学校と、弁当箱と、挑戦したい気持ち
幼馴染の譲羽紗雪は、なぜか俺の飼い犬に張り合おうとしてくる。
「い、犬飼君。お弁当……作ってきたんです」
「お、ありがとう!」
昼休み、しずしずとやってきた彼女にお弁当の包みを渡されて受け取る。
先日熱中症になってからというもの、なんとなく紗雪が過保護になっている気がした。
「くるみちゃんはご飯作れませんからね。その代わり癒しを提供しているわけですが……」
「あれ、くるみのこと、ちゃんと認めてくれてるの?」
「……あの子がとってもいい子で、とっても可愛くて、とっても癒し系なのは私も認めていますよ。ただ、私もくるみちゃんくらい、たくさん構って欲しい……ってだけです」
若干言いづらそうにしながらも、照れた紗雪が答えを言う。
普段からデレデレではあるものの、これだけ自分の気持ちを素直に話してくれるのは貴重ではないだろうか?
「それに、私もくるみちゃんのことは大好きですよ」
「そっか、それは俺も嬉しいよ」
「懐いてくれますし」
「紗雪がいい人だって分かるんだよ。うちのくるみ、見る目あるだろ?」
「えへへ、そうかもしれません。そう言ってもらえると嬉しい、です」
紗雪もくるみのことを好きになってくれたようでなによりである。
お弁当の包みを開くと、中は可愛らしいお弁当箱だ。しかも犬モチーフのやつ! 我ながら単純だが、こういう気遣いはちょっとテンションが上がるな。
「コーギーの顔の弁当箱だ!」
「えっと、その、たまたま見つけて可愛いなと思ってですね?」
この反応でわざわざ探して買ったんだろうなと予想がつくものの、そこはそれ、言わぬが花である。
「うまい!」
「頑張ったかいがありました」
花が綻ぶように、嬉しそうな顔をする幼馴染が今日も可愛い。
今度俺のほうからも手料理挑戦してみようかな? なんて、思うのだった。




