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異世界混浴物語  作者: 日々花長春
熱情の砂風呂
25/206

第23話 街道沿いの村にて

 『空白地帯』を出てから四日目の昼頃、俺達はようやく街道沿いの農村に辿り着いた。

 道を逸れれば小さな集落があったりするらしいが、わざわざ寄り道する理由もないのでそちらはスルーである。

 クレナによると、本調子なら三日で到着出来る程度の距離だったとか。やはり手足の筋肉痛が響いているらしい。

 昨日まで毎晩お風呂でじっくりマッサージである。

 入浴後は『無限バスルーム』の外に出てルリトラと共に野宿して不寝番も受け持とうとしたが、ルリトラの方から足手まといになるので中で休んでいて下さいと言われてしまった。

 実際ここに辿り着くまで日に三回ぐらいのペースでモンスターと遭遇した。ルリトラだけで戦った夜襲も含めればもう少し増えるだろう。

 街道を歩いている限りモンスターと遭遇する事は少ないと言う話だったが、それでもこの調子である。

 すわ魔王の復活かと思いきや、クレナ曰くこれが普通らしい。ルリトラの全力疾走がモンスター避けになっていた頃は気付かなかったが、こうして見ると物騒な世界だ。


 戦ったモンスターの半分ほどはスイープドッグだ。ここにもいるのか、ハイエナモンスター。

 荒野で出会ったものとは毛皮の模様が異なるので実は別種なのかも知れないが、この世界の人間はまとめてスイープドッグと呼ぶらしい。

 ルリトラはもちろんの事、ロニも比較的まともに身体を動かせる状態だったが、俺とクレナの二人はすばしっこいスイープドッグ相手には身を守るのに精一杯の状態だった。

 そのため俺達は互いに背中を守りながら武器では防御に徹し、俺は光の精霊召喚、クレナは精霊魔法で戦ったものだ。

 スイープドッグ以外のモンスターではベーコンの材料となる猪型のモンスター・レッサーボアが二回、ゴブリンのグループが四回現れた。

 そう、様々なファンタジー作品で有名なあのゴブリンである。

 俺が知る範囲では概ね「醜い小男」として描かれている事が多いゴブリン。実際に目の当たりにした俺の感想は「こいつら猿じゃね?」だった。

 毛むくじゃらだったからそう言うイメージを抱いたのかも知れない。

 背丈は俺の腰ぐらいまでで、身体や細い手足はけむくじゃら。顔や指などの毛に覆われていない部分の肌は薄暗い灰色をしていた。

 顔付きは「ごつごつした握り拳の様な顔」と形容するのが一番相応しいだろうか。

 粗末な服や革鎧を身に着け、手には棍棒や錆の浮いたショートソードを持っていた。恐らく旅人から奪った物だと思われる。

 クレナが言うには、ゴブリンがただの旅人を襲う事はめったにないらしい。彼等は基本的に臆病なのだ。

 では何故俺達の前に四回も現れたのかと言うと、ルリトラの曳く人力車が原因では無いかと考えられる。

 ゴブリン達は臆病であると同時に強欲で、隊商の荷物を狙って襲い掛かるそうだ。

 つまり人力車にたくさんの荷物を積み込んで旅をする俺達は、「危険な旅人」ではなく「狙い目の小規模な隊商」に見えてしまったのだろう。

 とは言え、こちらは大した相手ではなかった。武装も大した事はなく、すばしっこいスイープドッグの方が余程戦いにくい相手だったと言える。

 人型と言う事で躊躇してしまうのではないかと自分では思っていたが、思いの外他のモンスターと変わらぬ感覚で戦う事が出来た。

 毛むくじゃらだったので獣の延長戦上として考えられたのかも知れない。本当に慣れてしまったものだ。

 だが、落ち込んでうじうじしてしまうよりかはよっぽど良いだろう。

 問題があるとすれば、ゴブリンもスイープドッグと同じく実入りにならないと言う事であろう。

 スイープドッグの毛皮は「無いよりはマシ」程度の価値があるそうだが、血の臭いで他のモンスターを引き付けながら採取するだけの価値があるかと問われると甚だ疑問である。

 結局収入になったのは、二回戦ったレッサーボアのみであった。こちらは毛皮や大きな牙が金になるし、肉を食べる事も出来る。

 ちなみに解体などはロニが担当してくれた。意外と何でも出来る子である。

 ルリトラは意外とこう言う事には向かない。トゥナの実を丸かじりしていた事からも分かる様に、彼等は獲物の処理に関しては大雑把な所があるのだ。

 彼女一人に任せっぱなしと言うのも何なので、俺も彼女から習いながら手伝っている。

 その後はロニだけがルリトラの曳く人力車に乗り込んで獲物の処理を続け、俺とクレナの二人はその脇を歩いて街道を進んだ。

 こうして俺達は街道沿いの農村に無事辿り着いたのである。モンスター以外に筋肉痛とも戦いながら。



 村に入った俺達は、屋根の上に掲げられたシンボルマークを目印に村中央の広場に面した建物の前に辿り着いた。

 ステータスカードの裏面にも記載されている光の女神の神殿とは異なるシンボルだが、ここもれっきとした神殿関係の施設である。

 ここは礼拝所。小さな村などには神殿ではなく、こう言う礼拝所があるのだ。

 屋根の上に掲げられたシンボルは「大地の女神」の物だった。

 これは別の宗派と言う訳ではなく、姉妹の女神を信仰する宗教の分派の一つであるらしい。ちなみに街にある神殿は大半が光の女神の神殿だそうだ。

 ここは農村なので、大地の女神に祈って豊穣を祈願しているのだろうか。

「……何か警戒されてないか?」

 俺は礼拝所の扉の前で広場の方を振り返ってぽつりと呟いた。

 俺の視線に気付いた村人らしき人がさっと視線を逸らす。

 注目されているとは思うのだが、話し掛けてきたりする人は誰一人としていない。閉鎖的な村なのだろうか。

「田舎の方の村はこんな感じ……いえ、やっぱり変ね。街道沿いの村なんだから、もう少し旅人には慣れてると思うんだけど」

 旅慣れたクレナから見ても変な態度らしい。ロニも耳をぴくぴくとさせながら辺りを警戒している。

 ルリトラに至っては人力車の持ち手の外側に出て片手で曳き、いつでも動ける体勢を取っていた。

 

 その時、一人の少女が俺達に駆け寄って来た。

「返して!」

 長い髪を振り乱し、般若の様な形相で叫びながらクレナに掴みかかろうとしてくる。

 ロニが咄嗟に間に入るが、俺の身体も動いていた。手足が痛いとか言っていられない。左肩に背負ったラウンドシールドを少女に向けて二人を庇う。

「ガアァッ!」

 その時、ルリトラが少女に向かって吼えた。

 すると少女は尻餅をついて倒れ、周囲の村人達が慌てて彼女を取り押さえている。

 後で聞いてみたところただ大声を上げただけではなく、声にMPを乗せて相手の動きを止める「ハウリング」と呼ばれるものらしい。

 亜人にしか使えない、魔法とは少し異なる技術だそうだ。


「ありがとう、皆」

「念のために聞いとくけど、この村に来た事は?」

「無いわよ」

 彼女達のこれまでの旅路は北国のユノを出てアテナを経由して『空白地帯』に入ったと言うものなので、そこから更に南のケレスには来た事も無かった。

「一体何だったんでしょうか」

 そう言って顔を見合わせる俺とクレナとロニ。ルリトラは無言で人力車に積んでいたグレイブを取り、石突きで地面を叩く。

 俺達の前に立つルリトラの縞模様の尻尾がぐぐっと持ち上がっている。これがリザードマンが怒っている時の仕草だ。いつでも全力疾走に移れる体勢である。

 穂先は布に包まれたままだが、サイズがサイズなのでそれでも威圧感があるのだろう。少女を取り押さえた村人達も怯えていた。

 まるでこちらが脅している様だが、いきなり訳も分からず襲い掛かられたので、警戒するのは当然であろう。

「一体何事ですか!?」

 礼拝所から年老いた神官が飛び出して来て声を上げる。それは俺達が聞きたい。

 ここからどうしたものかと考えていると、主婦らしき女性が身なりの良い男性を連れて慌てた様子で駆け寄ってきた。

「お、お待ちを! しばしお待ちを!」

「安心しろ。穂先は包んである」

 泡を食って走ってくる身なりの良い男に、俺はルリトラの持つグレイブの穂先を指差して言った。

「申し訳ありませんでした!」

 俺達の前に辿り着くや否や連れて来た女性とぺこぺこと何度も頭を下げてくる。平身低頭とは正にこの事だ。

 未遂に終わったとは言え、人に襲い掛かるのはれっきとした犯罪である。

 村人同士ならばただの喧嘩と言う事で内々に済ませる事も出来るのだろうが、生憎と俺達は部外者の旅人である。

 しかも村人全員が束になっても敵いそうにない武装した巨漢のサンド・リザードマンを連れている。

 うん、これは下手に出るしかない。彼の態度も納得だ。まずは落ち着かせねば話も出来そうになかった。

「あ~、ナイフとか持ってた訳でもないし、被害も無かったから大事にするつもりはない。良いよな?」

 念のためにクレナにも確認を取ると、彼女はこくりと頷いて答えてくれた。

「とにかく事情を聞かせてくれ。俺達がどうして襲われたのか」

「れ、礼拝所の中で……」

 ここで皆の注目を集めながら話をするよりかは良いだろう。互いに顔を見合わせて頷き合った俺とクレナは、身なりの良い男と老神官の二人と共に礼拝所に入った。

 ルリトラとロニは荷物番に残しておく。


 中は奥の壁際に大きな大地の女神のシンボルと幾つかの椅子が置かれているだけの広い部屋である。シンボルの脇に扉がある。おそらくあの向こうが、老神官の住居であろう。

 身なりの良い男は、この村の代表であるらしい。村長ではなく代官なのだそうだ。

 俺とクレナの二人は、代官・老神官と向かい合う形で椅子に座って話を聞く事にする。

「で、結局何だった訳?」

 開口一番に不機嫌そうに言ったのはクレナだった。襲い掛かられたのは彼女なので怒るのも無理はない。

「それは……」

 しかし代官は言い淀む。何か俺達に聞かせるのは不味い内容なのだろうか。

 だが襲われたのはこちらなのだ。引き下がる訳にはいかない。

「話してくれ。訳が分からないままだとこっちも相応の対応を取らざるを得なくなる」

「わ、分かりました」

 代官は観念したのか、大きくため息をついて話し始めた。

「実は……一週間ほど前の話なのですが、彼女の婚約者が村を飛び出してしまいまして」

「はぁ?」

 予想外の内容にクレナが素っ頓狂な声を上げる。

「その婚約者の男は……勇者リツ様に付いて行くために村を飛び出したのです」

「はいぃ!?」

 今度は俺が驚きの声を上げる番だった。

 その反応を見たクレナが俺に尋ねてくる。

「知ってるの?」

「俺と一緒に召喚された勇者の一人だ。聖王の方な」

「私に似てる?」

「……髪型が辛うじて?」

 確か彼女はショートカットだったはずだ。ふんわり内巻きのボブヘアのクレナと遠目には似ているかも知れない。

 もっとも中花律は茶髪、クレナは銀髪と髪の色は全く異なる。

 そもそも彼女の正確な年齢は分からないが、クレナより十歳ほどは上のはずだ。

 日本人は海外に行くと若く見られると言う話は聞いた事があるが、それはこの世界でも通用するのだろうか。

 とりあえず分かる事は、彼女がその婚約者の男を旅の道連れとして受け容れたのならば、おそらくその男は相当な美形だろうと言う事である。

 老神官曰く、最初はどこかの国のお姫様がお忍びでやって来たのかと思ったとの事。

 特別豪勢な一行と言う訳ではなかったそうだが、ユピテルの有力貴族の美丈夫二人に傅かれた彼女は本物のお姫様の様な雰囲気を醸し出していたらしい。

 俺達の装備は王家御用達の工房で作られた物だ。俺は見栄えよりも質を優先したが、それでも上品に仕上がっている。彼女達が身に着けているのも相応の物だったのだろう。

 一行は二日ほど代官の家に逗留してから再び旅立ったそうだが、その際に婚約者の男が後を追って村を飛び出してしまったと言う訳だ。

「要するに彼女は、婚約者をその勇者リツに取られちゃったと……。八つ当たりじゃない」

「それは……おっしゃるとおりで……」

 汗を拭きながら言う代官はしどろもどろである。

「何やってんだあいつは……」

 クレナは怒りと呆れが半々の様子だが、俺の方は明らかに呆れの方が勝っていた。

 聖王家の嫡男王子を仲間にしようとするなど訳の分からない行動力を持っていた中花律。

 今回は本人が何かをした訳ではなく周りが勝手に動いた様だが、どうにもトラブルの影が付いて回る勇者である。


「お望みとあらばあの娘に謝罪もさせますし、極力あなた方には近付けさせない様にいたしますので、どうか穏便に……」

「……アレ、素直に謝るか?」

 般若の様な形相を思い出して呟く俺に対し、代官と老神官は揃って視線を逸らした。その態度が全てを物語っている。

 問い詰める様にして詳しく話を聞いてみると、二人は躊躇しながらも事情を話してくれた。

 どうもクレナに掴みかかろうとした少女は、この農村の名主の娘らしい。

 名主と言うのは、要するに村を運営していく上での幹部の事だ。

 この村は代官、老神官、名主の三人によって運営されているそうなので、村人の代表者である名主は「村長」と言い換えても良いかも知れない。

 代官は派遣された身で家族はケレス・ポリスに住んでおり、老神官は独り身。そのため名主の娘は村の中ではお姫様扱いだったそうだ。

 二人は言葉を濁していたが、それだけわがまま放題に育っていたであろう事が察せられる。

 逃げた男の方も元々結婚には乗り気ではなかったが、名主の娘には逆らえず諦めの境地だったらしい。

 そこに現れたのだ。お忍びのお姫様と見紛う勇者リツが。

 おそらく村の中で成立していた名主の娘を頂点としたピラミッドが、中花律の登場で粉微塵に砕かれてしまったのではないだろうか。

 街道沿いの村なので、これまでも旅人が訪れる事は度々あっただろう。

 そんな村であるにもかかわらず、訪れただけでこんな事が起きてしまったと言うのだから、中花律も相当なものである。

 そして呪縛から解き放たれた男は、自分を救ってくれた「より本物っぽいお姫様」について行ってしまったと言う訳だ。

 「より本物っぽい」と言うのは、彼女をバカにしているとかそう言う意味ではない。聖王家の王女を知っている身としては流石に「本物」とは言えないのである。

 これが春乃さんだったら、迷う事なく「本物以上」と言っていただろうが。


「そりゃ情緒不安定にもなるな……」

 何にせよ、名主の娘にとっては自分のアイデンティティーを揺るがす大事件だったであろう事が容易に想像出来る。

 少しは同情も覚える程だ。しかし、それ以上に深く関わるべきではないとも思った。

「クレナ、どうしたい?」

「あの子に謝られてもねぇ。未だに親も顔見せないし。被害も無かったし、もう放っといていいんじゃない? これ以上は私達が関わる事でもないでしょ」

 どうやらクレナも関わり合いになりたくないと言う面では同意見の様だ。

 身体を休めるために俺達も二日ぐらい滞在しても良いかと思っていたが、ここは一泊のみでさっさと旅立ってしまった方が良い。

 俺達の言葉を聞いて、代官もほっとした様子だった。この村を管理する身としては、やはり大事にはしたくないのだろう。

「謝罪として小麦を提供させていただきます。どうかそれでこの件はご内密に……」

「それで手打ちって事か。分かった。でも無理はするなよ。こっちも食料に困ってる訳じゃない。それで逆恨みされたら本末転倒だからな」

「承知しております」

 この辺りが落し所だろう。後は村の問題として片付けてもらえばいい。

 そして泊まる場所については、この礼拝所を貸してもらえる事になった。老神官は今晩は代官の家に泊まるそうだ。

 老神官の私室を使うつもりはないのでベッドは無いが、天井と壁、それに厨房のある所で休めるのは有難い。

 なんだかんだと言って『無限バスルーム』の中は狭いのだ。その分、二人と密着出来るので俺としてはプラスマイナスゼロだが。

 俺はそれで問題が無いと思ったが、そこにクレナが割り込むようにして口を挟んできた。

「人力車と積んでいる荷物の見張り、任せていいかしら?」

「え、ああ、はい。お任せください」

「ありがとう。ちょっと待ってて、謝礼を渡すから」

 そう言ってクレナは切り分けたレッサーボアの肉と若いデーツを十個程持って来て代官に手渡した。

 人力車と礼拝所の見張りを村の人達に頼むつもりの様だ。それを受け取ると代官は早速手配しますとぺこぺこ頭を下げながら礼拝所を出て行った。

 老神官も代官の家に泊まる用意をし、大地の女神のシンボルに祈りを捧げてから代官の家へと向かう。


「すまない、クレナ。そこまで頭が回らなかった」

 先程襲われ掛けたばかりだと言うのに、村の中は基本的に安全と言う思い込みが俺の中にあった。

 よくよく考えて見れば、人力車の見張りが必要ならばルリトラが休めないのだ。

「良いのよ、フォローするって言ったでしょ」

 そう言ってウインクをするクレナ。頼もしい仲間だ。

 それに人力車は礼拝所を出た所にある。

 見張りは依頼通りに人力車と荷物を守ると同時に、他の村人達にとっても見知らぬ武装した旅人達を村人達が見張っていると言う、彼等の安心にも繋がると考えられるだろう。

 なるほど、これは気が休まると言うものではない。

 旅人を受け入れる宿がない事からも分かる通り、この村は元々旅人を滞在させる場所ではないのだ。

 街道沿いでもこれと言う事は、街道から逸れた所にある集落などはもっと排他的なのかも知れない。

 やはり完全な休息を取るためには、神殿があるポリスや旅人用の宿がある町まで行くしかなさそうである。

「そう言えば、こっちから謝礼を渡すんじゃなくて、小麦をもらう代わりに警備してもらうと言うのはダメだったのか?」

「ダメダメ、それだと口約束で終わっちゃうでしょ。ちゃんと形有る物をやり取りする事に意味があるのよ。向こうにとっては」

「ああ、なるほど」

 つまり、あの代官としては「形ある物できっちり謝罪しました」と言う結果を残したかったのだ。

 クレナもそれを察し、あえて貰うはずの小麦と引き替えと言う方法は提案しなかったのだろう。

「それに早めに食べないといけない生肉や干してないデーツより、小麦の方が長持ちするわ」

「……ホントに頼もしいな。お前は」

「あら、今頃分かったの?」

 そう言って悪戯っぽい笑みを浮かべるクレナ。

 褒められて良い気になっている様子がなんとも微笑ましい。本当に可愛らしくも頼もしい仲間である。

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