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君の好きな夏に
君の好きな夏にしねたら素敵
白いワンピースをふわっと揺らして
ゆっくり歩いた道ふとを振り返って
くらげのように水に溶けていったり
蝉の声が聞こえ始めた七月に
青空に昇る雲を追いかけるようにも
深い緑を纏う葉に響かせるようにも
生命が乱立していく夏を感じている
何度も紡いだ言の葉を飾って
ぬるくなった風になびかせていった
何度紡いでも伝わることはない言葉
夏の青に溶けてしまえばいいと想う
君の好きな夏にしねたら素敵
残った足跡を消していく波に浸かり
ありがとう、そう言い残して消えて
くらげのように絡まった君への想い




