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【書籍化】Fランク冒険者の成り上がり、俺だけができる『ステータス操作』で最強へと至る【コミカライズ】  作者: まるせい


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初めてのドロップボックス

「はい、こちらが懐中時計です」


 翌日、受付でサロメさんから時計を受け取る。


「ありがとうございます、これで時間を見ながら狩りをすることができます」


 しっかりした作りの懐中時計で値段もそれなりにした。俺は懐に仕舞こむ。


「時間を気にするのは良いことです。特にティムさんは放っておくとどこまでも無理をしそうですからね」


 サロメさんのデータには俺がダンジョンに潜っている時間が記録されているのだろう。この様子からしてちゃんと休みを取らないと今後も言われ続けそうだ。


「いや、ちゃんと休暇もとるようにしますから」


 昨日、ミナさんとオリーブさんからもそれとなく注意されたのだ。

 やはり冒険者にとって休暇は大事らしく、無理をすると知らぬ間に身体にガタがくるらしい。


「昨日しっかり休んだお蔭で身体の調子がいいです」


 気持ちの問題かもしれないが、前日より体が軽く腕を振れている気がする。


 俺が全身で調子のよいことをアピールしていると、サロメさんが口元に指を当てて首を傾げた。


「そう言えば、昨日はちゃんと休んだって言ってましたけど……」


 興味深そうな目が俺を見据える。


「一体どのようにして休んだんでしょうか?」


「そ、それは……」


 ニコニコした顔をしているが、どうやら俺のことを疑っていたらしい。


「本当に休んだのなら言えますよね? ね?」


 顔を近づけてきたせいで、至近距離で目があう。

 激しい追及の末、俺はミナさんとオリーブさんと過ごしたことを白状させられるのだった。




「えっ? 嘘だろ……?」


 懐中時計で時間を計りつつ二層で狩りをしていたところ、これまでにない変化があった。

 狩りを始めて数時間『スピードアップ』の効果時間もわかり、動きに大分慣れてきたと感じていたのだが…………。


「ここで出るのか……」


 倒したコボルトの死体が消えると目の前に『ドロップボックス』が出現していた。


「もしかしてと思ったら、やはり運で合っていたようだな?」


 ステータス画面を見たところ、現在の俺の『運』は270+45となっている。

 つまりドロップボックスを出す条件は最低でも運が300以上だと考えても良いだろう。


「……でもなぁ、深い層に潜れる人間のドロップボックス報告がないのはなんでだろう?」


 ユーゴさんたちの中ではオリーブさんの運が170ある。高ランク冒険者ならステータスなんて彼女の比じゃないだろうから運が300を超えている人間は当然いるだろう。


「おっと、それより中身開けてみないとな……」


 ドロップボックスもしばらく時間が経てばダンジョンに吸収されてしまうのだ。

 俺は急いで開けてみると……。


『ファイアアロースクロール』


 中に入っていたのは一度だけ魔法を使うことができるスクロールだった。


「まあ、いいけどな……」


 このアイテムだがそれほど人気がなかったりする。理由は……。


「スキルを普通に使える人間には不要だし、魔力が低いと威力も落ちるから前衛は使わないからな」


 購入価格も冒険者ギルドで銀貨5枚なので、これを買うくらいならマナポーションを買って自分で魔法を使った方がお得だ。


「とりあえず、動きにも慣れてきたし、検証のために三層まで降りるとするか……」


 弱いモンスターからのドロップボックスの中身はたかが知れていると聞く。ひとまず俺はより強いモンスターのドロップボックスを求めて下へ降りるのだった。


「ふぅ、結局今日は最初に落ちた1個しか出なかったな……」


 あれから三層で狩りをしていたのだが、普通の時間に来てしまったのでそれほど多くのモンスターを倒すことはできなかった。


 それでも合計で100匹は戦士コボルトと戦士ゴブリンを倒しているので、サロメさんの統計からして1つくらいはドロップボックスが出てもおかしくないのだが……。


「今日もお疲れ様でした」


 ドロップボックスから入手したスクロールも一緒に渡す。


「おおっ!? もしかしてドロップボックス出たんですか?」


「ええ、二層で狩りをしていたらコボルトが落としたんですよ」


 普段は魔石だけだったので、サロメさんが食いついた。


「おめでとうございます。となると、ソロで落とさないというのはデマだったみたいですね」


「多分そうですよね……」


 そもそも運を300オーバーさせろというのが結構な無茶だったりするのだ。


「そう言えばドロップボックスにはもう一つ確証がない噂があるんですよね」


 魔石とスクロールを回収しながらサロメさんは話し始める。


「ドロップボックスを落としやすいモンスターと落としにくいモンスターがいるらしいんですよね」


「そ、そうなんですか?」


「ゴブリンやコボルトはドロップボックスを落としやすい分出てくるアイテムもそんなに良くないんです。だけど下の層に降りるとドロップボックスが出る頻度は減るけど中身が良いアイテムなことが多いんですよ」


 その情報を基に考えると、二層のコボルトは運300でドロップボックスが出るようになったと考えるのが自然だ。


 三層でドロップボックスを出すためにはどれだけの運が必要なのか……。


 名 前:ティム

 年 齢:16

 職 業:遊び人レベル12

 筋 力:200

 敏捷度:105

 体 力:166

 魔 力:224

 精神力:202

 器用さ:171

 運  :300+60

 ステータスポイント:0

 スキルポイント:309

 取得ユニークスキル:『ステータス操作』

 取得スキル:『剣術レベル6』『バッシュレベル6』『ヒーリングレベル6』『取得スキルポイント増加レベル5』『取得ステータスポイント増加レベル5』『取得経験値増加レベル5』『ライト』『罠感知レベル5』『罠解除レベル5』『後方回避レベル5』『アイテム鑑定レベル5』『短剣術レベル5』『ファイアアローレベル6』『アイスアローレベル6』『ウインドアローレベル6』『ロックシュートレベル6』『瞑想レベル6』『ウォールレベル6』『バーストレベル6』『魔力集中レベル6』『祝福レベル6』『キュアレベル6』『ハイヒーリングレベル6』『セイフティーウォールレベル6』『スピードアップレベル6』『スタミナアップレベル6』


 俺はステータス画面を睨みつけて考え込むのだった。

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