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自由な鳥に
日に日に色づいていく木々に目を向け
深まる秋を感じながら息を吐く
世界がもう少しやさしければ
もう少し生きやすかっただろうか
淡い青空に手をかざしてみる部屋の中
あの自由に見える鳥はどれだけ
責任と命を背負っているのか
自由も未来も存在しないのだろう
冷たい風が肌を突いて去っていく朝
袖を通していく時間さえ憂鬱で
写真の中の姿は笑っていても
過去も今も未来も存在などしない
枯れた木々を通り抜け枯れた葉を踏み
近づく冬を肌に感じながら歩く
世界がもう少しやさしければ
もう少しだけ希望を持てただろう




