誕生日と、犬用ケーキと、反則カード
幼馴染の譲羽紗雪は、なぜか俺の飼い犬に張り合おうとしてくる。
「くるみちゃんお誕生日おめでとうございます〜!」
今日はくるみの誕生日。
紗雪が自ら調べて作ってきたという、犬も食べられるケーキが出された。
くるみはもう、目をキラキラとさせて『待て』の状態からずっとこちらをチラチラ見続けている。『よし』と言ってもらえるまではきっちり待つあたり、本当にいい子だ。
「三歳になったんですよね?」
「ああ、今日で三歳だな」
「いいなあ、三年もずっと一緒にいられるの……」
「……」
あまりにも可愛いことを言ってくれるものだから、顔を覆う。
「紗雪も、今後嫌でもそうなるよ」
お互い一緒になるつもりなんだから、必ず。気持ちが変わらない限りは。そんな風に言ってみると、彼女も真っ赤になって俯いた。
「ひょえっ、そういうのは反則です」
「そっちが先に反則してきたんだから、反則返しだよ」
「なんですかそれ」
お互いに照れていると、待ちきれなくなったくるみが俺のところまでやってきて、ツンツンと鼻でつついてきた。ごめん。いや本当にごめん。苦労をかけるな……。
「それじゃあ、くるみ。おすわり。よし、紗雪。隣にケーキ置いてくれ」
「はーい」
あまり待たせすぎるのも可哀想なので、パッと置いてパッと撮影をする。それから、ヨダレを垂らし始めたくるみの頭を撫でてようやく『よし』の合図。
くるみはとても嬉しそうに顔を明るくして、すぐケーキに食いつき始めた。
「いや、それにしてもまさか……犬用ケーキまで作ってくれるとは」
「家族になるんですから。当たり前ですよ!」
「……」
まーーーた反則カード切るんだから……この幼馴染は。
「ああそうだな。家族になるんだもんな」
「あっ………………」
気づいてなかったのか。自爆乙。
そんな感じで、いつも通り二人と一匹で過ごす一日なのだった。




