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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第七部第六章 燃えよティト!! 復讐のG幻流!!
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第739話 小野コマシスターズと救援

 さて。


 男騎士たちが大性郷の謎について語り合っている中。

 彼らGTR参加チームの連合と正面衝突することとなった小野コマシスターズことからくり艦隊これくしょん。

 彼女たちは、七人の最初の原器『ホウショウ』のクローン体を失ったことと、『ユキカゼ』の姉妹機がほぼ全滅したことにより、急遽作戦会議を開いていた。


 また、仲間たちを失ったことも大きいが――。


「性難戦争の大逆族、性郷チン道。どうして奴がこんな所に」


「彼の死体は政府が保管しているはず。あの死体は影武者だったというのか」


「確かに大きなふぐりをしていたと報告にはありますねぇ」


 残されたリーダーのからくり娘『ユキカゼ』と『クマ』が首を傾げる。

 なんにしても、自分たちが危機的な状況にあることは間違いない。


 今回の一件で、GTRの他の船団たちが、協力して自分たちに敵対してくることも分かっている。


 戦力減に加えての敵の団結。

 これからの戦いは彼女たちにとっても辛いモノになるだろう。


 どうするという『クマ』の視線が『ユキカゼ』を射る。

 こと戦闘においては無類の強さを誇る彼女であるが、頭脳働きについては『ユキカゼ』に譲る。彼女は無類の幸運の持ち主であると同時に、最初の七人の原器の中でもとりわけて頭が回った。


 いや、回るというよりも、それは直感と言っていい。


 男騎士と同じく、戦士技能によりその思考を代替しているのだ。

 むしろ、男騎士が技能によりそれを補っているのと違い、彼女はそこに本来の地頭の良さも加えて、神がかった采配の冴えを見せる。


 今回も、主力である『ホウショウ』を基にしたからくり娘たちを失ったが、モッリ水軍は壊滅。さらに、パイ〇ーツ・マルミエヤン・ドットコムの隠し刀である、大性郷を討ち取ることに成功した。


 こちらの被害も甚大ではあるが、向こうに与えたダメージもなかなか大きい。


 とはいえ、このまま静観するには厳しい状況には間違いない。

 今、『ユキカゼ』は、からくり艦隊これくしょんのリーダーとして、決断を迫られていた。


 そう――。


「ムッツリーニ殿に救援を願いましょう。明恥政府で待機している『ホウショウ』と、そのコピーのからくり娘たちと早急に合流するのです」


「……ふむ、しかし、一日そこいらで合流できるとは思えん。いや、転移魔法を使えば難しくないかもしれないが。聞けば教会側はあちらについているというぞ?」


 法王ポープリーケットがパイ〇ーツ・マルミエヤン・ドットコムのメンバーとして参戦しているのは、戦闘狂の『クマ』も知るとことであった。

 というのも、間違って彼女に手をかけてしまえば、この世界最大の宗教勢力を敵に回してしまう可能性がある。


 そこについては、まだ時期尚早であると、明恥めいじ政府上層部から待ったをかけられていたのだ。故に、彼女はそれについては、十分に留意していた。


 もちろん、そうなったらそうなったで面白いと考えている節のある、戦闘狂の『クマ』ではある。だが、今は自分たちを発掘したムッツリーニに恩義がある。

 少なくとも、彼らの目的が果たされるまでは、その意に背くことは自重する腹積もりであった。


 閑話休題。


 とにもかくにも、応援を呼んで合力しようにも、時間的な制限がある。

 教会側の協力が見込めない状況では、どうやっても最終レースぎりぎりに合流できるかどうかである。それよりも早く、攻勢に転じた船団によって、からくり艦隊これくしょんの面々が倒されるということも充分考えられた。


 いくら最強のからくり娘――『クマ』が居ると言っても。

 強運を持っているからくり娘――『ユキカゼ』が居ると言っても。


 数の優利を覆すのに『個人戦闘力』と『策』、『幸運』だけでは心もとない。

 これはユキカゼもまた承知のことであった。


 明日のレースをどう生き延びるか。


「最終レースまで生き延びることができれば、なんとか勝ち目はあるはず」


「大本営にはまだ、二龍も控えている。それに、我ら七人の最初の原器の構造を解析し、新たに作り上げられた最終決戦兵器も控えている」


「……それさえ引っ張り出せれば!!」


 勝てる。

 だが、時間と手数が足りない。

 どうにかならないか。そう『ユキカゼ』がクビを捻ったその時。


 不意に彼女たちの宿舎にノックの音が木霊した。


 誰か。

 こんな時間に彼女たちを訪れる者たちなどいるだろうか。

 既にGTRに参加している他の船団の面々は敵に回ったと知っている。彼らが自分たちに接触しに来たとは考えられない。


 宿舎には生き残ったからくり娘が揃い踏み。

 まさか、あの戦闘の中で生き残った者が居たか。

 いや、まずありえないだろうと思ったその時、ノックの返事を待たずに宿舎の戸が蹴破られて、そこから一人の女が姿を現した。


 道化の仮面を身に着けたそいつは――。


「おやおや、お通夜みたいな顔をしておられますねぇ。自分たち以外の船団が、全て敵に回ったと知って絶望しておられるのですか。なるほどなるほど、これは売り込みに来た甲斐があるというもの」


「……お前は?」


「……誰です貴方は?」


 あぁ、そういえばこの姿を人前に見せるのは初めてでしたねと笑う道化。

 彼女は仮面を外して一礼すると、その道化の面と同じようないやらしい笑顔を顔に浮かべて、からくり娘たちの方を向いた。


復讐屋アベンジャー水運の頭領ジェレミーと申します。以後お見知りおきを。ついては、小野コマシスターズ――からくり艦隊これくしょんの皆さんに取引をしたくここまで参りました」

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