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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第一部第六章 エルフさらいの悪漢ドワーフ
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第77話 どエルフさんと手ぬぐい

「くっ、しまった!! まさかこんな巧妙な罠を張り巡らしていたとは!! おそろしい奴ら!!」

「おそろしいのはお前の頭じゃい」

「どうしよう、こっちには――手ぬぐいしかない!!」


 自分のそれの代わりに、男戦士がにぎりしめたのは手ぬぐい。

 男湯から持ってきたのだろうそれは、ほどよく絞られていたがとても武器としては使えそうになかった。


 しかし、それでも、男戦士はそれを構える。


「――さぁ、来い!!」

「来いじゃないわよ!! あんた、それ武器にする前に、もっと違う所に装備するべきでしょ!!」


 女エルフが的確なツッコミをする。

 なるほど、そうだな、と、男戦士。かれはさっそく絞った手ぬぐいをほどくとそれを広げ――。


 そしてねじって、頭へと巻き付けた。


【手ぬぐい(鉢巻): 頭部装備アイテム。防御力+1。のぼせステータスにならない】


「さぁ、来い!! 防御力が+1された俺が相手だ!!」

「違うわよ!! そこじゃないでしょ!!」


 なんでそうなるのよ、と、女エルフ。

 相棒の激しいツッコミに困惑した男戦士。しかし、すぐに彼は彼女が何を言いたいのか察した――という顔をした。


 そうして今度、彼が装備したのは肩。


【手ぬぐい(肩あて): 胴体装備アイテム。防御力+1。攻撃種別【斬撃】のダメージを-1する】


「よぉし。これで貴様らの斬撃攻撃にも耐えられるぞ。さぁ、来い!!」

「だから違うって言ってるでしょ。なんであんたはそうなんでもかんでも、合理的に考えるのよ」

「戦闘では常に冷静な奴が勝つんだ!!」

「弱点丸出しでよく言うわよ!!」


 何が言いたいんだ君は、と、エルフさらいの一味に背中を向けて女エルフに詰め寄る男戦士。

 そんな背中に、ふっ、と、気障な台詞が突然あびせられた。


「ティトよ冷静になれ」

「シュラト!?」

「彼女はこう言いたいのだ。そんな装備で大丈夫なのか、と」


 いや、そういうつもりじゃ、と、女エルフが口ごもる。

 基本、男戦士については辛らつだが、他人に対しては一歩引いた感じの、内弁慶な彼女であった。


 そんな彼女から視線を女湯の入口へと向けた男戦士。


「では、どうしろというんだ」

「知れたこと――装備を整えればいいのさ。この私のようにな」


 静かになった女湯に、さっそうと現れる暗黒騎士。その体は――。


【手ぬぐい(鉢巻): 頭部装備アイテム。防御力+1。のぼせない】

【手ぬぐい(肩あて): 胴体装備アイテム。防御力+1。【斬撃】ダメージ-1】

【手ぬぐい(武器): 右手装備アイテム。攻撃力+1。股間を拭くと毒効果付与】

【手ぬぐい(防具): 左手装備アイテム。防御力+1。股間を拭くと回避力+1】

【手ぬぐい(足) : 足装備アイテム。濡れた床でもすべりにくくなる】

【手ぬぐい(アクセサリー): 首に巻くと、汗を吸収してくれて快適】


 フル手ぬぐい装備であった。


「なるほど!! さすがオニーチャンスキスキー!!」

「ふっ、さぁ悪漢ども!! この私が相手だ!!」


 そう言った、暗黒騎士。

 しかしながらその股間は、男戦士と同じく無防備な状態で風に揺れていたのだった。


 暗黒剣が月夜に映える。


「だからあんたたち!! なんで股間に装備しないのよ!!」


「「股間!? いや、股間に装備ポイントはないだろう!!」」


「そういう問題じゃないでしょ!! もうっ、バカぁっ!!」

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