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溶ける春
君に出会って今までの人生を後悔することもなくなった
ただひとつ後悔と言うならば
また逢いたかった、ということくらいだろうか
出会って別れての繰り返しの人生を歩いて転んで生きた
傷だらけになっても笑うだけ
どれだけ胸が抉られようと剥がれることはない
何度も巡っていく季節についていけなくなって蹲る日々
周りは働いて学んでいるのに
立ち上がることもまた歩くことももうできない
君との出会いはそれこそ奇跡のように前を向ける種へと
そして花へと芽吹いていく春
冷えた体を溶かしていくようなぬくもりの春に




