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【書籍化】Fランク冒険者の成り上がり、俺だけができる『ステータス操作』で最強へと至る【コミカライズ】  作者: まるせい


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それぞれの思惑

「ガーネット、次はそっちのアースエレメントだ!」


「はいっ! わかりましたっ!」


 俺はそう言うと、隔離に使っていたファイアウォールを解除する。


 土属性のこいつは、火が苦手らしく壁を作ると嫌がって近寄ろうとしない。


 これはアースエレメントだけではなく、この層にいるエレメントはそれぞれ苦手な属性があることがわかった。


 ファイアエレメントは水属性が苦手で、ウォーターエレメントは風属性が苦手、ウインドエレメントは土属性が苦手、アースエレメントは火属性が苦手。


 と、言った具合だ。


 これに気付けたのは偶然で、二層に降りてから複数のエレメントが湧きだしたので、魔法で牽制をしたところ、過剰な反応を見せた。


 前衛をしていたガーネットが不審な動きに気付き、検証した結果、この弱点が判明したのだ。


 お蔭で、本日の討伐は実にスムーズに進んだ。


 厄介なウインドエレメントはアースウォールで壁際に追いやれば良かったし、他のエレメントも動きをある程度コントロールできることで楽になった。


「これで今日50匹目っ!」


 ガーネットの剣がアースエレメントを打ち砕き、彼女は息を吐くと嬉しそうに笑いかけてきた。


「ティムさんこれで二個目の精霊石です」


 どうやら今のアースエレメントがドロップしたらしい。


「それにしても、最初はどうなるかと思いましたけど、ちゃんと攻略法を編み出して戦えば随分と楽になるんですね」


「そうだな、これもガーネットの観察眼のお蔭だ」


 彼女は落ち着いて敵の動きをよく見ている。


「でも、ティムさんが全種類の魔法を使えるからこそです。余程熟練の魔道士でもなければ、ここまで高ランクの魔法は持っていても一属性か二属性ですから」


「それに関しては、俺のユニークスキルのお蔭だな」


 ステータス操作により、ポイントを消費することで簡単にスキルを取得できるのだ。


 ガーネットやニコル、他数名のステータスを覗いたことから考えると、彼らにもポイントが眠っている。

 俺が振り分けてやれば一線で活躍している人間は爆発的に強くなれる。


 他の人間が『ステータス操作』を扱えるようになったら俺のアドバンテージはあっという間に消えてしまうのではないか?


 俺がそんなことを考えていると……。


「さて、まだ午前中です。張り切って頑張りますよ」


 休息が終わったらしい。ガーネットがやる気をみなぎらせていた。


「それなんだけど、精霊回廊はここまでだ」


「ええっ! どうしてですかっ?」


「すまないな」


 不満げな声を上げたガーネットに、俺は謝る。


 先日、ガーネットが出て行った後、俺はパセラ伯爵と伯爵夫人にある相談をした。


 それは『希少アイテムを欲しがっている人を探してほしい』と言うもの。


 この頼みをしたのには幾つか理由がある。


 フローネの最低落札価格は金貨200枚。今の俺たちであればそのくらいは稼ぐことができると踏んでいる。


 だが、あくまで最低価格なので、他に競合する人間がいた場合これでは落札することができない。


 容姿が整っているフローネがオークションに出るとなると、好事家が参加してくる可能性は否定できない。そのことは想定しておくべきだろう。


「他にも希少なアイテムはあるからさ、同じ物ばかり揃えても売れなければ意味がないだろ?」


 もう一つの理由はこっちだ。

 

 いくら希少アイテムとはいえ、たくさん出してしまえば値崩れを起こしてしまい、売れなくなってしまう。


 売れなければ金が手に入らないので、オークションまでの期限を考えると、なるべく多くの種類のアイテムを入手した方がよいのだ。


 今回はパセラ伯爵に相談して、彼らの伝手を使って直接売りつけるので資金調達が実にスムーズに流れている。


 既に『欲しいものリスト』には貴族や大商人が欲しがっているアイテムと金額が羅列してあるので、これらをどれだけこなせるかが資金集めの肝になっているのだ。


「そうですけど、それずっと前から考えてたんですよね?」


 何やら怪しんだ様子で首を傾げる。


 本来なら彼女にも話しておきたかったのだが、あの二人から口止めされてしまったので仕方ない。


 厳しいことを言いつつ、結果、ガーネットが望む方向に話を進めているので罰が悪いらしく、口封じをされているのだ。


「頼むよ、ガーネット。これが最善だと思うんだ」


 実はこのやり方にはもう一つ利点があるのだが、それが有効かどうかは後日はっきりするだろう。


「まあいいです、お父様とお母様も裏で色々動いてるみたいですし、今は聞かないでおきますね」


 踵を返すと、ガーネットは出口へと向かって行った。

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