それぞれの大陸にはそれぞれの国や種族が栄えており、その詳細については「種族・民族・国家」の項目で取り上げる。なお現在のエマニュエルの総人口は5億人ほど。《大穿界》(※1)により一時的に7千万人まで減ったこともあるが、以降、人口は年々増加の一途をたどっている。
◆魔界
邪神と魔族・魔物が暮らす地の底の世界。腐海が広がり、常に瘴気によって満たされているため、魔のもの以外の生物は決して生きることができない環境と言われている。
魔の始祖ガロイが天樹エッツァードの枝を盗み、挿し木して生み出したという胎樹リューリカによって支えられる世界で、魔物たちはリューリカの実から無尽蔵に生まれてくる。リューリカは地上の人々が垂れ流す恨みや憎しみ、妬み、我欲などの負の感情や穢れを吸収して実をつけるため、生前悪徳を積んだ人間は死後、魔界に堕ちて魔物になってしまうと言われている。
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【四大大陸】
◆北西大陸
エマニュエル・シリーズの主な舞台となる大陸。トラモント黄皇国やアマゾーヌ女帝国などの豊かな大国が多い反面、絶えずエレツエル神領国の侵攻に晒されており争いが絶えない。ラムルバハル砂漠やグアテマヤン半島、竜牙山脈など、南部には特殊な生態系を持つ地域が多い。
◆北東大陸
エマニュエル最強の軍事国家・エレツエル神領国によって支配された大陸。かつて正義神ツェデクの神子マンダウによって統一されたが、その後マンダウの治世が乱れたことを理由に、秩序神トーラの神子エシュアに取って代わられた。エレツエル神領国による統治が始まる前には様々な種族・民族が存在したが、現在は神領国の同化政策により、民族の単一化が図られている。
◆南西大陸
アビエス連合国と呼ばれる複数国家が存在する大陸。かつてはシャマイム天帝国による恐怖政治が敷かれていたが、現在は建国者である博愛の神の神子ユニウスの教示に則り、あらゆる種族・民族が共生する平和な大陸となっている。世界で唯一ハノーク大帝国の支配を受けなかったため、現在も独自の文化を保つ国が多い。また、様々な種類の獣人が暮らしていることでも有名。
◆南東大陸
豊穣神アサーの神子アルーサが治めるパルヴァネフ豊王国と、バクル砂漠に連なるアッバース首長連邦の争いが続く大陸。アサーの恩恵がある大陸北東部には肥沃な大地が広がるが、西部は土地が痩せており、それが争いの原因となっている。大陸北部と南部を隔てるように連なるジャリル山脈以南は未開の土地。かつてはタルサー郷王国と呼ばれる小さな国があったと言われているが、現在は人が住まぬ荒れた土地となっている。
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【六つの海】
◆北極海
エマニュエルの北西大陸・北東大陸以北の海のこと。人類史上、未だ北極点に到達できた者はいない。一説には、神界へと至る《白き剣峰》はこの北の果てにあると言われている。
◆南極海
エマニュエルの南西大陸・南東大陸以南の海のこと。北極と同じく、人類史上、未だ南極点に到達できた者はいない。噂によると地図にない島があり、明らかに人工物と分かる塔が立っているらしい?
◆中央海
読んで字のごとく、四つの大陸の中央に位置する海のこと。より正確には赤道直下の海をこのように呼ぶ。かつて第五の大陸が存在していたとされる海で、各大陸が北西・北東・南西・南東と呼ばれるのは、この第五の大陸から見た方位を示しているという。
◆泰平洋
北西大陸の東(北東大陸の西)に位置する海。神話の時代、この海には大海蛇と呼ばれる恐ろしい魔物が棲んでおり、常に高波が出ていて船での航行が不可能だった。それを平和の神シャロームが戦い鎮めたという伝説から、「泰平神」の異名を持つシャロームにちなんで泰平洋と名づけられた。トラモント黄皇国寄りの西の海域には倭王国(狭霧国)と呼ばれる小さな島国が浮かんでいる。
◆グランドスレプ海
南西大陸の東(南東大陸の西)に位置する海。非常に穏やかな海で、海底には鮫人族が暮らしている。エマニュエルで最も深いアラファレ海溝があることで有名。
◆オーフ海
北西大陸及び南西大陸の西側(北東大陸及び南東大陸の東側)に位置する海。「オーフ」とは冬になると渡りをするオーフ鳥のこと。このオーフ鳥が越冬のために海上を縦断していくことから、オーフ海の名がついた。
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【その他の海や大陸など】
◆クロス海
北西大陸の北部と南部を分かつ海のこと。循環性の海流がある豊かな海で、特に鯨が多いことから、竜牙山脈に暮らす竜たちの狩場となっている。
◆魔海
中央海東域、北東大陸と南東大陸の中間にある海のこと。神話の時代から水棲の魔物が多く、海も荒れやすいため現代の航行技術では縦断不可能。海底に恒常的な地裂があると言われており、別名「死の海」とも呼ばれている。
◆無名諸島
9つの島からなる群島地域。熱帯気候のためいずれの島も密林で覆われている。ハノーク大帝国の支配を受けなかった先住民が暮らしており、島ではほとんどハノーク語が通じない。北西大陸と南西大陸をつなぐ航路の要衝だが、住民は排他的かつ非協力的。
◆テペトル諸島
8つの島からなる群島地域。島はいずれもかなりの標高を誇る岩山で、赤道直下にありながら涼しくて住みやすい。無名諸島と同じくハノーク大帝国の支配を受けなかったが、南西大陸と南東大陸をつなぐ航路の重要な補給地点であり、住民は余所者にも友好的。
◆中央大陸
かつて世界の中心に存在したと言われる第五の大陸。未だ発見されていないハノーク大帝国の帝都エアドネスが存在したと考えられており、このことから「エアドネス大陸」とも呼ばれる。《大穿界》により海中に没したという説が有力だが、あくまで推測の域を出ず、伝説に過ぎない。
(※1)
《大穿界》とは、通暦700年頃に発生したと言われる大災害。世界中のあちこちに次々と地裂(※2)が発生し、地上が瘴気(※3)と魔物で溢れて多くの命が奪われた。この災害により、当時繁栄を極めていたハノーク大帝国は滅亡。以後、大小の国々が興っては滅びゆく《暗黒期》到来の引き金となった。
(※2)
瘴気とは、魔物以外の生物にとって非常に有害な気体のこと。高濃度の瘴気を人間が吸い込むと肺が焼け爛れて死に至る(触れただけでも肌が灼ける)。また、たとえ微量であっても長期間吸引し続けたり、瘴気を含む水を摂取したりし続けると内臓が腐り、苦しみながら死ぬことになる。
硫黄を焚いたときのような黄色みのある霧状の気体で、耐え難いまでの悪臭を放つ。しかし魔力を受けるとどす黒く変色し、圧縮されて固形化するため、高位の魔族たちはこの瘴気を自在に操り、武器としても使用している。
(※3)
地裂とは、魔界と人界をつなぐ大地の裂け目のこと。いつどこで発生するか分からない天災で、一度地裂が生まれると、噴出する瘴気のために周辺地域の生態系が死滅する。魔物が地上へ這い出す際の通り道にもなっており、迂闊に近づけば瘴気の毒と魔物の襲撃とで命を落とす。大地の自浄作用により数年をかけて塞がるが、人間の力で解決することは絶対不可能。




