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生き方
あの頃の自分にまだ生きていることを伝えられたら
きっと驚いた顔をして泣き始めてしまうだろう
痛みも苦しみも抱えたままひたすらに泣いて
冷えた頭を枕に横たわらせて夢に堕ちていく
世界が優しくなったわけでも生きやすくなることも
ないのにまだ生きていることを知ったらなにを
その今にも砕け散りそうな飴細工のような心
傘も持たずに走り出すようなからっぽの頭で
一人じゃないと教えてくれた人が一人で生きていく
それが嫌だと思うのならその人の片手を握って
同じではなくとも互いの道を踏みしめて歩く
それが自分にとっての一番の生き方だからさ




