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【感謝330,000pv突破】【完結】回復魔法が貴重な世界でなんとか頑張ります  作者: 水縒あわし
北方編

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95話


カインたちが『ホーム』の各自の部屋へ戻り、休息に入ったのを確認すると、ユートは再びダリウス会長の執務室へ向かった。

無事に帰還したカイン班のこと、そして今後の特別調査部の活動について話し合うためだ。


ダリウス会長の執務室に入ると、会長はカインから受けた報告をもとに仕事をしているようだった。


「ユート。来たか。カインたちから無事帰還の報告を受けたよ」

ダリウス会長は安心したような顔でユートを迎えた。


「そうでしたか。無事で、何よりでした」

ユートも安堵の息をついた。


「うむ。彼らの任務は大変なものだったようだ。嘆きの湿原…やはり容易ではなかったらしい。だが、彼らは見事にやり遂げた。カインは良く班長としての役目を果たしたし、他の者たちも全員、立派だった」

ダリウス会長はカインたち輸送班を称賛した。


「それもこれも、日帰り任務でつないでくれた特別調査部の尽力があったからこそだ。君たちのおかげで、輸送部は滞りなく活動を続けることができた。特別調査部は、商会にとって不可欠な存在になったと改めて実感している」

会長は続けて特別調査部、そしてユートの働きを軽く褒めた。


「ありがとうございます、会長。皆がそれぞれの持ち場で頑張ってくれたからです」

ユートは謙遜して答えた。


「さて、今後のことだが…カインたちは長旅と困難を乗り越えて帰還したばかりだ。心身ともに疲労しているだろう」

ダリウス会長はカインたちの様子を慮った。

「そして、君たちも、カインたちが戻るまでの間、毎日のように近場の輸送任務をこなしてくれた。こちらも連日の活動で、知らず知らずのうちに疲れが溜まっているだろう」


「そこでだ。ここいらで一度、まとめて休みを取ってもらいたい。特別調査部全員に、これから一週間の休暇を与える。商会としては人手が必要な時ではあるが、一度しっかり休養を取ることも、今後の活動のためには必要だ」

ダリウス会長は、特別調査部にまとまった休暇を約束した。


「一週間もの休暇ですか。ありがとうございます」

ユートは礼を述べた。

確かに、自分たちも気づかないうちに疲れは溜まっているだろう。


「休暇中は、基本的に自由に過ごしてくれて構わない。だが、何か緊急事態が発生した場合は、連絡が入るかもしれない。その際は、対応できるよう備えておいてくれ」


「承知いたしました。休息は取りますが、緊急事態への対応は怠りません」

ユートは言った。


「うむ。では、休暇をしっかり満喫してくれ。また一週間後から、特別調査部には新たな任務が待っているだろう」

ダリウス会長は、これからの特別調査部への期待を示して、会話を終えた。


会長室を後にしたユートは、『ホーム』に戻り、皆に一週間の休暇が与えられたことを伝えた。長旅から帰還したばかりのカインたちも、連日の日帰り輸送任務をこなしていたユートたちも、皆その知らせに安堵し、喜びの声を上げた。特にカイン班の面々は、これでゆっくり休める、と心底ホッとした顔になった。


翌日、ユートが昼食前に目をリビングに出ると、カイン班のメンバーもようやく休息を取って起きてきたところだった。

まだ完全には疲労が取れていない様子だが、顔色はずいぶんと良くなっている。


「やあ、皆。良く寝られたか?」

ユートが声をかけると、カインやドランが少し照れくさそうに頷いた。


「おかげさまで、良く眠れました、ユート部長」

カインが言った。


「死んだように寝ました!」

ドランはいつもの調子に戻ってきているようだ。


エルザも三つ子たちの傍らで、安心して微笑んでいる。ミアも、緊張感から解放された様子だ。


ユートは、前夜にレナータに手配をお願いしていた宴会のことを思い出し、カインたちに声をかけた。

「皆、昨日の無事帰還と任務完遂のお祝いに、今夜、皆で街へ出かけないか?ささやかだけど、特別調査部全員で、皆を労いたいと思って」


突然の誘いに、カインたちは少し目を丸くしたが、すぐにその顔に嬉しそうな色が浮かんだ。長旅で外食もままならなかった彼らにとって、街での食事は嬉しい誘いだろう。


「宴会ですか!良いですね、ユート部長!」

ミアが声を弾ませた。


「行きましょう!みんなで、お祝い!」

ミアも喜んでいる。


他のメンバーもすぐに賛同し、皆で街へ出かけることになった。レナータが前日に手配しておいてくれた酒場へと向かう。

昼間は賑やかだが、夜になるとまた違った顔を見せるアルテナの街を、特別調査部全員で歩く。皆の足取りは、任務の時とは違い、軽い。


酒場に着くと、レナータが予約しておいてくれた個室に案内された。個室には、賑やかな宴会にふさわしい料理と飲み物が準備されている。海の幸や山の幸、肉料理など、アルテナの美味いものが並んでいる。


席に着き、まずはユートが音頭を取った。

「皆、本当に良く頑張ってくれた!カイン班は長距離の難関任務、そしてその間、俺たちユート班はリリア様の護衛に近場の定期輸送。どちらも商会にとって不可欠な任務だった。こうして全員無事に集まれたことが何より嬉しい!皆の努力と連携があってこそだ!」


ユートはグラスを掲げた。

「それでは、改めて、全員の無事の帰還と任務完遂に、乾杯!」


「乾杯!」

皆のグラスが合わせられ、カインたちの帰還を祝う宴会が始まった。


長旅の間に溜まっていた話が、一気に噴き出した。カインは嘆きの湿原での壮絶な経験を、ドランは魔物との戦闘の様子を、ミアは馬車の故障で焦った時のことを、三つ子たちは姉エルザのいない中での緊張感や、互いをカバーし合った時のことを語った。バルカスやユージーンも、海の感想や船に乗った事、日帰り輸送任務での面白い出来事や、C町での怪我人の手当てのことを話す。

エルザは弟たちの話を聞きながら、何度も頷き、目に涙を浮かべそうになる。セーラは皆の話に耳を傾け、時折笑顔を見せる。レナータは淡々と食事をしながらも、皆の話を聞き漏らさないようにしている。


ユートも皆の話を聞きながら、改めて彼らの成長と、特別調査部というチームの絆の強さを実感していた。初めての任務で苦労し、怯えていたミアが、こんなにも堂々と旅の困難を語れるようになった。

口数の少なかったユージーンが、皆の中で少しずつ心を開いている。

真面目なカインが、一人で厳しい任務を完遂できた。

それぞれが、ユートと行動を共にする中で、確実に変わってきている。そして、ユート自身も、彼らと共に困難を乗り越える中で、リーダーとしての責任感や、皆を守りたいという気持ちが強くなっている。


アルテナの美味い食事と、美味しい酒が、皆の疲労を癒やす。宴会は深夜まで続いた。笑い声が響き、時には真剣な話も飛び出す。任務中は気を張っていた皆が、心からリラックスして、語り合い、笑い合った。


今回の宴会は、単なるお祝いではなく、特別調査部全員の心を一つにし、絆を深めるための大切な時間となった。

ダリウス会長に与えられた一週間の休暇。それは、この『ホーム』に集まった仲間たちが、心身を休め、次の任務に向けて英気を養うための時間だった。

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