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つめたい秋
随分と涼しくなった今日
冷たくなった窓に触れながら思う
なんでまだ生きているんだろう、と
この想いが届くことは永遠にない
雨にうたれる彼岸花を見ながら思う
世界がもう少しだけやさしかったら
どれほどよかっただろう、だなんて
冷え切った身体を他人事のように
鬱陶しいとさえ思ってしまう雨の夜
髪から滴り落ちようがなんだろうが
誰も見向きもしなければ救うはずも
とっくの昔に海に沈むはずだった
なんでまだ生きているんだろう、と
砂浜に蹲りながら脳裏に浮かんだの
君なら苦しみを抱きしめてくれると




