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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第七部第六章 燃えよティト!! 復讐のG幻流!!
737/814

第737話 ど男騎士さんたちと痛み分け

 第四レース決着。

 第三レースに続いて、壮絶な格闘戦となった本レースを制したのは、男騎士たちに先行を依頼されていた勝海舟率いる威臨社であった。

 レースの順位は以下の通りである。


 一位 威臨社(18時間12分)

 二位 復讐屋アベンジャー海運(18時間46分)

 三位 小野コマシスターズ(18時間51分)

 四位 パイ〇ーツ・マルミエヤン・ドットコム(18時間59分)

 五位 謎の大陸商人コードX(21時間12分)

 以下 省略


 小野コマシスターズ及び復讐屋アベンジャー海運が順位を下げずに好戦した格好になる。


 なお、先日と同じく、一位先行していたモッリ水軍はリタイア。

 壮絶な一位叩きに、観客船からも、少なからず非難の色が籠ったブーイングが木霊した。


 それは、ともかくとして。


復讐屋アベンジャー水運とは、連携が取れなかったのか?」


「どうも門前払いを受けまして。なかなか癖のある女船長でしてね。こちらの女性陣を人質に出すなら考えもするがと」


「……弱ったな」


「まぁ、一隻くらい同調しない船があってもいいじゃねえか。全員でかからなけりゃ、倒せねえ相手ってほどでもねえ」


 男騎士たちの呼びかけにより、小野コマシスターズ包囲網は着実に出来上がっていた。モッリ水軍の残党はもとより、北海傭兵団の残党たちも、今回の報復戦に名乗りを上げた。

 リタイアからの他の船へ乗船しての参加はルール上は問題ない。

 これは非常に男騎士たちにとって有利に働いた。


 とはいえ、まだ、昼間の惨劇の余韻は冷めやらない。

 あの大性郷が、為す術もなくあっさりと屠られたのである。


 形見のくろにんにくを眺めてごちる。

 大性郷、どうして死んでしまったのかと。

 そして、なんでこんなものを形見に残していったのかと。


「だぞ、こんなものを持っていたなんて、意外と健康には気を使っていたんだぞ、大性郷」


「いや、これは健康というか、むしろ元気な証というか」


「ケティさん、あまり見るものじゃありません」


「黒にんにくか……」


「黒にんにくねぇ……」


「大性郷、立派な黒ニンニクだったぜ!! ちくしょう、やっぱりあんた男だ!!」


「こんな見事な黒ニンニク、なかなかできるもんじゃねぇ!!」


「森松でもむーりー!!」


 黒ニンニク(意味深)を囲んで大性郷のお通夜が開かれている。

 なんだかんだで、チームメンバーには愛されていた大性郷。あまりにあっけない彼の死に、そして、壮絶な死に様に静かに男騎士たちが涙した。


 と、そこに――。


「おいおい、どうしたお前ら、通夜みたいな顔をして」


「大性郷の奴でも死んだか。まー、あがいないきとうやっちゃ、いつかへたこくちおもうちょうたが……って、その黒ニンニクは!?」


 勝海舟及び暗殺者の登場である。

 既に同盟を締結し、打倒小野コマシスターズでまとまった彼らである、男騎士たちの元に訪れるのはもはや公然としたものとなっていた。


 更に。


「おう、ティト。大丈夫だったか。モーラちゃんを失って、やけっぱちにならなかったか」


「てん……謎の大陸商人X」


 他の船のメンバーまで来る始末である。

 思いのほか上首尾に終わった同盟作戦は、功を奏して、作戦会議も兼てこうして人が集まる格好となっていた。


 そんな中、誰もが意味ありげに乗せられた、黒ニンニクを拝んでいく。


「大性郷。立派な最後だった。ここまで生き残ったのは他ならねえ、おめえさん、最後は侍として誰かを守って死にたかったんだな。男だぜ」


「性郷。あんまり関りはなかったが、お前さんの男気があの島国を変えたのは事実だ。なに、後は俺たちに任しときな。お前の幼馴染も、陸奥の野郎も、ばっちりと俺が止めてみせるからよう」


 胸に手を当て誓う店主と勝。

 東の島国の独立に因縁深い二人の決意。

 その言葉に、ふいに黒ニンニクが夜風に揺れた。


 まるで彼らの覚悟を別ったとでもいいたげ。

 そんなふぐりならぬそぶりだった。


 だが――。


「まぁ待てお前ら。そう悲観するな。確かにチンミチは死んだが、まだ慌てるような状態じゃない」


「……黒ニンニクが?」


「……喋った?」


「いや、死んだというのもおかしな話だ。そもそも、チンミチは死んでいたのだ。寄生した私の宿主として、微かに残った肉体の記憶を基に作り出した疑似人格。とうとう彼の身体を使い切り、こうしてちん〇だけになってしまったが、なに大丈夫、どうということはない」


 喋る黒ニンニク。

 その時、男騎士はある大切なことを思い出した。

 そう、大性郷の股間にまつわる大切なこと。


 彼が股間にモンスターを飼っているという事実を。


「ニシー!!」


「いかにも。大性郷は形見に自分の身体を渡した訳ではない。これからも、何かと役に立つだろう、俺をお前たちに渡したかったのだ」


 そう、黒ニンニクこそは、大性郷の股間に寄生している寄生獣。

 海綿体で出来た、伸縮時代のモンスターことニシーに他ならないのであった。

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