ショッピングと、水着と、理性
幼馴染の譲羽紗雪は、なぜか俺の飼い犬に張り合おうとしてくる。
それはもはや日常の一コマだ。
「犬飼君、犬飼君!」
「う、うん……」
「どっちが似合いますか!!」
夏休みのある日のこと。
紗雪に、犬専用のプールの話をしたことが事の発端だった。
基本的に犬専用のドッグ・プールというやつは人間は水の中に入れない。でも、その場所で原則二人までは付き添いができるということだったので紗雪を誘ってみたんだが……。
「あのさ、俺達が水着を着る必要はないんだよ?」
「そんなこと分かっています! 雰囲気作りですよ、雰囲気作り! 水着の上にパーカー着て、泳いでいるくるみちゃんと一緒に写真を撮る! これで映えます!!」
「う、うん……そっかぁ……」
そろそろ水遊びでもしよう……くらいの話だったんだが、まあ本人が楽しそうだから別にいいかな。
クーラーがきいて寒いショッピングモールで、女の子が水着を選びにきているのに付き合う……なんて、すごくデートっぽいっことをしながら曖昧に笑った。
紗雪は露出の高いセクシーなビキニと、ちょっと控えめな可愛さに振った水着。そして短パンタイプの見た目をしたボーイッシュな水着。三つのタイプを持ちながら俺に迫ってくる。
正直全部可愛くて見たいので、そう言ってもいいんだけど。
……彼女のお小遣いで買うわけだから、三つとも買わせるわけにはいかないしなあ。俺が出してもいいんだけど、紗雪はそういうの、あんまり好かないみたいだし。
飲み物をこっちが奢ったときだって、次の機会があったら紗雪のほうが奢ってとバランスを取ってくる幼馴染だ。高い買い物を俺が負担したら、後日高い買い物で返してくるに違いない。
めっちゃ悩む。
「あ、もしかして犬飼君ってスク水派だったりします? そ、それなら学校指定のやつでも……」
「い、いやそんなことはないよ!? どれも可愛いから悩んでるだけ! そ、そうだなー! じゃあ、左のそれに、上に羽織るものとパレオ的なものもつけるか!! 日に焼けちゃうといけないからな!!」
結果、欲望に忠実にビキニを選んだ、が。
……僅かに残された理性が働いて、ビキニ姿を覆い隠すような付属のものまで選ぶということをしたのだった。
プール当日が楽しみですね!! (ヤケクソ)




