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雨は宝石
雨の降る夜
傘も持たずに水たまりを踏む
髪からこぼれる雨粒の濡らす
肩はこわばりを隠せずにいる
雨の降る音
澄んだ空気に響き渡る雨音は
寂しさも哀しさも兼ね備えて
苦しみすらも洗い流していく
雨の降る夜
街灯に照らされる水たまりを
踏みつけるたびに宝石が散る
楽しいのかももう分からない
雨の降る音
強まっては弱まっていく雨に
苛立ちさえ感じてしまう私が
次第に醜く思えてきてしまう
雨の降る夜
辿り着いた砂浜を踏みしめて
手に持った小瓶をたしかめた
雨の降る海にさらわれていく




