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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第七部第八章 七悪顕現!! 破れ絶対障壁!! 掴め人類の未来!!
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第793話 ど男騎士さんと復活のバ〇ブ

 潜水艦、呂09デッキ。

 暗い水底に向かって強烈な光を照射して進む神の鋼鉄船。

 その開けたデッキには、一本の太い柱が通っていた。


 いや、それは正確には管。


 呂09の中を循環して、コントロールあるいは自己修復する溶液が通っているもの。強化ガラスでできたその中を流れる緑色の液体。

 その向こうには、ほの暗い人の影が見える。


 その影の形はまさしく少年のそれ。


 そして、やさしいまなざしが緑の液体の中に揺れていた。

 笑顔に、面影に、そしてその体に、男騎士もワンコ教授も見覚えがある。


 かつて南の島に飛ばされた際、共に戦った少年の面影が。

 一族の呪いによって、ただ一つ――鉄の巨人を倒すという――宿願を胸にこの世界をさまよい歩いていた美少年。


 そう、彼こそは――。


『お変わりないようでほっとしましたよ、ティトさん、ケティさん』


「そんな、まさか!!」


「だぞ生きていたんだぞ!!」


『生きていたという表現はちょっと違う気がしますね。より正確に言うと、彼と同期したというのが正しいかもしれません。けれども、そう、間違いなく、私はあの時、貴方たちと旅したことを覚えている』


 魔性少年。

 大剣使いを引き連れてバビブの塔に挑んでいた超能力使い。


「「コウイチ!!」」


 懐かしい仲間に間違いなかった。


 たまらず飛びつこうとする男騎士とワンコ教授。しかしながら、その体が強化ガラスにはじかれる。


 アイタタタと鼻頭を抑える男騎士に向かって、魔性少年は苦笑いを向ける。

 その表情からは、かつて塔の攻略の際に見せた刺々しいものではなく、どこか険しさの取れた穏やかなものになっていた。


 その表情に、ほっとなんだか男騎士とワンコ教授が息を漏らす。


「だぞ、それはそれとして、いったいどういうことなんだぞ!! ちゃんと説明してほしいんだぞ!!」


「そうだ、コウイチ。君は確か、鉄の巨人を倒して回る――そういう宿命の一族に生まれたと聞いていた。それがどうして、こんなところに」


『そうです。僕たち一族は、鉄の巨人を操る力と、それに伴う超能力を持って生まれた呪われた一族。そして、この世に産み落とされた鉄の巨人全てを、破壊することを目的として生きてきました』


 それがどうして、こんな所に、と、言いかけた男騎士たちの前に映し出されたのは緑色のイメージ映像。


 この巨大潜水艦のシルエットが描かれたそれには、妙な特徴が見て取れた。


 二本の腕。

 不必要に膨らんだ船首。

 そして、そこから光を発する二つの窓。

 ちょうど、そう、今自分たちがいるデッキのように。


 それはまさしく腕を突き出し進む巨人の如し。

 そう。


「これは!!」


「まさか!!」


『そうです。最後の鉄の巨人――『青の鉄人(ブルー・ジャイアント)』が倒れたことにより、僕たち一族の意識は再統合され、始まりの場所へと転送されたのです。最初の鉄の巨人――へと』


「最初の鉄の巨人!!」


「ここが鉄の巨人の中なんだぞ!?」


『今、そこのデビちゃんたちが呂09と呼んでいるこれこそが、僕たち操者の一族に最初に与えられた鉄の巨人。種の方舟ポ性ドン』


「……頭痛がする名前よね」


 頭を抱えて、あらかじめ事情を知っている女エルフが首を振る。

 そんな彼女たちの前で、魔性少年は両腕を広げると、いろんなものをあけっぴろげにして、そして、目を見開いて言うのだった。


『そして僕こそ、操者の一族の最初のひとりにして、すべての始まりとなった男。コウイチより先にあった、戦神ミッテルにより造られた人の形をした兵器。すべての操者の一族の完全なるオリジナルにして、コピー元』


 鉄人二八――ゴウ。

 そう言って、緑色の溶液の中に揺れる魔性少年は瞳を煌めかせるのだった。


 それはそう、ミッテル九傑の名に上がった者と同じ。

 奇しくも男騎士たちが探し求めている、戦神の使徒であった。


【第七部 パイ〇ーツ・マルミエヤン・ドットコム 完】

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