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秋風の吹く
優しい秋の風をまといながら歩いていく
何度も焼き付けた同じようで違う景色を
紅葉することなく枯れていく桜の葉と
花壇にひっそりと咲いた彼岸花を通って
小高い丘へ続く道を風を切って走り出す
赤とんぼの迎える丘の麓から見上げた
景色にはまばらにコスモスが咲いていた
駆け上がりながら見下ろしては息を吐く
優しい秋の風をまといながら共に歩いて
くだらない話でもしながら生きていたい
赤とんぼの飛び交う丘の頂上から見た
景色は年の終わりが近いことを知らせて
また明日を生きる希望を与えようとする




