第55話 名声の価値とは
炎の女神の神殿には「運動場」が存在する。
炎の神官や信徒達が日々の鍛錬のために使う修練場だ。周りに観客席が存在するので「競技場」と言った方が近いかも知れない。
魔法の鎧『魔力喰い』の調整が出来たのは、炎の神殿にパルドーさんを紹介してもらえたおかげなので、完成後すぐに寄進の果物の籠を持って挨拶に行った。
モンスターの襲撃だと思われて、入り口で一悶着あった事については忘れよう。
入り口での騒動の話を聞いた神殿長は、その場で腹を抱えて転がりながら爆笑していた。
まぁ、『魔力喰い』の見た目が怖いのは認める。と言うか、明らかに悪役だ。
でも仕方がないのだ。なにせこの鎧、魔王城の宝物庫から持ち出した物なのだから。
その時に神殿長から紹介してもらったのが、この修練場だ。
調整したての全身金属鎧、「慣らし」が必要な事を彼も分かっていたのだろう。豪放磊落な笑ってばかりの筋肉男と言うイメージがあるが、意外と気遣いの出来る人である。
その翌日からルリトラと二人で修練場を使わせてもらう事になって一週間。慣らしは順調なのだが、ここ数日は別の問題が浮上していた。
「おお、あれが……」
「魔王城に眠っていた鎧……」
「ポールの工房でも歯が立たなかったらしいぞ……」
観客席の方に並ぶ猫、猫、人、猫。皆鍛冶師の関係者で『魔力喰い』に興味を持ち、一目見ようと集まって来た者達だ。
元々『魔力喰い』に関しては、ヘパイストス・ポリスでもトップクラスの腕を持つパルドーさんでも歯が立たなかった鎧に、炎の女神の祝福を以て挑むと言う事で話題になっていた。
そこに『空白地帯』のハデス・ポリスに関する情報が届いた。アテナ・ポリスで春乃さんが流してくれた情報だ。
光の女神の神殿のルートでのみ流れていたはずの情報だが、どこかの街で他の女神の神殿にも流れてしまったらしい。
その結果、ハデス・ポリスに関する情報の出所はどこだと言う話になり、もう一人の『女神の勇者』、どこでかは分からないが魔将を倒したと言う俺の名が浮上したのだ。
ここまで来れば『魔力喰い』の出所がハデス・ポリスである事を推理するのは容易い。
それはつまり、俺がハデス・ポリスに行っていた事も知られると言う事だ。
実を言うと、この辺の展開は予想の範疇だった。こうなる事を予想していたからこそ、クレナ達は連れて来ずにルリトラと二人だけで訓練している。
観客席に集まっている人達に黙って見られているのもそのためだ。そうでなければとっくに修練場から離れて姿を隠していただろう。
俺はこうなる事を容認した上で、情報を公開しても良いと春乃さんに伝えたのだ。
一番の理由は、秘密にし続ける事で危険になるのは、他ならぬ光の女神の信徒達である巡礼団に囲まれた春乃さんとセーラさんだからだ。
光の神殿の信徒だからと言って無条件で信用して良いとは言えなくなった今、どこかで彼女達と巡礼団を切り離す必要があった。
彼女達が未熟な内は切り離すのも危険であったが、その問題はあちらでモンスター討伐を続けている内にクリアする事が出来た様だ。
だからこそ俺は、情報を公開しても良い。むしろ、今こそ公開するべきだとゴーサインを出したのである。
結果として巡礼団は三人を残して去って行ったそうだが、逆に言えばその三人はこれからも春乃さん達の力になってくれるだろう。
もちろん俺の方は安全だと過信していた訳ではない。
『魔力喰い』を調整していた時の事だが、一度マークに尋ねられた事がある。「どうして『無限バスルーム』の事を隠すんですか?」と。
当初は「混浴が俺の『ギフト』です!」と言うのが恥ずかしかったと言う理由から隠していたのだが、最近はちゃんと別の理由があった。
だが、それは『無限バスルーム』を隠していた訳ではない。
俺が隠していたのは、俺の能力が『無限バスルーム』である事ではなく、『無限バスルーム』しかないと言う事だ。
『無限バスルーム』は、勇者コスモスの『無限弾丸』の様な戦闘向けの能力ではない。
俺にはそんな戦闘向けの能力はない。それを知られたくなかった。よく分からないが勇者の『ギフト』を持っている。そう思わせておきたかったのだ。
当時の俺は武器の扱いも上手くなく、初歩的な神官魔法しか使えなかった。そんな状況では『ギフト』の正体が暴かれるのは戦闘力の無さを暴かれ丸裸にされる事に等しい。
そう考えると『無限バスルーム』の事を隠すのは、やはり当然の判断だったと思う。
この事は尋ねてきたマークにも説明しておいたが、彼がどこまで理解出来たかは謎だ。
彼はきっと便利な能力だからもっと自慢すれば良いぐらいに考えていたのだろう。
そんなある種の「臆病さ」で『無限バスルーム』について隠してきた訳だが、幸い今の俺にはステータスカードからはみ出すMPとMEN、そして神官魔法がある。
魔王城の宝物庫から『魔力喰い』といくつもの武具を持ち出す事が出来た。
何よりハデス・ポリスの戦いで「『魔将』を倒した」と言う実績を得た。
つまり情報公開をする事によって俺の方にも何かしらの危険が発生するとしても、それに備えられるだけのものが出来たと言う事だ。
春乃さんの事も大事だが、クレナ達の事も大事。どちらか片方を蔑ろにする事はない。
両方に危険があっても大丈夫と言う勝算があってこその情報公開なのである。
そして俺自身の目的も二つほどあった。
一つは「勇者としての名声」だ。
俗物的な考えではあるが、これもこの世界における俺の立場を確固たるものにし、いずれは春乃さん達を迎えるためである。
ここで最初の話に戻るが、見物客が集まるのを分かっていながら修練場を使い続けているのはそのためだ。一種のパフォーマンスと言っても良いだろう。
「魔王城から持ち出されたらしい」恐ろしい外見の鎧が噂になる事によって「どこかで魔将を倒したらしい」と言う不確かな情報が「魔王城で魔将を倒した」と言う情報に変わる。
そして実際に『魔力喰い』を見る事によって、その情報に信憑性が生まれるのだ。
実際に修練場で巨漢のサンド・リザードマン相手に激戦を繰り広げる黒鬼の姿を見て、魔将を倒したと言う話が出鱈目だと思う者はいないだろう。
実際に魔将のキンギョと戦った時は『魔力喰い』は無かったのだが、それはそれである。
見物に来ているケトルト達は、俺達の模擬戦を見ながら何やら囁き合っていた。
シャコバさんもあの中にいる――と言うか説明のために引っ張り出されているらしい。
先日話を聞いてみたところ、『大地の精霊召喚』を利用した『精霊ダッシュ』についての説明を求められる事が一番多い様だ。
まぁ、重厚な全身金属鎧が普通に走るよりも遥かに速いスピードで縦横無尽に滑走しているのだ。やはり気になるのだろう。
俺もこの一週間で鎧の「操縦」に慣れており、傍目にはかなり危うく見えるだろう姿勢で高速機動していた。
動き続けている内は意外と何とかなるものである。止まる時にさえ気を付ければ。
それと模擬戦の相手であるルリトラの注目度も高いそうだ。高速金属鎧の攻撃を全て捌くあの戦闘レイバーは何者だと。
その気持ちはよく分かる。俺自身この一週間模擬戦を続けているが、いまだに一撃も当てられないでいるのだから。
とりあえず魔法を使えばもう少し良い勝負が出来るだろう。今は訓練のためにあえて使っていないのだ――と言い訳しておく。
そしてもう一つの目的、それはある種の「地ならし」である。
ハデス・ポリスから持ち出して来た数々の宝、その中でも武具の類は、現在パルドーさん達によって鑑定が行われている。
シャコバさんも時間が空いている時は鑑定に参加してくれるのだが、今は観客席で皆の注目を集めながら説明するのに夢中らしい。目立ちたがり屋である。
鑑定してもらった武具は大きく分けて三種類になる。
魔法の武具、魔法は掛かっていないけど骨董品としての価値がある武具、それすらない古いだけの武具の三つである。
最後の古いだけの武器に関しては扱いに困る事は無い。何せほとんど使い物にならなくて売れないのだから。
ハデス・ポリスで手に入れた武器の内、七割ぐらいがこれだった。
これに関しては可能であれば鍛え直してもらい、無理ならばくず鉄として引き取ってもらって鍋釜にでもして再利用してもらうしかない。鍛え直せるのは二割行くかどうからしい。
シャコバさん曰く、これだけあれば装飾部を集めて貴金属のインゴットもいくつか作れるのではないかとの事だ。
なお、これらの作業は見習いの仕事と言う事でマークに任されている。
見習いの仕事と言う事で大してお金は掛からず、くず鉄の値段と作業料を相殺と言う事で既に話が付いていた。
全てシャコバさんの工房に運ばれ、大量発注と言う事でご近所の見習い達も巻き込んで大騒ぎになっているらしい。
やはりこう言う機会はなかなか無いらしく、他の工房としても見習い達を鍛える「祭り」として見逃せないそうだ。
当然と言うか、ここまでの大騒ぎにしたのは派手好きのシャコバさんである。俺としても地ならしの一環になると言う事で特に止めようとはしなかった。
と言うのも、俺達が持ち帰った武具は数も質も破格なのだ。手付かずの遺跡、しかも王城の倉庫を根こそぎ丸々持ち出したのだから当然の話である。
俺も『無限バスルーム』と言う運搬手段が無ければあんなに持ち出す事は出来なかった。
要するにだ、あれらの物を売ろうにもまず量で疑われる。あれだけの量をどうやって手に入れたのかと。
これについては少しずつ売る事でクリア出来るのだが、良い物を立て続けに売って行くと今度はどうやって手に入れたのかと疑われてしまうだろう。
場合によっては偽物だと思われてしまう可能性もある。
だが、ここに「魔王城から魔将を倒して生還した勇者」と言う俺の名声が加われば話は少し変わってくる。
売る物に一定の「説得力」を持たせる事が出来るのだ。「あの『女神の勇者』が持ち込んだものならば」と。
これこそが残り三割の骨董品以上を売るための「地ならし」である。
では、残りの二種類についても説明しておこう。
まず骨董品の方だが、これは手元に残すか売るかの二択だ。耐久的に実用は不可能だ。
歴史的価値がある物なので、持っているだけでもステータスになる。つまりはコレクションだ。『無限バスルーム』があるから保管も問題はない。
滅んだ王国の品、売るならばかなりの額が付くだろう。問題があるとすれば、買い取る側にも相応の財力が求められる事だ。
最後に魔法の武具なのだが、これをどう扱うかは迷い所である。
売ればかなりの額になる、それは間違いない。
だが、魔法の武具と言うのはそう易々と手に入る物ではない。希少品だ。
市販されている物が無い訳ではないが、普通に店頭に並ぶのは最下級の職人魔法が掛けられた物ぐらいだそうだ。
「ちなみに、どんな魔法なんですか?」
「『錆止め』にゃ」
なんて会話をパルドーさんとしたのは、つい先日の話である。
『錆止め』とは、単に金属を錆びにくくするだけの初級の職人魔法だ。もっと南の、海が近い土地では重宝されているらしい。
魔法の掛かった武器しか効かないモンスターも存在するらしいが、掛かっている魔法がそんな魔法でもしっかり効くそうだ。掛かっている魔法が弱い分、威力も弱いらしいが。
色々説明したが、要するに何が言いたいかと言うと、魔法の武具は保管出来るならば売るのもある意味勿体ないと言う事である。
更に言えば、俺達がハデス・ポリスから持ち帰ったのは武具だけではない。
中の本が全く劣化していなかった魔法の本棚を始めとする高級そうな家具、宝石等の装飾品の数々、そして宝箱数個分の金貨だ。
金貨は五百年前の物とは言え、オリュンポス連合共通の金貨なので今でも問題なく使う事が出来るだろう。
これだけの金貨があればしばらく旅費には困らないので、鑑定さえ済めば売るのは別の国と言うのも考えられる。
と言うか、実際パルドーさんとシャコバさんの二人から、売るなら別の国の方が高く売れると言われた。
特に装飾品の類などはヘパイストスの様な「作る場所」より「使われる場所」で売った方が良いとの事。言われてみれば当然の話である。
クレナによると南の海沿いにある『ネプトゥヌス・ポリス』は「商人の国」と言われているそうなので、そちらに行ってみるのも良いかも知れない。
その前に鎧を着た状態で実戦経験を積んでおきたいところだが。
その後、訓練を終えてパルドーさんの屋敷に戻るとクレナ達が出迎えてくれた。
当然鎧は脱いだ状態だ。ただでさえ暑いヘパイストス。真っ黒な全身金属鎧を身に着けたまま歩くのは少々、いやかなりきつい。
庭に足を踏み入れた俺は、まずは勢い良く飛び込んで来た侍女服姿のラクティを受け止め、次にとてとてと近付いて来たリウムちゃんの頭を撫でる。
続けて斜め後に同じく侍女服姿のロニを控えさせたクレナがやって来て、にこやかな笑みを浮かべて出迎えてくれた。
素人目にも分かる仕立てが良いノースリーブのワンピース姿で目の前に立つ楚々とした姿を見ると、改めてクレナはお嬢様なのだと思う。ただし、腰には剣を提げているが。
レムノス火山が近いヘパイストス・ポリスは暑いため、薄い透ける素材のケープを羽織った彼女の姿は涼しげだ。
ロニから聞く以前のクレナならば、自分の肉付きの良さを気にしていくら暑くてもノースリーブは着なかっただろう。昔から周りに太っていると扱われてきた彼女のトラウマだ。
しかし俺が毎晩「気にする程じゃない」、「むしろエロい」と言葉と態度と行動で示し続けた甲斐もあって、今ではこうしてノースリーブの服も着られる様になっている。
と言うか彼女は、むっちり系だとは思うが太っていると言う程ではない。
これは俺の好みがどうこうと言う問題ではなく、街に出れば彼女ぐらいの人はいくらでもいるのだ。むしろクレナの周りにいた貴族の令嬢達の方が細過ぎたのではないだろうか。
思い出してみれば、勇者コスモスの仲間になった聖王家の王女もほっそりしたタイプだった様な気がする。それがこの世界における貴族達の感覚なのかも知れない。
「ど、どうしたのよ……」
クレナが頬を紅くして戸惑った声を上げる。思わずしみじみと見てしまっていた様だ。
「いや、なんて言うか……毎晩、この子の腹肉つまんでるんだなぁと思って」
「訓練第二ラウンド行っとく?」
俺が小声で答えると、クレナはずいっと顔を近付けつつ、腰に提げた剣に手を掛けながら低い声でそう言ってきた。
念のために断っておくが、俺は頭を洗うのも背中を流すのもお腹に触るのも、他の所を触るのも全て許可を取った上でやっている。
クレナにはロニと言う身の回りの世話をする従者がいるのだが、リウムちゃんとラクティのお世話は基本的に俺の役目であり、ロニ自身も俺に洗ってもらうのが好きだったりする。
クレナもそんな状況下で仲間はずれは嫌みたいで、少なくとも頭は俺に洗ってもらうのが日課になっていた。
この世界に召喚されて一番腕が上がったのは、実は女性の髪の手入れの様な気もする。割と大真面目に。半分ぐらいは俺のMP製シャンプー等のおかげだが。
「ところで、あいつらは誰だ?」
それはともかく、丁度クレナの顔が近付いて来たので俺の方から少し近付け、彼女にだけ聞こえる様な小さな声でぽそっと尋ねた。
俺の視線の先――パルドーさんの屋敷の入り口に六人の武装した男達がたむろしている。
内二人は扉の左右に直立不動の姿勢で立っており、残りの四人は自然体だが、だらけている様な感じはしなかった。
揃って軽装系の防具。逞しい腕を肩まで露出した姿は、一見して戦闘レイバーの傭兵の様に見えたが、よく見ると防具は遠目からでも分かるぐらいに装飾に凝った物だ。
おそらく軽装なのはヘパイストスの気候故で、それなりに身嗜みを整える必要がある立場にある者達だろう。
そこにそっと近付いて来たロニが少し背伸びをして俺の耳元で囁く。
「トウヤさま、お客様です。ほら、あそこ」
「馬車か、また立派な」
ロニの指差す先を見てみるとパルドーさんの屋敷の庭に停めてある俺達の馬車の隣に、もう一台の立派な馬車が並んでいた。
俺達の馬車は長く旅をするための西部劇などでよく見掛けるタイプの四輪の幌馬車。もう一台は真っ赤な車体の箱馬車だ。
「あの六人は、馬車の主の護衛って事か……中にもいるのか?」
「中には四人」
「皆強そうな人達でしたよ」
「……だろうな」
それは玄関前の六人を見ても分かる。最近は、そう言うのが何となくだが雰囲気で分かる様になってきた。
「普通に屋敷に入っているって事は客人なんだろうけど、一体誰が?」
「それが……驚くわよ?」
「何に?」
そんな話をしながら玄関に近付いて行くと、突然勢い良く玄関の扉を開き、赤毛の大男が飛び出して来た。
「おお、貴殿が『女神の勇者』、トウヤか!」
日に焼けた赤銅色の肌。縮れた短い赤毛が頭髪だけでなく揉み上げ、そして髭へとつながっておりライオンの様だ。
白い歯を見せて笑っており、その表情はどこか炎の神官達を彷彿とさせる。
ルリトラに勝るとも劣らない巨漢で、インドの民族衣装・クルタの様な服を身に纏っているが、純白のそれは盛り上がった隆々の筋肉で今にもはち切れそうだ。
肩掛けに編み込まれた刺繍の見事さは、男が相応の立場にある事を窺わせる。
男は俺の姿を見付けると大股開きで近付いて来たため、俺は慌てて隣のクレナに小さな声で問い掛けた。
「……どちら様?」
「……見れば分かるでしょ」
視線を逸らして同じく小声で答えるクレナ。
確かに何となく分かるが、認めたくないんだ。
「はっはっはっ! 活躍は聞いておるぞ! うむ、良い身体をしておる」
俺の前まで来た男は俺の肩、腕を触り、最後に子供にする様に大笑いしながら俺の頭を力任せに撫でる。
リウムちゃんとラクティは俺の背に隠れた。ロニはクレナの後ろだ。
そしてルリトラは戸惑っている。彼の背丈ならばよく見えるのだろう。俺では見上げねば見えにくいアレが。
「…………国王陛下、ですか?」
「いかにも! ヘパイストス十四世である!!」
そう、目の前で大笑いする男の頭には、巨漢であるため小さく見えるが、黄金の冠が燦然と輝いていたのだ。
それが意味する事は一つ。彼こそがオリュンポス連合に四つ存在すると言う王家の一つ。ヘパイストス王家の王だと言う事である。
「その王冠、猫の耳の様に見えるんですけど」
「ウム! ケトルトの耳を模しておる!」
問題があるとすれば、王冠のデザインが何故か猫の耳を模した物であるため、傍目には「筋骨隆々のネコミミ髭親父」にしか見えない事だろう。
後で聞いてみたところ、この国を支えるケトルトの鍛冶師達への敬意を表すと言う意味を込めてそんなデザインになっているそうだ。




