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  作者: 鵜狩三善


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呼び水

 数か月に一度、まとまった休暇を取って温泉へ行く。名湯ではなく、心寂(うらさび)しいような秘湯を巡るのが趣味なのだ。

 もちろんハズレ温泉を引き当てることもあるが、それもまあ思い出だ。

 自分のためだけに、心行くまで時間を満喫したいから、道連れも作らない。

 そうした女ひとりの旅行だと自殺志願者を疑われたりもするのだけれど、まあそれもご愛敬だ。


 そんな具合にあちこちを飛び回って十数年。先日、とうとう自分にベストマッチな湯治場を発見した。

 温度から香りから何から何まで、肌に合うというか、水が合うというかなにごり湯で、他人の評価はいざ知らず、私にとっては文句なしに百点満点のお湯だった。



 たっぷり堪能して、必ずまた来ようと心に決めて旅館を出て帰宅して、それから時折、不思議なことが起きるようになった。

 家の風呂に浸かっていると、不意にあの温泉の匂いがすることがあるのだ。匂いだけではない。そうなった時は湯船の方も、いつの間やら白濁している。

 そうなった時の入浴心地は記憶にある温泉と遜色なくて、湯上りの気分は上々である。


 お得な現象ではあるが、不思議の頻度は月に1、2度。好きなタイミングで発生させられるわけではなく、これではやはり物足りない。

 というわけで私は、次の休みを指折り数えて待つのであった。

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