パーティ結成
「今日のミニクエストは何を受けるの?」
食事を一足先に終えたシエラがまだ肉を頬張っているリグスに聞いた。
そのリグスが口の中の肉を飲み込むと「う~ん」と何やら考え込む。
「正直まだ職員室前のクエストボード観てないからなんとも言えないなあ」
「じゃあ放課後職員室前に集まろう」
「そうするかあ。二人共予定は大丈夫なのか?」
「大丈夫だよぉ。ちゃんと言ってきた」
「ん。俺も大丈夫。パパには言ってきた」
どんなクエストがあるのだろうか?
どんなクエストを受けてみようか?
そんな話を楽しげにシエラとリグス、ナースリーの三人がしていると、マリネスが「なんでミニクエストを受けるんですか?」と聞いてきた。
そこで三人は口を揃えて言うのだ「敬親の日に向けて、両親にプレゼントを買いたい」と。
「す、素敵ですね。あ、あのシエラさん。私、私も一緒に行っても良いですか?」
「良いの? 無理しなくても良いんだよ?」
「大丈夫、です。せっかくこうして仲良くなれたので……皆が迷惑じゃなければ」
「迷惑なもんかよ! やったなナズ、シュタイナー、パーティ4人揃ったぞ」
「ん。良かった、嬉しい」
マリネスの言葉に喜ぶ一同。
シエラはリチャードの前で見せるほど感情をあらわにはしていなかったが、それでも目を輝かせ、マリネスの手を取ると「これからよろしく」とマリネスの長い前髪からチラリと覗く蒼い目を見つめて言った。
そんな嬉しそうなシエラに直視され、マリネスは赤面し「ひゃい。お願いします」と照れながら言う。
その様子を遠巻きからリチャードが眺めていた。
娘の学校生活を見てられるなんて、役得だな。
そんな事を思いながらリチャードは食べ終えた食事の食器を返却棚に返すと、午後からの訓練の準備の為、食堂をあとにした。
「セルグさんはナースリーと同じで魔法が得意だから俺とリグスの前衛、ナースリーとセルグさんの後衛でバランスも良い」
「前衛後衛って、いきなり討伐系のクエスト受ける気か? まずは簡単なクエストから受けようぜ。 初日から怪我してたら母ちゃんに心配掛けちまうし」
「ん。確かに。ごめん、ずっと先の事ばかり考えてた」
「先の事って? 卒業してからも俺達4人で色んなクエスト受けて色んな魔物を倒すって事?」
シエラの言葉は暗にずっと一緒にいたいということだった。
その事に気付いたシエラを除く三人は一様に顔を赤くし、照れる。そんな中リグスは茶化すように笑った。
「ハハハ。いやあじゃああれじゃん。俺以外全員女子のハーレムパーティになるなあ」
「ハーレム? リグスにはナースリーがいるでしょ?」
「…………シエラちゃん!? 何言ってるの!?」
「そうだぞシュタイナー! 俺とナズはそんなんじゃ無い!」
「あっ、予鈴だ。じゃあ教室に戻るよ。行こうセルグさん」
「え? う、うん」
「おい! ちょっと待て! 話終わって無いだろ!?」
リグスとナースリーが顔を先程よりも赤くして抗議するが。シエラは聞く耳を持たない。
食器を片付けに行ったシエラはマリネスと手を繋ぎ、照れているんだか、怒っているんだかよくわからない二人に手をヒラヒラ振ると「じゃあ放課後」と言い残して食堂から出ていった。




