夏と、散歩と、白いワンピース
幼馴染の譲羽紗雪は、なぜか俺の飼い犬に張り合おうとしてくる。
「麦わら帽子とはまたベタな……」
「これでひまわり畑でもあれば完璧ですね」
「トウモロコシ畑でも可」
軽口を叩きながらの散歩道。
二日ほどかけ、無事に課題を全て終わらせた俺達はどこそこへ旅行しに行こうかと話し合っているところだった。
隣を歩く紗雪は白いワンピースに麦わら帽子。ベタベタのベッタベタなシチュエーションだ。ベタじゃないのは、ここがコンクリートの上で、今彼女が犬のリードをひいていることだろうか? いや、それはそれでありがちなシチュエーションだろうか。
ともかく、思うのは。
「白いと汚れがつかないか?」
「目立ちますねぇ……まあ、雰囲気作りのために着てきているので覚悟の上です」
「あと、透けそう」
「…………」
ジト目が俺を見つめる。
失言だったのは明らかだった。
「透けて……ますか?」
「いや、今のところは大丈夫なんじゃない?」
「……汗かく前に帰らないと」
「心配なら、くるみのリードくれよ。木陰で休みな」
「いえ、ここから帰るだけなら大丈夫でしょう。今日は私がお散歩する番ですから、ちゃんとやり切ります」
「そ、そう?」
「ええ、もちろんです。ね、くるみちゃん?」
「くん?」
くるみが鼻息で返事をする。
そんな姿に表情を綻ばせて紗雪は笑った。
……背中の辺りが透けてきていることは、どうしても言えなかった。
50話くらいで一区切り、完結させようかな?と思い中です。




