462/479
海から仰ぐ
私は未だに生きています
生かして、なんて頼んでもいなければ
生かした、ことすら知らないあなたに
もう一度だけ逢いたいと願っています
いつか海に還りたいです
その前にもう一度だけ安心を覚えたい
わがまましか言わない過去と今の私を
あなたは赦してくれてしまいそうだな
百年の時が経とうと私は
海に沈んだ墓で思い出とともに眠って
たまに青空でも仰ぎながら過ごします
それはただの空想に過ぎませんが必ず
生かしてくれたあなたに
いつか恩返しをすると思っていました
多分、と付け加えたのはあなたなしで
生きていける自信がなかったからです




