一人と、散歩と、心寂しさ
幼馴染の譲羽紗雪は、なぜか俺の飼い犬に張り合おうとしてくる。でも今日は用事があるみたいで、一人でくるみの散歩だ。
「……」
「くぅん?」
「……」
たんたんとくるみの散歩をしつつ、たまに走ったり、休んだり。
以前から使っている散歩ルートを進んでわいるわけだが……。
「……」
なんか、物足りない。
最近は紗雪と一緒に、道行く中でタピオカ買ったりクレープ買ったりして買い食いしながら散歩するからだろうか? いつものコースで、いつもの買い物をしているところにどうしても視線が移動してしまう。
「……」
「くーん」
「どうした? くるみ」
そんな俺を見上げてくるのがコーギーのくるみ。どことなく、くるみも寂しそうだ。紗雪との散歩が当たり前になりすぎて、俺達どちらも寂しく思ってしまっている。
いつも騒がしいなあなんて思ったりすることもあるが、いないとそれはそれですごくなんというか……嫌だな。
「あら、犬飼さんのとこの子じゃない! 今日は彼女さんは連れてないの?」
「うっ、今日は別ですよ」
「そうなの? 残念〜、あの子可愛いくて元気だから見てて癒やされるのよね〜」
「そ、そうですか」
「くるみちゃんもこんにちは〜、撫でて平気?」
「いいですよ」
近所のお喋り好きな奥さんだった。
彼女はくるみをひとしきり撫で回すと、にぼしを与えてから手を振って去っていく。どうやら買い出しの最中だったみたいだ。
なぜにぼしを持参していたのかは分からないけど……猫とか、好きなのかな。
「わふん」
まあ、くるみはご満悦そうな顔をしているので別にいいだろう。
散歩の再開だ。
「……くるみ、明日紗雪と一緒に散歩……行こうか」
「くふんっ」
夕焼け空の下、くるみは返事をするように小さく鳴いた。




