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仲間意識
遠出の帰り、バスに乗った。
乗ってすぐ、はて、と首を傾げた。車内の乗客全員が立っているのだ。
もちろん混雑時であるならわかる。だが座席は全て空いていて、どこへだって腰かけられる状態なのだ。
なんだろうと怪訝に思いつつも、座れるならなんだっていいと空席へ向かう。
腰を下ろした途端、悲鳴を上げそうになった。座席の空気が、恐ろしく冷たかったからだ。
ひんやり、なんて生やさしい冷気ではない。吐く息が白くなりそうに、体の芯から凍りつきそうに、その空間は冷え切っていた。
飛び上がるように席を立つと、乗客一同から気の毒そうな視線が注ぐ。
「今日は、なんか、座ってるみたいですよ」
近くに立つ制服の子が、そう囁いてくれた。
他の席も全て空いているのは、どうやらそういうことらしい。
しかしどうしてこんな事態にと困惑するうちに、バスが次の停留所に停まった。
新たに乗り込んできた客が空席を眺め、不思議そうに眉を寄せる。しばしの逡巡ののち、席へ向かった。
元よりの乗客たちの間に奇妙な連帯感が広がるのが、今度ははっきりとわかった。




