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どエルフさん  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
第一部第五章 暗黒騎士シュラトとの出会い
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第71話 どエルフさんとベスト4

「はい、という訳で、二回戦も無事に終了いたしました!!」


 男戦士たちの試合がひと段落して、しばらく。

 続いて始まった勇者チームの試合が勇者の圧勝で決着し、第二回戦の対戦はすべて終了した。


「これにて本日の日程は終了、明日は昼前より準々決勝を執り行います!!」


「あら、今日中に全部の試合をするわけじゃないんだ」

「まぁ、連戦に次ぐ連戦じゃ、各々力を出し切れないからな」

「休憩して万全の状態でってことか、気が利くわねぇ」

「それだけみんな、いい勝負を見たいってことさ」


 ステージの脇にしつらえられた控えのベンチ。

 そこに腰かけながらも足をベンチにあげて、膝を抱えながら女エルフはつぶやいた。


 その視線の先には、先ほどの試合で勝利した、勇者チームの少年と少女。

 試合が終わるなりそそくさと、勇者の少年の後ろに隠れたエルフの少女に、女エルフは少なからず興味を持っているようだった。


「では、ベスト4に残ったメンバーを紹介していこうと思います。まずは、先ほど見事な試合を見せてくれた、勇者アレックスとエルフのララ!!」


「やだ、恥ずかしいよ、アレックス」

「ララ、こんなことくらいで恥ずかしがるなよ。勇者のパーティなんだから、注目くらいされるさ」


 惜しみない拍手が送られる中、迷惑そうに身を縮こまらせる少女エルフ。

 そんな彼女をかばうでもなくはげますでもなく、毅然と立ちつくす少年勇者。

 どういう二人なのだろうか、と、女エルフは首を傾げた。


 そして、彼らと同様に分からない二人組。


「Aブロックからは、やはり、予想通りでしょうか、雰囲気はもう優勝候補、シュラトとアリエス!!」


「ふっ、まぁ、順当な結果だと言っておこうか」

「…………」


 当然のようにAブロックを勝ち抜いていた黒騎士。

 ステージ上へとのぼるその姿に目が言ったのは、女えるふではなく男戦士の方だった。


 魂の名前を持ち合う二人は、しばしステージの上と下から視線をかわす。

 ふっ、と、また気障なためいきを吐くと、彼は男戦士に背中を向けたのだった。


「どう考えても、あれがAブロックは勝ち抜いてきそうね」

「相手には悪いが、どう考えても彼の実力は、このメンバーの中で頭一個飛びぬけている」


 それは男戦士も含めてか、と、女エルフは視線で尋ねた。

 男戦士はその視線にあえてこたえず、すっとその視線を、もう一人のAブロックのベスト4へと向けた。


「さぁ、そんなシュラトの相手をするのは――巨人族の末裔と噂される、巨漢の剣士ゴリアテ!!」


「フヌゥウウウウッ!!」


 見るからに筋肉馬鹿、という感じの巨漢がステージに歩み出た。

 その場でこれ見よがしに筋肉を隆起させれば、そのパフォーマンスに闘技場はにわかに沸いた。


「あきらかにごり押しタイプよね、彼」

「そしてそんなごり押しが通じるタイプじゃないからな、オニイチャンスキスキーは」

「だからその呼び名なんとかしなさいよ」


「同じく、巨漢の女剣士、ゴルゴン!! 筋力ステータス全振りな二人組という異色の組み合わせですね!!」


 筋力と剣術は直接的な関係にはない。

 もちろん、剣を振るうのに必要最低限の基礎筋力は必要だが、多ければよいというほどでもないのだ。


 男戦士や黒騎士くらいの筋力量――ほどよく引き締まっている程度が、剣を振るには都合がよいのだ。


「これはまずAブロックの勝者は間違いないな」

「じゃぁ、なんとしてもBブロックを制して、戦わなくちゃね」

「えぇ、あぁ、まぁ――」


 いやに乗り気じゃないか、と、男戦士が女エルフの発言に戸惑う。

 すると、くすり、と、女エルフが微笑んだ。


「戦ってみたいんでしょう、その、シュラトと。見てれば分かるわよ、貴方、なんだかやる気が溢れてる」

「ばれてしまったか」

「なんだかんだで、おバカだけれども、根っこのところはちゃんと戦士なのよね、貴方って」


 と、久しぶりに、男戦士の顔がこわばった。

 なんだ、今度はいったいどんな地雷を踏んだのだ、と、女エルフの顔があきれ顔へと指し代わる。


「根っこのところが戦士だなんて。そんな、俺を夜の戦士みたいに言わなくっても」

「お前のそのお股にぶら下がってるのは、根っこやったんかい」

「しかも、オニイチャンスキスキーを見て、ヤル気になっているだなんて。そんな誤解を招くようなことを」

「うーん、いつも好き放題に誤解しておいてからに、そういうことをいうかねコイツ」

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