国家・地域①──トラモント黄皇国
エマニュエルの四大大陸には様々な国家が繁栄し、独自の文化を築いている。この頁からはエマニュエルの主要な国々や、少数民族が暮らす地域について詳細に解説する。
【国名】
トラモント黄皇国
【建国年月日】
通暦1145年 泰神の月・金神の日(7月19日)
【建国者】
フラヴィオ・ヴァレンティーノ(フラヴィオ・レ・バルダッサーレ)
【人口】
およそ1000万人
【首都】
黄都ソルレカランテ(人口:およそ100万人)
【国章】
『天高く吼える黄金竜』
(シンボルの意味)
・黄金竜
→初代黄帝フラヴィオ1世の愛騎であり、のちに黄妃となった黄金竜オリアナを象徴したもの。転じて黄金竜の血を引くトラモント皇家を表すシンボル。
・太陽
→初代黄帝フラヴィオ1世が太陽神シェメッシュの神子であったことを表す。転じて黄皇国の国神がシェメッシュであることを示すシンボル。〝シェメッシュに愛されし国〟としての矜持の表れでもある。
・王冠
→絶対王政の象徴。また黄金竜+太陽神シェメッシュがトラモント皇家の象徴であることも表している。
・竜翼
→ツァンナーラ竜騎士領との同盟を意味するシンボル。トラモント皇家と竜族との歴史的なつながりを表す。
【休日】
永神の日(5日)、識神の日(12日)、金神の日(19日)
【歴史】
通暦1097年、泰平洋を渡って侵攻してきたエレツエル神領国の攻撃により、トラモント黄皇国の前身であるフェニーチェ炎王国が滅亡した。以後、神領国は旧炎王国領を植民地として統治開始。
それから1141年までの44年間、旧炎王国領では神領国による搾取と圧政が続く。これに耐えかねた炎王国の遺民が各地で散発的な抵抗運動を開始。民衆の蜂起を受け、ルミジャフタ郷に匿われていたフェニーチェ王家の末裔アルナルド・レ・ソルフィリオが決起。野に下っていた遺臣を集め『炎王軍』を興す。
しかし圧倒的な兵力と物量を誇る神領国軍を相手に、攻めあぐねたアルナルドは真冬の竜牙山を自力で登攀し、竜族の暮らす竜の谷を訪ねる。彼は神領国の暴虐に苦しむ民を共に救ってほしいと竜たちへ訴えるも、命懸けの説得虚しく、竜族の協力を取りつけることは叶わなかった。
失意に暮れるアルナルドだったが、谷を去る前日、彼の演説に心動かされた1人の青年の訪問を受ける。青年の名はフラヴィオ・ヴァレンティーノ。当時『翼と牙の騎士団』で小隊長を務めていたフラヴィオは、わずかな部下と共にアルナルドの悲願達成を助けることを約束した。
かくしてアルナルドの友となったフラヴィオの前に、あるときルミジャフタ郷の巫女ナワリが現れる。彼女に導かれるがままルミジャフタの地を踏んだフラヴィオは、キニチ族の至聖所で眠っていた《金神刻》を発見し、「我が力にて民を救え」との神託を受けて太陽神の神子となった。
ところが通暦1142年、炎王軍による独立戦争のさなかにアルナルドは非業の死を遂げる。志半ばで倒れたアルナルドは「神子たるフラヴィオに後事を託す」と遺言して事切れた。これによりフラヴィオは、2代目総帥として炎王軍を継承。激戦ののち、通暦1145年、ついに神領国軍を撤退に追い込むことに成功し、かつてフェニーチェ炎王国と呼ばれていた土地に新国家を樹立した。これがトラモント黄皇国の始まりである。
【体制】
『黄帝』と呼ばれる君主を元首に据えた絶対君主制。皇族の親政とそれを支える貴族によって国家が運営される。貴族の爵位は詩爵、翼爵、晶爵、華爵(※1)の4階位。官僚制のため貴族は個々人の封土は持たず、毎年国から支給される俸禄の対価として内政または軍事に携わることを義務づけられている。
中でも宰相、大臣などの文官を数多く輩出している家系を『官僚貴族』、軍人の多い家系を『軍人貴族』と呼ぶ。また、五代以上の歴史を持つ貴族は『血統貴族』と呼ばれ、トラモント貴族の中でも高い地位と発言力を持つ。この血統貴族の中でも特に古く力を持つ御三家を『トラモント三大貴族』(※2)と呼ぶ。
官僚と将校は貴族の役割だが、平民でも国の登用試験に合格することで末端の役人として仕官することは可能。軍においても一兵卒から名を上げて将校になることが可能だが、文武の高官は血筋も重視されるため、平民から政治・軍事の上役に上り詰めた例は少ない。
なお黄都ソルレカランテには将校を育成するための帝立軍学校があり、身分の貴賤を問わず入学すれば士官候補生としての教育を受けることができる。就学期間は3年間。卒業者は漏れなく将校として軍に入営することができるが、配属先や階級(※3)は成績と家柄に左右される。
国家としては常時20万の常備軍を有し、有事には最大で50万の軍勢を動員可能。軍は徴兵制で、17~35歳の健康な男児の中から毎年ランダムに兵役に就く者が選ばれる。兵役期間は3年だが、本人の申告があれば延長可。兵役に選ばれていない者でも所定の手続きを踏めば志願兵として入営できる。徴兵された兵士は個々の希望や能力によって中央軍か地方軍、そのいずれかに配属される。
トラモント中央軍は第1~6軍の6軍団からなり、中央第1軍は黄帝直属、それ以外の軍団は『統帥』と呼ばれる大将軍に率いられる。この中央第2~6軍の長たる5人の統帥は古くから『トラモント五黄将』と呼ばれ、五黄将に任命されることは軍人として最大の誉れと言われている。通暦1480年時点での中央軍の配置と兵力は下表のとおり。
中央軍はそれぞれトラモント黄皇国の領地である7つの地方を守護しており、黄都ソルレカランテのあるジョイア地方と、その南に位置するレーガム地方は黄帝が直々に治める直轄領である。他の5地方については黄帝から代理統治を委任された統帥たちが治め、担当地方の民政や治安維持を担う。各統帥の下には『郷守』と呼ばれる地方長官が複数人おり、いくつかの集落から構成される『郷区』を統治。すなわちこの『郷区』がトラモント黄皇国の行政の最小単位と言える。
郷守の仕事は担当郷区の民政と関所の管理及び地方軍の掌握である。中央軍は外敵から領土を守ることを主たる任務としているが、地方軍は賊徒や魔物の討伐など、領土内で発生した敵を排除する使命を帯びる(地方軍では手に余る規模の賊軍や魔物の大群が出現した場合は中央軍が出動する)。
各郷区には『郷庁』と呼ばれる役所があり、郷守はこの郷庁で執務を行う。郷区内の集落から徴収された税は一旦統帥の下に集められ、そこで改めて各郷区へ分配される。さらに半年に一度、地方から中央へ税が集められ、俸禄として貴族に分配。余剰分は国庫に入れられ、有事の際に備えて貯蓄されている。なお統帥の任命権は歴代黄帝、郷守の任命権は各地方ごとの統帥が有する。
さらに中央のみに存在する特殊な軍組織として、『近衛軍』『憲兵隊』『特務隊』『黄都守護隊』が挙げられる。近衛軍、憲兵隊、特務隊はいずれの軍団にも属さず独立した権限を持っており、黄都守護隊は中央第1軍の別働隊として機能している。各部隊の主な役割は以下のとおり。
◆近衛軍
皇族の身辺警固を専門とする部隊。兵力は5000。将校から一兵卒に至るまで、精鋭中の精鋭が集められたエリート部隊。普段はソルレカランテ城の警備を担当しており、全軍の中で唯一皇居への出入りが許されている。有事の際には全力で黄帝を守護し、任務のためなら命を投げ出すことも厭わない。現軍団長はセレスタ・アルトリスタ。軍章は『竜守る剣』。
◆憲兵隊
正黄戦争(※4)の勃発に伴い、通暦1476年に発足された新設部隊。黄皇国の中枢を蝕む政治腐敗を阻止すべく、政治警察の役割を持つ部隊として創設された。兵力は1000と少ないが、政事や軍事に介入し、不正行為に対する捜査権及び逮捕権を有する。一応軍組織という扱いになっているものの、どちらかというと文吏的役割の方が大きいため、戦闘は専門外(ただし帯剣は許されている)。
しかしその実態は第十九代黄帝オルランド・レ・バルダッサーレの寵姫ルシーンの私兵に近く、憲兵隊の創立を立案したのも彼女。隊長のマクラウド・ギャヴィストンを始め、憲兵隊所属者の大半はルシーン子飼いの貴族子弟であり、政治腐敗を裁くという名目で彼女の意向に従わない官僚や軍人を不当に逮捕・脅迫するための部隊と成り果てている。軍章は『竜守る走狗』。
◆特務隊
皇家直属の非公式部隊。代々の黄帝と所属者しか存在を知らない黄皇国の諜報機関。所属隊員は500名ほどで、国内外のあちこちに潜伏し、祖国を守護するための諜報活動や情報操作等の工作を行っている。隊長は近衛軍団長でもあるセレスタ・アルトリスタ。隊員は世襲で選ばれるケースが最も多く、皇家に対する絶対的な忠誠心を刷り込まれて育つ。ほとんどの隊員は表向きにはまったく別の役職を持っているため、特務隊員と見抜くのは至難の業。軍章は『太陽を仰ぐ雄鶏』。
◆黄都守護隊
中央第1軍の別働隊。ソルレカランテ南部に位置するスッドスクード城を拠点としている。黄帝を統帥としているがゆえに滅多なことでは出動しない第1軍唯一の実働部隊で、天領(ジョイア地方及びレーガム地方)の治安維持を目的とした恒常的な軍事活動を行っている(領内の定期巡回やクェクヌス族との交戦等)。
現隊長はシグムンド・メイナード。憲兵隊と同じく正黄戦争後に発足した新設部隊で、通暦1473年、ラオス・フラクシヌスの提案で創立された。ラオスは正黄戦争が黄都の内部から起こった内紛であったことを鑑みて、外部から黄都に睨みをきかせる勢力の必要性を黄帝及び軍上層部へ直訴。結果、黄皇国軍内でも随一の機動力を誇る部隊を創り上げ、『黄都守護隊』と命名した。
兵力は1万。実戦の経験も豊富なことから、国境を守護する中央第3軍や近衛軍にも劣らぬ精兵揃いの部隊となっている。軍章は『竜守る天馬』。
なお「トラモント」の名はトラモント地方の古い言葉で「黄昏」を意味する。
【地理・気候】
(※地図提供:紅蓮様)
北西大陸南東部に広大な領土を有する。『三神湖』(※5)と呼ばれる3つの大きな湖と、その湖から流入出する無数の河川によって肥沃な土壌が形成されており、麦作が盛ん。大陸北部の国々に比べて四季がはっきりしているが、土地が広大なため地域によって気候に大きな差異が生まれている。各地方ごとの地理的・気候的特徴は以下のとおり。
◆ジョイア地方
中部に黄都ソルレカランテを擁する黄皇国の北東地域。エオリカ平原と呼ばれるなだらかな丘陵地帯がどこまでも続き、見晴らしはいいが1年を通して風が強い。泰平洋に向かって突き出た北東部はクェクヌス族が暮らすアネッタ平野。竜牙山脈によって冬の季節風が遮られるため、黄都周辺地域は真冬でも降雪量が少ないが、天然の風よけがないアネッタ平野は深い雪に覆われる。また南東部に広がる『黒竜連山』(※6)は、黄皇国内でも竜牙山脈に次ぐ急峻地として有名。
タリア湖からソルレカランテへと伸びるベネデット運河(※7)は通暦1162年頃、黄皇国最初の内務大臣ベネデット・コスタンテの指揮の下、およそ12年の歳月をかけて開通した。この水路の完成により、黄皇国中の物資を水運によって黄都へ集積することが可能となり、ソルレカランテの繁栄に大きく貢献。黄都の人口が爆発的に増加する一因にもなった。
隣接するレーガム地方とはアンカルの壁(※8)、トラジェディア地方とはアルコ川によって分断されている。黄皇国内でも特に養蜂が盛んな地域。
◆レーガム地方
ジョイア地方の南部に位置する黄皇国中部地域。沿岸部に連なるプリタ山脈によって夏の季節風が遮られるため、他地方に比べて降水量が少ない。このため麦作に適した地域が多く、黄皇国内でも有数の穀倉地帯を抱える。またプリタ山脈の麓では酪農も盛ん。黄都守護隊による定期巡回により治安も安定していることから、レーガム地方への移住を望む国民はあとを絶たない。境界を接するパウラ地方とは、タリア湖から流れるサルモーネ川によって分断されている。
◆トラジェディア地方
黄皇国内で冬の間の気温が最も低く、降雪量も多い地域。亜寒帯気候で林業、酪農、ライ麦の栽培が盛ん。地方面積の4割が草木の育たない急峻な岩山(竜牙山脈)であるため、平地が少なく交通の便もあまりよくない。隣接するイーラ地方とはジェイロ川によって分断されている。
竜牙山脈のあちこちを縄張りとする複数の山賊団の脅威に絶えず晒されており、治安も乱れがちなことから国内で最も人口が少ない。栄えている町はラフィ湖とタリア湖の沿岸部に集中し、大抵が水運業で財を築いている。
また竜牙山脈の麓には神刻石や鉄鉱石、石炭が多く採掘される鉱脈が見つかっており、これらの坑道は黄皇国が所有・管理。現在は罪人の強制労働所として利用され、死者が出るほどの過酷な労役が課されている。
◆イーラ地方
ラムルバハル砂漠から吹き込む風で、西部には砂を被った荒地が続くステップ気候地域。ルチェルトラ荒野と呼ばれるこの荒地の降水量は年間250~500mmと少なく、ラフィ湖から引かれる水を使った灌漑農業で潤っている。
いくつかの河川からは砂金を浚うことが可能。かつては砂漠の民がこの砂金を集め、金細工として加工していた。また東部は冬場の降雪量が多いため大麦の栽培に向いており、この大麦から作られる麦酒の製造が盛ん。「イーラ産麦酒」と言えば黄皇国内でも大変人気の高い麦酒で、少量だが国外にも出回っている。
シャムシール砂王国の侵攻を防ぐため、ラムルバハル砂漠との境界には『マザールの壁』と呼ばれる長大な城壁が築かれている。この壁は砂漠から大量の砂が吹き込むのを防ぐ役割も果たしており、外敵及び国土の砂漠化を防ぐためには欠かせない。南部のオディオ地方とは、西のルエダ・デラ・ラソ列侯国まで伸びるシャールーズ河によって分断されている。
◆ヴォリュプト地方
ベラカ湖の真南に位置する温帯湿潤気候地域。夏は中央海から吹く季節風で雨量が多く、冬は竜牙山から吹き下ろす風がポヴェロ湿地で湿気を孕むため降雪が多い。1年を通しての気温は比較的温暖だが、それゆえ冬場の雪は湿度の高いぼた雪となり、降雪量のわりに積雪量は少なめ。東のパウラ地方とはカラミタ川、西のオディオ地方とはソルジェンテ川によって分断されている。
こうした気候環境下にあるため、黄皇国内では珍しく麦作よりも稲作が盛ん。黄皇国内に出回っている米の6割はヴォリュプト地方で生産されている。また綿花の栽培も活発で、収穫した綿を利用した繊維産業が主な収入源となっている。
◆オディオ地方
南部に岩石砂漠である死の谷が広がっているため、夏の降水量が少ない温帯夏季少雨気候地域。黄皇国内で最も葡萄の栽培が盛んで、有名葡萄酒製造所があちこちに軒を連ねる。また中部の一部地域では石灰岩の採掘が盛んで、トラモント黄皇国では珍しい漆喰を使った建築物が見られる地域でもある。こうした地域ではガラスの製造が産業として成り立っており、特に美しい色彩が楽しめるジェッソガラスが有名。さらに石灰含有量の多い地域には広大なブナ林が広がり、これを利用した林業も盛んである。
◆パウラ地方
夏は蒸し暑く冬は適度に寒い、最も標準的な温帯地域。レーガム地方に次いで小麦の生産量が多く、赤茄子や黄茄子の生産量は黄皇国トップに輝いている。
また国内でも有数の金脈であるカウタ連山や、国内最大規模の黄砂岩採掘所があるサビア台地を領内に抱え、採掘業で賑わう地域。サビア台地から切り出された黄砂岩はタリア湖、ベラカ湖の湖岸の町や、港湾都市ヴェリエーロから水運によって全国へ供給され、トラモント黄皇国の建築業界を支えている。なおサビア台地はトラジェディア地方のフィエール鉱山と並ぶ罪人の強制労働所でもある。
【文化】
公用語はハノーク語。大陸がハノーク大帝国に支配される以前、大陸南東部に暮らしていた民族の言葉もわずかながら残っており、そちらは作中にてイタリア語やヴェネト語、シチリア語、エトルリア語等のイタリア系諸語で表現している。
かつてはエレツエル神領国の支配を受けていたこともあり、文明水準はヨーロッパでいうところの近世末期に近い。太陽神シェメッシュの象徴色が金色であること、また古くから金脈に恵まれた土地であることなどから、金や金色が愛される傾向が強く、トラモント金貨の金の含有量はエマニュエルで最も高い(ただし近年は金脈が徐々に枯渇を始めており、相次ぐ内乱の影響もあって貨幣価値はゆるやかに下落を始めている)。
エマニュエルにおいて砂糖や蜂蜜といった甘味料はまだまだ稀少価値が高く高額だが、〝黄金色をしていて縁起がいい〟という理由で、黄皇国では全国どこへ行っても蜂蜜が手に入る。祝い事があるときには蜂蜜をたっぷり使った料理や菓子を振る舞うのがトラモント流。貴族などの富裕層の間には、香茶には必ず蜂蜜を入れる贅沢な習慣が広がっている。
また、同じく金色(黄色)の石材である金縞石や黄砂岩が建材として非常に人気。特に南部地域で大量に採掘される黄砂岩は、黄皇国の標準的な建材として全国的に使用され、トラモント人の暮らす町や村は大抵が淡黄色の外壁に赤茶色の瓦屋根を戴いた建物で構成されている。
壁紙やアイアンワークの他、トラモント黄皇国で生産される織物や装飾品には太陽の図柄をモチーフにしたものが多い。これらの模様は『トラモント模様』と呼ばれ、太陽神信仰と共に生きるトラモント人のシンボルとなっている。
(トラモント模様イメージ画像)
さらに黄皇国独自の文化として、女性の社会進出が挙げられる。トラモント紳士と呼ばれる黄皇国の貴族たちはことさら女性を大切に扱い、この風潮が平民の間にも伝播して、今ではエマニュエルでも珍しいフェミニストの国として知られる。
その起源は初代黄帝フラヴィオ1世が、神子として永遠の生を授かりながら、自らが人間に変えてしまった騎竜オリアナと共に老いるため《金神刻》を封印した逸話にある。かの王の愛と決断に胸打たれたトラモント人は、フラヴィオ1世を見習って自らの伴侶のために至誠を尽くすことを誉れとし、そこからフェミニズム思想が広まっていったものと考えられる。黄皇国が建国以来一夫一婦制を採用しているのもこのため。
芸術の国としても知られ、古くから著名な詩人や音楽家、画家、建築家などを多数輩出している。中でも世界的に有名な音楽家アンジェロ・ベレ・ルシェロは、盲目でありながらフラヴィオ1世の黄皇国建国の偉業に立ち会い、様々な名曲を生み出した。彼が晩年フラヴィオ1世に捧げた『黄昏の王に捧げる円舞曲』は今なお多くのトラモント人に愛され、貴族の舞踏会では必ず演奏される1曲となっている。
なおこうした芸術面の発展を支えるため、トラモント貴族たちは無名の芸術家を見つけてはその後援者となったり、我が子に芸術関係の家庭教師をつけたりすることが多い。また自家の財力を見せつける手段の1つとして楽団を所有し、夜会や公演会を開いて自慢の演奏を聴かせることも少なくない。
さらに芸術とは異なるが、フラヴィオ1世の黄皇国建国を支えた奇跡の軍師エディアエル・オーロリーの存在も有名。彼が晩年書き残したという『エディアエル兵書』は、今や世界中で兵法の教本として愛読され、オーロリー家の威名はエマニュエルのどこへ行っても通用すると言われるほど。現在も脈々と続くオーロリー家の血筋は、エディアエルの名に恥じない名軍師を輩出し続けており、黄皇国随一の名家として名を馳せている。
【食文化】
麦の生産が盛んなため、主食はパンやパスタ。赤茄子や黄茄子を使った料理が多く、トラモント人の食卓はいつも彩り豊かで飽食気味と言われている。
葡萄酒や蜂蜜酒の製造も盛んで、トラモントワインと言えば高品質の葡萄酒として国外でも人気。葡萄酒の消費量もエマニュエル諸国家の中で堂々の1位を記録しており、周辺諸国には〝葡萄酒と蜂蜜と赤茄子をこよなく愛する国〟という印象を持たれている。法律で牛食が禁じられているため、市場に出回っている食肉は鶏肉と羊肉が最も多い。なお牛そのものを食すことは禁止されているが、牛乳や乳製品を摂取することまでは制限されていない。
食事の席ではナイフやフォーク、スプーンといった食器が1人につき1組用意される。料理が盛られた皿や器を持ち上げたり、直接口をつけたりするのは行儀が悪い。他者から食事に招かれたときは、出された料理を少しだけ残すのがマナー。これは「食べきれないほどたくさんの料理をご馳走していただきました」という感謝を伝える意味合いを持つ。有名な郷土料理は以下のとおり。
◆ラビオリ
薄く伸ばしたパスタ生地に、挽き肉やみじん切りにした野菜、チーズなどを包んで四角く切り分けたもの。スープに入れたりソースをかけて食べたりする。地方によって生地に挟む具やかけるソースが違うのが特徴。もっともポピュラーなのはソルレカランテの食堂で出されるラビオリの赤茄子ソースがけ。中身にはナナ芋と生ハム、レーガムチーズがたっぷり入っており、ほくほくした芋の食感とこってりしたチーズ+ソースの相性を楽しめる。
◆ニョッキ
裏漉ししたナナ芋に小麦粉・卵などを加えて練り、団子状にしたパスタ。黄皇国でもっともよく食べられているパスタであり、家庭料理としても普及している。ラビオリと同じく赤茄子ソースをかけて食べるのがもっともポピュラーだが、冬はとろとろのクリームチーズスープに浮かべたものが人気。またオリーブの生産が盛んなイーラ地方では、オリーブ油を使ったハーブソースをかけて食すニョッキが有名である。
◆オッソブーコ
子羊の骨つき肉を赤茄子、白ワイン、ブイヨン、香味野菜とともに長時間煮込んだもの。煮込んでいる間に骨の髄が溶け出し、とろとろの食感と旨味が楽しめる。食堂によってはスープ類として出されることもあるが、家庭料理としてはカレーのように米にかけて食べるのが一般的。特に祝いごとがあるときには、マトルキライス(サフランに似た香草を加えて炊いた黄色い米のこと)とともに食卓にのぼることが多い。
◆アクアコッタ
硬くなったパンくずに、香味野菜を使った熱々のスープをかけた料理。ソルレカランテではスープの上に、さらにチーズと溶き卵をかけたものが好んで食べられる。元は痩せた土地で暮らす農民たちが食糧難に困り、固くなったパンを食べるために野菜の端切れを使って考案したもの。これが今では黄皇国全土に広まり、家計にやさしい料理として庶民に愛されている。
◆コロリトゥーラ
黄皇国版フルーツポンチ。一口大に切った色とりどりの果物の上に柑橘類の絞り汁をかけ、さらに蜂蜜や糖蜜を絡めたもの。上流階級の間ではこれに水刻を利用して作った氷菓を添えたり、シロップに白ワインを混ぜて食すのが主流。葡萄酒・蜂蜜好きのトラモント人ならではのデザート。
【国民性】
トラモント人は比較的温暖な気候と文化的豊かさを背景とした陽気な民族であると言われる。非常に気さくで賑やか好きな人種として知られ、太陽の国の国民らしく情熱的な一面もある。特に恋愛面では男女共に積極的で、恋多き人種としても有名。全国的に浸透しているフェミニズム思想により、トラモント人の男はこと女好きで、〝女性を見かけると口説けずにはおれない民族〟とまで言われている。
俗にトラモント訛りと呼ばれる巻き舌が激しいハノーク語を話し、下町で暮らすトラモント人は大抵早口。また「h」の発音が消失したり、「a」を「ア」ではなく「エ」と発音するなど独特の訛りが存在する(たとえば「at home」ならトラモント訛りの発音は「at home」となる)。悪く言えば大袈裟、良く言えば喜怒哀楽の表現が豊かで、身振り手振りを交えた喋り方をする者が多い。
また何かと派手好きで、特にトラモント貴族たちは屋敷や衣装の派手さで自身の財力を示そうとする傾向が強い。『トラモントブロンド』と呼ばれる伝統的なゴールデンブロンドが特に愛される傾向があり、美しい金髪を持って生まれた者は男女を問わず髪を伸ばす風潮がある。この風潮がひとり歩きした結果、髪色を問わず男性にも長髪の者が多い。
良くも悪くもさっぱりした性格で、あまり細かいことにこだわらない(大雑把とも言う)。自分の意見をはっきりと主張できる人間が好まれ、優柔不断な人間や寡黙な人間は遠巻きにされる傾向がある。親しくなるとボディタッチなどのスキンシップが激しくなるため、他者の体に気安く触れることは無礼と考える大陸北部の人間が黄皇国を訪れると、非常に困惑するという。
【宗教】
国神は太陽神シェメッシュ。フェニーチェ炎王国の時代からシェメッシュ信仰が盛んな地域であるため、シェメッシュの象徴である牛を殺めたり食したりすることが法律で禁じられている。
国教会は黄皇国に起源を持つ東方金神会。国民の8割は東方金神会の教徒だが、建国以前、二十二大神すべてを国神と崇めるエレツエル神領国の支配を受けていた影響で、他教派や他神派にも比較的寛容である。このため黄都ソルレカランテには、東方金神会の大聖堂以外にも様々な教派・神派の教会が乱立している。
また、三神湖の名前の由来となっている雨の神タリア、泉の神ラフィ、川の神ベラカへの信仰も厚い。黄皇国ではこの水の三柱神を女神として描いた偶像が非常に多く、ソルレカランテ城前広場の噴水に飾られた三女神の彫像が特に有名。
【冠婚葬祭・礼儀作法】
成人年齢は男女共に15歳。これはトラモント黄皇国の前身であるフェニーチェ炎王国の成人年齢が15歳であったため。
15歳という年齢は世界的に見てもやや早めの成人と言えるが、炎王国を建国したタリアクリの故郷・ルミジャフタで男児が戦士として認められるのがこの年齢であったため、かの郷の伝統がそのまま炎王国、ひいては黄皇国へと受け継がれた。
主に貴族の間に残る伝統として、黄皇国には『幼名制度』なる慣習がある。これは我が子が無事に成人を迎えるまでは仮の名前を与えておき、本人や周囲に真名を伏せるというもの。
トラモント黄皇国では古くから、名前とは持ち主の魂と深く結びついたものであり、他者に真名を告げるという行為は魂を支配される危険を伴うと固く信じられている。しかし身も心も成熟すれば自身の魂は自身で管理できるようになるとの考えから、成人を機に子らは名を改め、以後真名を名乗るようになる。
稀に成人後も幼名で呼び合う場合があるが、これは家族や本当に親しい間柄の相手にのみ許される行為。さして親しくもない者が幼名で呼びかけるのは、相手を弱輩者と見下した無礼な振る舞いとなる。また幼名制度の他にもトラモント貴族の間には特殊な姓名制度があり、爵位が上がれば上がるほど多くの姓を黄帝から与えられる。具体的には華爵は1姓、晶爵は2姓、翼爵は3姓、詩爵は4姓を持ち、姓を増やすことによって自身の名前を複雑化する。
これは重要な立場にある者ほど地位や財産を狙われやすいという考えが根底にあるため。複数姓を持つ者たちは、普段は末尾の姓のみを名乗り、よほど信頼の置ける相手にしか真名を明かさない。よってトラモント貴族の間では、自身の真名を告げることは相手に対して最大限の敬意を表す行為とされている(反対に他者の真名を勝手に他人へ明かす行為は最大の裏切りと見なされる)。
平民は基本的に無姓だが、役人や軍人として何らかの功績を挙げた場合、褒美として姓が授けられることがある。また役所で正規の手続きを踏み、国に三十金貨を納めれば姓を買うことができ、商人や豪族などの富裕層は自身の財力の証明として姓を買うことが多い。こうした背景から黄皇国では夫婦同姓が一般的。
初対面の相手と挨拶を交わす際には握手を求めるのが普通。親しい間柄の場合は男女を問わず、軽い抱擁を交わして親愛の情を示す(この際、目下の者が目上の者の両頬に軽く接吻し、尊敬の意を示すこともある)。
軍で使われている敬礼は『拱手』と呼ばれるもの。右手の拳を左手の掌で包み込むようにして胸の前で合わせるのが正式な型。
これは東(北を向いた際の右手方向)から昇った太陽を左手(意志や魂を意味する)で受け止め、包み守ることを意味するジェスチャー。しかし一説には、ルミジャフタ郷の最敬礼である『聖三角』の形が崩れ、簡略化された結果、拱手の形に落ち着いたのではないかとも言われている。
東方金神会を国教会としているため、葬法はエマニュエルでも比較的珍しい土葬。火の神術による火葬を採用している国家が多い中、トラモント黄皇国が土葬を標準としている背景には、フェニーチェ炎王国時代から続く太陽神信仰がある。これも成人年齢同様、タリアクリが故郷のルミジャフタ郷から持ち込んだ風習であり、ルミジャフタの葬法についてはかの郷の解説頁にて詳細に取り上げる。
【商業】
トラモント黄皇国では国の財政安定のため専売制が採用されている。専売品目は金(金鉱石)、鉄(鉄鉱石)、蜂蜜、塩、蝋、葉巻、神刻石の7品目。
上記の商品は国から認可を受けた商人しか取り扱うことができず、専売品の売上は7割が国、3割が認可商人の懐に入る。認可商人は取り分が少ない代わりに国から税の減額等様々な保障を受けることができるため、自ら進んで専売品を扱いたがる商人も少なくない。
黄皇国内の商人や職人はトラモント商工組合によって管理される。物品の製造・売買・流通を行う者は必ず組合に名前を登録して商売権を獲得しなければならず、未登録の者が無許可で商いをすることは許されない。
組合への登録には厳正な審査と少なくない手数料が必要だが、その見返りとして登録者は(商売に関係する事由に限り)融資を無利子で受けることができたり、公証人や商品輸送時の護衛を格安で仲介してもらえたりする。組合は黄皇国の各地方に支部を持ち、地方ごとの情勢に応じて物価や物流を管理している。
また毎年金神の月・愛~義神の日(19月6日~11日)には、黄都ソルレカランテで6日間の黄金市が開かれる。黄金市とは世界中の商人たちが一堂に会し、ソルレカランテの城前広場に露店を張って行商する黄皇国最大の商業振興イベント。
黄金市への出店を希望する国外の商人たちは、トラモント商工組合に出店料を支払うことで一時的に黄皇国内での商売権を得る。なお出店可能店舗の数には限りがあるため早い者勝ち。この日は商人だけでなく顧客も世界中から集まり、ソルレカランテは世界的にもあまり類を見ない規模の大賑わいとなる。
【特産品】
・葡萄酒
・蜂蜜酒
・蜂蜜
・パスタ(様々なサイズ・形状有り)
・サラーメ(豚肉のサラミ。保存食)
・イーラ産麦酒
・オリーブ油
・ベルガモット精油
・ピヌイス織り
・ヴィーテ焼き(イタリアのマヨリカ焼きに似た色彩豊かな錫釉陶器)
・ジェッソガラス
・細工物(特に金細工)
・金鉱石
・鉄鉱石
・清湍石
(ヴィーテ焼きイメージ画像)
※画像引用元
http://italian-ceramics-art.com/elegant-dishes-gifts/Deruta-Italian-Ceramic-Cheese-Plate-PCHG050025BL.html
(ジェッソガラスイメージ画像)
※画像引用元
http://www.venezia.co.jp/index.html
【最高学府】
◆官立オリアナ学院
通暦1160年、ときの黄妃オリアナ・ヴァレンティーノの主導でソルレカランテに設立された学術機関。トラモント黄皇国の籍を持ち、入学試験に合格できるだけの学力を備えた人物であれば13歳から入学できる。
13~14歳の学生は初等院、15~16歳の学生は中等院、17歳以上の学生は高等院に割り振られ、それぞれの年齢に見合った高等教育を受けることができる。なお成績優秀な学生は飛び級が可能。初等院は国内外の歴史や文学等の基礎教養の他、トラモント人としての規律やマナーを身につけることを目的としており完全寄宿制。中等院では学生自身が興味のある学科の講義を選んでカリキュラムを組み立て、初等院で身につけた知識についてより深く学習することができる。
高等院は完全に専門性を高めた教育機関であり、数ある学科の中から専攻分野を選び、その分野の知識や技術に特化した学生を育てる。現在のオリアナ学院における選択可能分野は神学、法学、文学、音楽、芸術学、建築学、歴史学、考古学、言語学、経済学、医学、数学、生物学、物理学、天文学、自然地理学の15分野。
中でも人気が高いのは芸術関係の分野であり、世界的にも著名な芸術家を多数輩出していることで有名。各国の最高学府との交換遊学生制度もあり、様々な国から芸術家を志す若者が集まっている。なお高等院に関しては特に年齢の制限なく、17歳以上の試験合格者であれば誰でも入学可能。就学期間は入学から4年間。
就学中は特別に兵役が免除されるため、兵役逃れで入学する学生も少なくない。が、これを防止するため学院側も高額な学費を設定しており、高等院には実質貴族の子弟や裕福層しか入学できないのが問題となっている。
【主要な都市・郷庁所在地・城塞等】
◆ソルレカランテ
トラモント黄皇国の首都。歴代黄帝の居城であるソルレカランテ城を擁し、世界でも類を見ない大都市として発展している。居住者の数は100万人に上ると言われ、『百万都市』の異名で有名。また黄砂岩造りの建物と赤茶色の瓦屋根がどこまでも続く街並みが黄昏時を連想させることや、建国者であるフラヴィオ1世が生前『黄昏の騎士』と呼ばれていたことから『黄昏の都』とも呼称される。
皇族の住まうソルレカランテ城は街の中心にあり、その周囲をぐるりと囲むように貴族街が展開している。街の北側には帝立劇場や聖戦場、軍学校、オリアナ学院などの大型施設が並び、南側には商工業区が広がる。
西部は昔ながらの街並みが残る居住区で、南区にある職人街との境目~黄都の外れまでは貧民街と呼ばれる区画。東側は比較的新しい民家が建ち並ぶ新興住宅街であり、そこから商業区方面に下る途中に歓楽街が広がる。
しかし歓楽街のさらに奥、商業区から遠ざかるとそこから先は暗黒街となるため、立ち入る際には注意が必要。暗黒街の治安は貧民街よりもさらに悪く、一般人が踏み入れば命の保証はない。黄都で唯一法の力が届かない区画とも言われており、憲兵隊すら近寄らない無法地帯となっている。
元々はフェニーチェ炎王国の炎都スリュージェがあった土地であり、エレツエル神領国が炎王国を征服したのち、周囲に城壁を築いて堅牢な城郭都市とした。黄皇国の建国後は人口の増加に伴い、新区画の増築と城壁の継ぎ足しが行われたため、街の中に何重もの城壁が存在する形となっている。
市街地の最も外側にある城壁は『大城壁』と呼ばれ、東西南北に一つずつ城門が設置されている。城門は毎朝永神の刻(5時)に開門し、縁神の刻(18時)には閉門する。閉門後はよほどのことがない限り翌朝まで門が開かない。開門の際にはソルレカランテ城にある『暁の鐘』が、閉門の際には『黄昏の鐘』が鳴らされる。
大城壁の外側には黄都の食糧事情を支える近郊農園が展開。ベネデット運河を利用した灌漑農業で小麦や野菜など様々な作物がつくられ、畜産や養蜂も盛ん。ソルレカランテ名物の蜂蜜酒の大半はこの農園でつくられる。また、国の北端にある港町スクアールからベネデット運河を遡上して届けられる海の幸(※9)も充実しており、〝食〟の都としても名を馳せている。
◆ソルレカランテ城
黄都ソルレカランテの中心にそびえる黄帝の居城。黄皇国が建国された通暦1145年から築城が始まり、50年の歳月をかけて落成した。黄砂岩の煉瓦で造られた尖塔様式の優美な城で、政治的役割を持つ前城本棟は地下1階地上3階建て。黄帝が暮らす皇居は玉座の間のさらに奥にあり、皇族と一部の許された者だけが足を踏み入れることができる。城の警備は近衛軍が担当。近衛軍将校の執務室は前城と皇居の接続部にあり、皇居に出入りする者に厳しく目を光らせている。
エマニュエルに存在する数々の王城や王宮の中でも特に美しいと評判で、外観はもちろん、磨き込まれた金縞石の床がどこまでも続く黄金色の内装も圧巻。さらに皇居の屋上には空中庭園が設けられ、歴代黄帝に愛されてきた。
玉座の間の天井を支える二十二本の柱は天から注ぐ二十二大神の祝福を表現。また玉座が据えられている階は、国神である太陽神シェメッシュの神位と同じ十九段で設計されている。
◆ロカンダ
ソルレカランテから街道を南へ下った先にある交通の要衝。レーガム地方との境目であるスッドスクード城(アンカルの壁)に最も近い町であり、黄都に出入りする旅人や商人、傭兵の通り道として1年中賑わっている。黄皇国第3郷区の郷庁所在地でもあり、およそ300の地方軍が常駐。町を貫くラ・パウザ通りは街道と直結しており、入れ替わり立ち替わり訪れる行商人により毎日市が開かれている。
またベネデット運河に隣接しているため、内陸の町でありながら水運業も盛ん。町の船着き場にはタリア湖と黄都を往復する船がひっきりなしに出入りする。ただしすぐ南に水上関所がある関係上、行き交うのは商船や輸送船のみ。客船は出ていないため、タリア湖を横断したい場合は湖畔の町の定期便を利用する必要がある。
なお一部の者にしか知られていないが、町の地下には大規模な古代の遺跡が眠っている。『チッタ・エテルナ』と呼ばれるこの遺跡はハノーク大帝国時代に存在した町が《大穿界》により地中に没したもの。考古学史上未発見の遺跡であり、存在を知る者だけの秘密として大切に守られている。
◆ピヌイス
レーガム地方南西部、タリア湖岸に隣接する町。周囲を山に囲まれており、谷底を通る南側の街道以外、町へ出入りする陸路がない。ゆえに通暦1460年頃までは、トラモント地方の古い言葉で「深皿」を意味する『ペントレッタ』という町名だった。しかし1463年、織物商人のリチャード・アラッゾがピヌイス織り専門の工房と商店を町中に開設。以降、幻のピヌイス織りを求めて世界中から商人が集まるようになり経済が活性化。交通の便が悪すぎるあまり、貧しく寂れた町であったペントレッタは生まれ変わり、『ピヌイス』と名を改めた。
現在は住民や宿屋の数が増えたことにより土地不足が問題となり、高層の建物が急増中。このため『塔の町』の異名を取り、黄砂岩造りの尖塔が建ち並ぶ美しい町並みは観光名所としても定評がある。なお第11郷区の郷庁所在地でもあり、200程度の地方軍が常駐。郷庁は山の上の切り立った崖の上にあり、郷守の居館からはピヌイスの町の全容が一望できるという。
◆ボルゴ・ディ・バルカ
トラジェディア地方南部にあるタリア湖畔の町。全体的に貧しく人口も少ないトラジェディア地方で唯一栄えている町であり、水運業と造船業で賑わっている。
冬は竜牙山から吹き下ろす風に乗って大雪が降るため、他地方では見られないとんがり屋根の建物が多い。屋根の傾斜がきついのは、屋上に上がって雪下ろしをしなくても雪を落としやすいようにという先人たちの智恵である。町外れには『幽霊教会』と呼ばれる廃教会があり、放置された地下墓地には幽霊が出るとか出ないとか。今ではトラモント黄皇国でも有数の心霊スポットとなっている。
第14郷区の郷庁所在地であり、300の地方軍が常駐。竜牙山脈に群雄割拠する山賊たちが物資の調達や盗品の売買のためによく立ち寄るため、地方軍との小競り合いが絶えない。またタリア湖を根城とする湖賊の出入りもあり、治安は年々悪化。古くから北の山賊と南の湖賊は折り合いが悪く、町で出会すと乱闘騒ぎになることもあるため、一般住民は巻き込まれないよう注意が必要である。
なお賊徒の往来が多い背景には、トラモント商工組合に属していないモグリの商人が多数隠れ住んでいる事実がある。ボルゴ・ディ・バルカの歓楽街の一角には『小暗黒街』と呼ばれる不可触の領域があり、小暗黒街に立つ闇市では麻薬、盗品、密輸品の売買の他、人身売買も行われているという。
黄皇国では国を挙げてこの闇商人たちの検挙に努めているものの、山賊や湖賊の妨害により捜査が難航。小暗黒街は未だ放置され、ヤクザ者(※10)と呼ばれる無法者による独自の裏社会が形成されている。
◆コルノ島
タリア湖南部に浮かぶ島。島の形状が角笛を連想させることから、トラモント地方の古い言葉で「角笛」を意味する「コルノ」の名がついた。
硬い岩盤の上に浮かぶ島で、通暦1400年頃まで中央第2軍の水軍駐屯地として使われていた。しかし1418年、トラジェディア地方南端に半水上要塞であるエグレッタ城が完成すると、トラモント水軍はコルノ島の軍事施設を放棄。主要拠点をエグレッタ城へ移し、それから数十年、島は無人島だった。
ところが1470年頃から湖賊が遺棄された水軍の砦を修繕し、そこを根城として略奪行為を働くようになる。以来現在までコルノ島は湖賊のアジトとして利用され続けており、1480年現在はライリー一味が拠点として居座っている。
◆マクランス要塞
トラモント黄皇国とシャムシール砂王国を分断する『マザールの壁』の中央に築城された黄皇国軍の軍事拠点。基本的には国境を守護する中央第3軍の管理下にあり、第3軍の分隊である5000の国境警備隊が常駐している。
壁と一体化するような形で築かれた砂の要塞で、麓には小規模ながら城塞都市が展開。国境を出入りする商人や傭兵が一時的に逗留できるよう、宿や商店など必要最低限の施設が用意されている。入出国の際には城塞の真下にある検問所を必ず通過しなければならず、密輸品や密入国者はここで厳しく取り締まられる。マクランス要塞を避けて国境を越える方法は、死を覚悟した上で竜人の巣窟である死の谷を抜けるか、海路で大陸を迂回する以外に方法がない。
◆ジェッソ
オディオ地方中北部にある白亜の町。黄皇国内では珍しい漆喰の家々が立ち並ぶ町並みで有名。石灰岩が多く採掘される地域にある町で、工芸品や細工物を手がける職人が多く暮らしている。中でも美しい色彩が特徴のジェッソガラスは黄皇国の名産品としても知られ、ピヌイス織りと並んで世界的に知名度が高い(ただし国外では「トラモントグラス」と呼ばれることが多い)。黄皇国の象徴でもある純金を使った細工物も大半がこのジェッソで生産され、繊細な透かし彫りや象嵌が魅力の装飾品は、国内外に多くの愛好家を抱えている。
第31郷区の郷庁所在地でもあり、200の地方軍が常駐。街道上の要衝のため、人や物の出入りが激しく商業も盛んである。
◆フォルテッツァ大監獄
オディオ地方南部に佇む黄皇国最大の監獄。「難攻不落」「脱獄不可能」「罪人の墓場」と恐れられる監獄で、黄皇国建国以前は『キュンガ遺跡』と呼ばれるハノーク大帝国時代の遺跡だった。しかし太古のからくりにより、遺跡内で神術が一切使えないことに目をつけた黄皇国がこれを監獄として改造。内部は地下へ向かって伸びる全五層の迷宮となっており、最下層が牢獄として利用されている。
罪人はこの監獄に入れられたが最後、尋問以外の理由で独房の外へ出ることは叶わず労役も存在しない。証拠不十分や余罪の追及が必要とみなされた大罪人や、世間的に極刑を言い渡すことが難しい人物(皇族や大貴族など)が収容される施設として知られ、歴史上、この監獄からの脱獄を果たした人物は2名のみ。中央第5軍の分隊である監獄守備隊の守りも固く、脱獄はもちろん、外からの救出も非常に難しい監獄である。
【同盟国】
◆ツァンナーラ竜騎士領
初代黄帝フラヴィオ1世が竜の谷の竜騎士であったため、竜騎士領とは建国以来同盟関係が続いている。竜騎士領との同盟はエレツエル神領国に対する抑止力としての意味合いもあり、かの国がトラモント黄皇国への侵攻を見合わせている背景には、神領国艦隊の攻撃をものともしない竜族の存在がある。
【敵対国】
◆エレツエル神領国
現在のトラモント黄皇国は元々エレツエル神領国の植民地であったため、建国以来神領国との関係は非常に険悪。両国は泰平洋を挟んで常に睨み合っており、一触即発の緊張状態が続いている。なお神領国はツァンナーラ竜騎士領の戦力を警戒して大規模戦闘こそ起こさないものの、自国の諜報機関を使った工作を度々仕掛けている模様。牙を研ぎながら虎視眈々とかつての植民地の奪還を狙っている。
◆シャムシール砂王国
トラモント黄皇国の建国以前から領土問題による衝突が絶えない困った隣人。ラムルバハル砂漠外への進出をもくろむ砂王国は、度々黄皇国との国境を武力によって侵犯している。トラモント人は比較的他人種や他種族に寛容な民族だが、シャムシール人にだけは過剰な拒絶反応を見せるほど両国の因縁は深い。
【イメージBGM】
◆ソルレカランテ
https://youtu.be/5UsrgNIxeb8
◆ソルレカランテ城
https://youtu.be/tC_SQWpMyfk
◆マクランス要塞
https://youtu.be/8siLyH6CsOQ
◆コルノ島
https://youtu.be/GU4y_pp2U7s
(※1)
トラモント貴族が持つ4つの爵位は、かの地がエレツエル神領国の統治下にあった頃の名残を色濃く残している。詩爵・翼爵・晶爵・華爵という爵位は神領国で長く使われてきたものであり、黄皇国もこれを継承した。貴族に分配される俸禄はこの爵位と家格(国に仕えてきた年数や功績の大きさ)によって決まる。爵位ごとの俸禄はおおよそ以下のとおり。
なお俸禄の単位が封建国家で使われている「圃」なのは、年ごとの国内情勢や全国的な作物収穫量によって物価が変動するため。トラモント黄皇国における「圃」の単位は小麦の価格を基準としており、小麦の時価によって俸禄も増減する。俸禄の支給は国営の金融機関・クレディト金融協会を通して行われ、貴族たちは莫大な現金を直接所持することなく、小切手を使って経済活動をする場合が多い。
(※2)
トラモント三大貴族と呼ばれる御三家は大抵の場合、時世ごとに最も力を持つ詩爵家から選ばれる。これは国家公認の称号ではなく、黄皇国の貴族社会において一種の慣例となっているものだが、三大貴族に名を連ねることは政治的に大きな意味合いを持つ。正黄戦争勃発前の通暦1450年頃からしばらくの間、三大貴族と呼ばれていたのはオーロリー家、ヴィルト家、エルマンノ家の御三家だったが、ヴィルト家とエルマンノ家の衰退により、1480年現在はオーロリー家の他、正黄戦争後に名を上げたヒュー家、ラインハルト家が三大貴族に数えられている。
(※3)
黄皇国軍には下級兵士~上級将校と呼ばれる階級があり、この階級によって軍内での役割や指揮する兵力が変化する。階級の名称と詳細については以下のとおり。
なお平民から成り上がれる階級の限界は部将。それ以上の昇格を望む場合は爵位を持つ家の養子となったり、貴族と婚姻関係を結んだりする必要がある。
黄皇国の姓名制度に則り、姓が下賜されるのは隊将以上。本人が姓を名乗ることを望まない場合は辞退することもできる。
(※4)
正黄戦争とは、通暦1470年に黄皇国で勃発した内戦のこと。第19代黄帝として即位したオルランド・レ・バルダッサーレを叔父のフラヴィオ・レ・ベルトランドが一方的に廃嫡し、皇位を簒奪したことが発端となった。
のちにフラヴィオ6世と呼ばれるこの人物は先帝ブリリオ3世の実弟であり、長らく宰相を務めていたが、ブリリオ3世が晩年病に臥せりがちになると帝政の実権を掌握。数々の権益を餌に有力貴族たちを束ね上げたのち、オルランドの容姿が歴代黄帝の特徴から大きく外れていることを理由に、彼を先帝の妃フェルディナンダが情夫との間に設けた私生児であると断じて玉座から引きずり下ろした。
この際、オルランドは皇位詐称の罪で処断されるところであったが、近衛軍団長ギディオン・ゼンツィアーノの機転によって黄都を脱出。以後皇位奪還のための兵力を集めて戦いを挑み、通暦1472年、ついにフラヴィオ6世を打倒した。
なおフラヴィオ6世が主張したオルランド私生児説はまったくの事実無根であったことや、彼の即位中に布かれたあまりにひどい暴政を理由に、フラヴィオ6世が率いた軍勢は「偽帝軍」と呼ばれる。対するオルランド軍は「真帝軍」と名乗り、皇位の奪還後、偽帝軍に与した軍人や官僚を厳しく弾劾した。
またこれをきっかけに、オルランドは高齢の貴族たちが独占していた高官の人事を刷新。トラモント五黄将など重要な役割を担う官務を正黄戦争中に台頭した若い世代へと委譲し、抜本的な帝政改革を断行した。
(※5)
三神湖とは、トラモント黄皇国の中心にあるタリア湖、ラフィ湖、ベラカ湖のこと。いずれの湖も水の三柱神から名がついていることからこう呼ばれる。
この三神湖がもたらす豊かな水源によって黄皇国領内には肥沃な大地が広がり、古くから広大な穀倉地帯が築かれてきた。国中を巡る河川を利用した水運業も盛んで、三神湖の湖岸には賑やかな港町が多い。しかし問題点もあり、三神湖にはそれぞれ湖賊と呼ばれる水上盗賊が跋扈している。彼らは巧みな操船技術を駆使して湖上を行き交う商船や軍船を襲い、略奪を働く。また湖岸部の町や村を襲撃することもあり、三神湖に寄り添って生きる人々を大いに悩ませている。
なお黄皇国軍にも水軍は存在し、中央第2軍内に5000の水上戦力がある。この水軍を用いて国側も度々湖賊討伐へ乗り出しており、第2軍と湖賊の間には浅からぬ因縁が生まれている。
(※6)
黒竜連山とは、ジョイア地方とレーガム地方に跨がる黒竜山を中心とした山岳地帯のこと。神話の時代、魔界より出でし真黒の邪竜が始祖の竜と戦い敗れたのち、その亡骸に草木が繁って黒竜連山が生まれたとする伝説が残っている。
非常に急峻な地形が続く天険の山々で、土地も痩せており好んで立ち入る者はいない。しかしジョイア地方とレーガム地方を分断するアンカルの壁を迂回するルートとしてこの山を通過する道があり、何らかの理由で関所を通過できない者や関税の支払いを浮かせたい商人などがごく稀に使用する。
ただし黒竜連山には凶悪な山賊が跋扈しており、踏み入るのは非常に危険。黄皇国軍がこの山賊たちを野放しにしているのは、表向きには地形の問題で攻められないということになっているが、山を通って関所を迂回する者を減らしたいという魂胆も見え隠れしている。
(※7)
ベネデット運河とは、タリア湖から泰平洋へと伸びる人工河川。通暦1150年頃、黄皇国最初の内務大臣であったベネデット・コスタンテの発案で工事が始まり、1162年に完成した。
この運河の開発責任者だったベネデットは、完成間際の1160年頃から重い病を患い余命半年と宣告されていたという。しかし「発案者としてこの運河開通事業を見届けるまでは死ねない」と言い張り、その宣言どおり1162年の運河完成まで生存。事業の成功を見届けて安堵するや、その場で眠るように息を引き取ったと言い、そんな彼の偉業を讃えて人々は完成した運河にベネデットの名を冠した。
余談だが金神戦争をベネデットと共に戦った音楽家のアンジェロ・ベレ・ルシェロは、彼の死後『君がいたあの日へ捧ぐ鎮魂歌』というピアノの名曲を作曲している。この曲は良き友であったベネデットのために書かれたものではないかと言われており、今なお多くのトラモント人に愛され続けている。
(※8)
アンカルの壁とは、ジョイア地方とレーガム地方を分断する長大な城壁のこと。エレツエル神領国が旧炎王国領を占領した際、外敵を防ぐ目的で築城したもの。ジョイア地方とレーガム地方をつなぐ街道の関所にもなっており、迂回するためには危険を冒して黒竜連山を踏破するか、ロカンダで乗船させてくれる商船や輸送船を探すしかない。
ちなみに壁の名前になっている『アンカル』とは炎王国の滅亡後、どこからともなく兵を率いて現れ、神領国軍を散々に苦しめたという伝説上の人物。黒い髪に黒い槍、そして黒い鎧を身につけた死神のような姿の女戦士で、鬼神のごとく神領国兵を屠り続けたことから〝死の女神〟と敵味方に恐れられた。
そのあまりに人間離れした所業の数々から、一説には魔界と契約した魔人だったのではないかとも言われる。アンカルという名も〝死神〟を意味するトラモント地方の古い言葉であり、本名であったとは考え難い。
彼女がどこから現れ何のために戦ったのか、そもそも実在した人物なのか、すべては今も謎のまま。しかしアンカルの壁は彼女に恐れをなした神領国軍が、彼女の軍勢を阻むためにこしらえたものだと、黄皇国の人々はそう信じている。
(※9)
海産物の内陸への輸送は、水刻の力を用いた冷凍輸送が基本。氷水系の力を操ることのできる水刻は、特定の対象物を一定時間氷づけにすることができ、こうした術をかけ続けることによって腐敗を防ぎながら内陸まで運び込むことが可能となる。また資産家の商人の中には『氷結匣』と呼ばれる古代のからくりを所有している者もいる。これはハノーク大帝国で使われていたチェスト型の冷凍庫で、内部に収納したものを常時凍らせておくことができる優れもの。冒険商人らがハノーク遺跡から発掘してくる古代の利器は、稀少ではあるものの現代でも大いに利用され、人々の暮らしに活かされている。
(※10)
ヤクザ者とは、トラモント黄皇国にのみ見られる倭王国かぶれの無頼漢のこと。独特の文化や流儀、そして仁義を何よりも重んじる山賊や湖賊をこのように呼び、元はモグリの博徒であることが多い。
ヤクザ者の起源は倭王国にあると言われ、博徒たちの間で語られる伝説では黄皇国建国から間もない頃に、サクラギと名乗る倭王国人が流れ着いたのが始まり。彼はいわゆる侠客で、言葉も通じない中博奕一つでのしあがり、酒や喧嘩に明け暮れながらも仁義を貫いてトラモント黄皇国に根を下ろした。
やがて彼は意気投合した博徒と徒党を組み、『サクラギ一味』と名乗る義賊となったと言われている。ヤクザ者は大抵このサクラギの熱心な信奉者であり、彼らの間にはサクラギ信仰とも呼ぶべき文化が根づいている。
ヤクザ者の多くが和装に身を包んだり倭王国の武器を取り寄せて愛用しているのはこのため。また「お控えなすって」から始まる前口上(いわゆる「仁義を切る」行為)やヤクザ者同士が共生を誓う『兄弟盃』の文化も、サクラギが倭王国から持ち込んだものと言われている。




