チャームと、はじめてのプレゼントと、おそろいの帰り道
幼馴染の譲羽紗雪は、なぜか俺の飼い犬に張り合おうとしてくる。でも、最近はくるみのこともすごく大切に思ってくれているようで……。
「紗雪」
「はい?」
学校の放課後、声を幼馴染に声をかけた。
「前に言っただろ? プレゼント渡すって。その、あんまりいいのが見つからなかったんだけどさ、こういうチャームは好きかな?」
プレゼントとして用意したのは、犬の肉球やコーギーの顔が鎖で連なっているバッグチャームだ。キーホルダーとそう変わりはないが、基本的にバッグにつける飾りなので長めのアクセサリーのようなものである。
「可愛い〜! もちろん好きです! むしろこれがいいです!!」
「気に入ってくれてよかった」
「でも、コーギーモチーフのものなんてよく見つけましたね?」
「結構探した。んで、注文して届いたのが昨日の夜だったんだよ」
「わっ、わざわざ探してくださったんですか!? ありがとうございます……あの、これ、初プレゼント……みたいな感じに?」
控えめに言った彼女に俺は押し黙る。
そういえば、一緒にご飯食べたり家で遊んだりしているわりには、明確にプレゼントを渡したことはなかった……かも。
記憶を辿ってみても、思い当たる思い出はない。
ということは、本当にこれが『はじめてのプレゼント』か。
自覚すると少し顔が熱くなった。ほんの少し、赤くなっているかもしれない。気づかれないといいが……。
「はじめてのプレゼントが、こんな子供っぽいのでごめん」
「え? 謝らないでくださいよ! 私、これがいいんです。可愛いし、バッグにもつけやすいし、なにより犬飼君が私のことを思って、頑張って探してくれた素敵なプレゼントですから!」
「そ、そっか……」
そういうものか。
彼女にするはじめてのプレゼントなら、アクセサリーとかがいいのかと思っていたんだが……喜んでくれたなら、それでいい。
「くるみちゃんと犬飼君もつけるんですよね?」
「そうだよ。みんな一緒のをつけて、ちゃんとくるみの保護者ですよって分かるようにしておくから」
元は紗雪がくるみの散歩をしているときに不審がられるから、同じものをつけて関係者ですよってアピールする目的があった。
それが偶然初プレゼントということになったわけだが……。
「なら、私達みんなおそろいですね!」
紗雪が心底嬉しそうに笑った。
その笑顔を見て、『はじめてのプレゼントくらい特別なもののほうがよかったんじゃないか?』なんて思っていた自分が恥ずかしくなる。
「そうだな、おそろいだよ」
「ありがとうございます! 最高のプレゼントです!」
二人の帰り道、互いのバッグにお揃いのチャームが揺れていた。




