この国の冒険者と養成所
この世界の冒険者養成所はAクラスBクラスの2つに分けられ、それぞれAクラスは半年、Bクラスは1年という短い期間で冒険者のいろはを教える場所になっている。
しかしながらAクラスの貴族に関しては武器の取り扱いや魔法の行使については各家庭で両親や家庭教師から教育されているため、それらはカリキュラムから省かれ、魔物の生態や特徴等を主に学ぶ事になる。
魔物が存在する世界において、冒険者になろうが騎士になろうが、魔物の生態は学んでいなければ対抗手段が分からずに戦う事になる。
そうなれば相対した冒険者や騎士は苦戦を強いられ、ともすれば最悪死ぬ。
そんな事にならないように養成所で様々な魔物の生態を学ぶのだ。
リチャードという元冒険者はそんな世界において先人の知恵と自分の力の無さから、魔物の生態研究に尽力した冒険者の一人でもあった。
仲間に誘われるまでは一匹の魔物の生態を研究するためにフィールドワークに出て何ヵ月も帰って来なかった事もある。
そんな研究者肌を持つリチャードが養成所の教官を務めるのは運命だったのかも知れない。
つまるところ、冒険者養成所というのは学校では無く教習所なのだ。
武器、魔法が使え、魔物の生態を勉強した生徒達には卒業時に修了証が渡され、それを持つ者は冒険者になる際や、王都で騎士になる際に円滑に手続きを進める事が出来る。
騎士になるに至っては国がこの修了証を必須としている為に貴族の少年少女達は絶対に冒険者養成所に一度は通う事になる訳だ。
そして冒険者だが、狩人や傭兵の側面が強い彼らは修了証が無くてもギルドから直接試験を受けて冒険者になることも出来なくは無い。
出来なくは無いがやはり魔物に対する知識や、それ以前に何も知らずに冒険者になったなら、言わずもがな死亡率は跳ね上がる。
各冒険者同士でのコミュニティの確立、ようは友達作り。それを培うにはもってこいの場所でもあり、貴族の少年少女達にとっては未来のお相手探しの場所にも利用出来る。
それ故に冒険者を目指す場合はやはり養成所にて修了証取得のため養成所に通う者が多い。
この世界の冒険者とはつまるところ先に記述した通り、狩人であり傭兵だ。
戦時には先んじる王国の騎士に続き、敵国と戦う刃にもなる。
そして強い魔物から採取出来る貴重な素材は鉄製の武具より遥かに勝る武器になり、防具になる。
国が冒険者を奨励し冒険者ギルドを各街に設立し、養成所に金を出してでも、冒険者を育成させる背景には自国の国力強化に依るところが大きく影響している。
実際この国の土地や資源を狙った他国との戦争では兵力で劣りこそするこの国だが、鉄製の装備に身を包んだ敵よりも、軽く硬い魔物製の素材から作られた装備に身を包みんでいた為に、他国からの攻撃を耐え凌ぎ、培ってきた力でもって侵略には全て打ち勝っている現実がある。
もちろん国防の為に冒険者になる者が全てではないが、それでも冒険者業が人気なのがこの国の特色でもある。




